破壊力は激しさを増す
こんばんは葉山一志です。最近、愛内さんになんか負けてる気がして落ち込んでます。フフフ、でも今日はいい作戦を思い付きました。
黒、青、黄緑、黒に赤、ピンク、なんの色ってパンツですパンツ!
みなさん僕の話しを聞いてください、別に僕が変態っていうわけじゃないんです。この人、パンチラしすぎなんです。あと3週間も一緒に過ごすというのに、少しは自重してほしいんです。高2です、思春期です、このままでは現象が現象してスパークリング……これ以上言わせないで下さい。
今でさえ、お風呂あがりに上半身は普通の半分くらいの布を着て、下はひらひらした半ズボンはいて、アイス食べながらテレビ見てます。紫です、両方です。
作戦はこうです。単純に見えてますよと指摘して、キャッ恥ずかしい! これです、これで行けること間違いなしです。明日からは平穏な生活が過ごせること請け合いです。大丈夫、僕はやれば出来る子なんです!
なんでこんなことをするかって、ヒマなんです。夜の9時20分に強制的にピアノのフタ閉められました。今までピアノしかしてきませんでした。だから何していいのか分かりません。
王子様? そんな設定ありましたね、あっちにポイってしちゃいましょう。
では、行きます!
「愛内さん」
「んん?」
「下着、見えてますよ」
「ああねえ、キャミとショーパンだからねえ」
「そうですね」
……
さっそく緊急事態です! なんですかこの間は。それにカタカナいっぱいしゃべってました。そうですね、なんて言ってますけどさっぱり分かりません。あれですか、見えてもいいとかですか。見えてもいいやつと見えちゃだめなやつの線引きなんて素人童貞には分かるわけ、素人童貞、いや、プロの方のとかそういうことじゃないんですけど、うん……話しを戻します。
ここはシンプルに聞いてみましょう!
「愛内さん」
「んん?」
「見えてもいい下着とかですか?」
「別にそういうのじゃないけど」
「へえ」
……
ということは見えちゃだめなやつを僕は見たってことですか、本来隠さなければいけない下着を見えちゃだめなのに。
ハッ、殺気ーー。
フフ、そう来ると思っていました。でも今日は頑張ります。いつもの僕じゃないんです。こう見えて強い子なんです!
「あれえ葉山くん、なにか変なこと考えてる?」
「そんなことないですよ。ただ少し自重してもらえればと」
「へー、そうなんだ、ふーん、へー。あ、今日の夜同じベッドで一緒に寝ようか」
「ああ、いいですね。ぜひともお願いしたいです」
そんな嘘、800でも900でも僕には通じません。今日は頑張ると決めたんです。心の中だし聞こえてないし、敢えて言わせてもらいましょう、この小娘が!
◇◇◇
すいませんごめんなさい僕が悪かったです反省します許してくださいお願いしますーー僕は今、愛内さんの抱き枕になっています。
芸能人ってファンの方と握手とかするじゃないですか。思い返したんですけど、僕は愛内さんと一度も握手どころか、たまにぶつかったりとか、一度も肌と肌が触れたことがありません。胸はナイトブラ? なんですかそれは。肩に当たってるし、右腕は胸を超えて脇つかんでるし、足はなんかスリスリ? って、太もも上の方にスリスリしたら情熱が情熱をして。
「ううん……」
なんですかこの可愛い生き物は! あ、ただの天使か。ムニュムニュ口動いて、ほっぺ肩にスリスリして近いっていうかスリスリ近すぎるだろ! 7センチくらいしかなくない? 気をつけしたまま天井見てる僕はこのままでは、そうだ、寝返り打つって自然なことだよね、だめだだめだ、悪魔に心を売るようなマネは……。
◇◇◇
「おはよー」
「お、おはようございます」
あ、寝てた。
負けました、完敗です、寝起きで頭も回りません、ミジンコです、ミトコンドリアです、デオキシリボ核酸です。
「昨日なにか言おうとしてなかった?」
「ですから、下着とか少し自重してもらえないかと」
「ああなるほど。でもこれでも自重してる方なんだけどな、生理用品買ってきてとか言わないし」
「そのくらい買ってきますよ」
「恥ずかしいでしょ?」
「そりゃちょっとは恥ずかしいですけど、お腹痛くてツラくなっちゃうんですよね。かわいそうだから教えてくれれば買ってきますよ」
「……」
ん?
「愛内さん?」
ん?
「顔真っ赤ですよ?」
「ちが、これ、別に照れ、ああ、顔洗ってくる」
ん?
「……ほんと破壊力」
ん?




