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歌姫の全力の愛が僕を襲う!  作者: 長谷川瑛人
芸能界デビュー編
18/326

世界線

「君……君の瞳に乾杯っていうやつですか?」


 ひとつひとつ結構マジメに取り組んでる。古川さんを待ってる間、次の難題に取り掛かる。


「それただのキザな人」

「まあなんか、さすがにいなそうですよね」


 そんなのをもし竹内が言ったら「君の瞳に乾杯キラリ!」うん、生理的に無理っていうか、あっち行けっていうか、とりあえず殴るっていうか。


「いた!」

「……マ?」

「白いスーツ着てた」

「白いスーツ?」

「ウインクしてた」

「ウインク?」

「靴、エナメルでなんか光ってた」

「エナメル?」


 似合わない人がおれ似合ってるんだぜってやろうとするから変で、似合う人がさりげなく使うからいいとのこと。


 似合う人ってどんな人? とりあえパス!


 それとね、なんて言って両手の人差し指を僕の頬に当ててくる。


「こことここ、口角をちょっと上げるのを常に意識しとくの。こう、ね」


 こう、なんて言いながら微笑む笑顔。そんなの意識しなくても笑顔になるのは必然で。


「こうして口角上げとけば、自分が落ち込んでても周りからバレづらいからね」


 そうこうしてる内に、古川さんが女性を2人連れて部屋に来た。「よろしくー」「任せて」なんて愛内さんとおしゃべりする姿は、ここだけ東京って感じでなんか最先端っていうか、オシャレでカッコイイ。


「ヘアスタリスト担当の溝口さんと、メイク担当の横山さん。2人とも愛内さんの専属。とりあえず今のうちは葉山くんのこともお願いしてるから」


 車の中で紹介される2人。最近の生活でなんかいろいろと感覚がマヒしてるんだけど、愛内さんは日本の歌姫で、それを担当するって超プロってことなんだろう。


「ていうかさ、けっこうかわいくない?」

「思った。葉山くんって彼女いるの?」

「あ、マリ、さっそく本能が騒いでるって感じ?17歳ってまだ未成年」

「え、よくない? 今のうちにさ、ウフフ」


 あれ、なんか違う。


「2人とも、葉山くんは愛内さんがもうツバつけてるからダメだよ」

「なーんだ」

「ハハ、マジで落ち込んでるの笑」


 和田理容店?


 市内から少し離れた一角、いわゆる街の床屋さんに到着した。店先には青と赤のくるくる回るやつがあって、臨時休業の文字がドアのノブに引っかかっている。

 3人を見やる、古川さんの車はアルファロメオっていうシルバーの外車、比較するとなんていうか。


「オシャレなとこ想像したかな? こういう個人店は融通が効くんだよ。場所と設備があればプロはこっちに揃ってるからね」


 融通ってお金だよね、今日は土曜日だし、臨時休業にしなくてもお客さんそれなりに来るよね?


 この人たちいくら使ったんだろう。


 ようこそなんて笑顔で迎えてくれたおじさんとおばさんは、まあ、よく街中で見かけるような垢抜けない、茨城に住んでるだろうおじさんとおばさんだ。


「葉山くん準備はいいかな。さあ、はじめよう!」




◇◇◇




「これが……おれ?」


 マンガで見たやつだ、これがわたし? の男バージョンだ、孫にも衣装? ああ確かに、方向性はなんか王子様っぽい。横向いて、やっぱり鏡の中で同じく動いてる、やっぱりっていうかそうなんだけど、おれ?


「うん、いいね」

「やっぱりこういうの楽しいわ」

「全然イケルイケル! 葉山くん愛ちゃんと別れたらわたしと付き合わない?」

「マリ、まだ言ってるの?」

「ユーだってなんかニヤニヤしてるぢゃん!」


 なんかしゃべってるけどほっとこう。髪はサラッとしてるっていうかこうサラッと、眉毛キリッていうか、化粧、メイク、マジでスゴイ、語彙が乏しい、だってオシャレなんて興味なかったし。


 オシャレーー凄!


「僕……君……」


 なんとなく呟いてみるけど、なんか似合いそうな気がする。スクールメイクは愛ちゃんにも教わってねなんて、当たり前だけど知ってたけど、周りの皆さん凄すぎ!


「この後は眼科寄った後にコンタクト選ぶよ。横山さん、彼用のメイク一式は用意してくれたかな?」

「大丈夫、あとで渡しとくね。葉山くんこれからデートしよっか」

「マリー!」

「え、ちょっと味見くらいしてみたくない?」


 軽い冗談なんだろうけど、きっとこの人達には普通なんだろうけど、僕が変わって見られるのは僕なんだろうけど、ここ水戸の街の床屋さんなんだろうけど。


 バージョン2.0の世界--


 住んでる世界が今までとは違う世界線に書き換えられたよう。なんかそんな感じ。


「愛内さんの驚く顔が楽しみだね!」




◇◇◇




「……嘘?」


 これも見たやつだ。確かプリティープリンセスで主人公が言ってた。「嘘じゃない、これが本当の君さ」「これが、本当のわたし?」これこれ! この後に確か抱き合って見つめ合って「王子様!」って。


「スゴーイ! なんかポックルジョニーとミスターMAXを足して3で割れない感じ!」


 ポックルジョニー? ミスターMAX? だれですかそれは。3で割れない? そりゃ2を3で割ったら0.6666って3で割れないですけど、そしたらおれ1以下、いや、スゴイ言ってくれてるし、なんか喜んでくれてるし。


「どう、ですかね……」


 なんて言いながらはにかんで照れる、はずだったんだけど照れどっかに行った。なんか思ってたのと違う。


「愛ちゃん葉山くんといつ別れるの?」

「マリ? いい加減諦めたら?」

「別れる気ないし」


 なんか話しが勝手に進んでる。こういうのはほっとくのがいいって思う。


「ええマジで? 付き合ってるの?」

「え、どこまで進んでるとかあったり?」

「もう一緒に寝てる」


 ……いや、それはマズイ!


「えっと愛内さん?」

「あは、言っちゃった!」

「あはじゃなくて……」

「ええ、じゃあ葉山くんはわたしとのことなかったことにしたいの?」

「いや言い方!」

「あの日のこと忘れたいんだ……」

「じゃなくて……」

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