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歌姫の全力の愛が僕を襲う!  作者: 長谷川瑛人
芸能界デビュー編
14/326

改造計画

 今日の夜、古川さんが来るらしい。ちゃんと帰ってくるようにって言われて、多分家に帰るのは17時ちょうどだろうという予想は当たると思う。

 ケータイのアドレスを意味なく開く《愛内麻美》フフ、おれのケータイに芸能人の名前がある。出来ることなら自慢したい、だれかに見せびらかしたい、でもそれは命という代償を。


「いやあ三浦琴子、マジであのGカップ」

「攻撃力高すぎっていうか」

「ミサイル発射するんじゃね」


 そりゃ愛内さんはBくらいだけど、控えめでなんというか、見てて飽きないっていうか存在感というか。


「わがままボディー炸裂で」


 わがままボディー? まがままなの? なんですかそのネーミングセンス! その表現力の持つ言葉の魅力に耳を疑った。


「滝田、わがままボディーってなに?」

「おお葉山も分かるか、同士!」


 いや同士でなない。


「たとえばさ、Bくらいの胸ってどういう表現?」


 煩悩、エロいことしか考えてない集団に議題を投下する。


「Bかあ……。だれかいたっけ?」

「愛内麻美じゃね」

「まあそんくらいだろうな」


 おっ?


「貧乳だな」

「貧乳だね」

「貧乳だ」


 こいつら全員ぶっ飛ばしたい!


 多分、愛内さんはいわゆるガサツなんだと思う。六本木の事務所でデラックスは、頑固でわがままって言ってたのを思い出す。それにガサツも加えとく。


 なんか悪いとこしかないみたいに聞こえるけど、そういうわけじゃなくて、逆にそれが魅力というか、いやよくはないような。


 不思議とエロ目線とかそういうのがなくて、最初はトイレとか寝てるとことか、ほんの少し、ちょびっとはうろたえたけど、下着干してあったり、服脱ぎっぱだったり、足開いて座ってたり、大きな欠伸してたり。




◇◇◇




「おかえりー」

「帰りました」

「やあ葉山くん」

「あ、お疲れさまです」


 手招きされて古川さんの向かいに座る。


「どう、生活は落ち着いた?」

「はい、おかげさまで」


 ちょっと電話なんて言って愛内さんはキッチンから離れて行った。


「でもなんていうか、トップスターでも結構時間とかあったりすんですね。分単位で動いてるようなイメージが……」

「彼女の話し?」

「はい」

「彼女、すごい頑張ってるよ」


 昼間は毎日のように東京に来て精力的に仕事してること、合間はボイストレーニングに料理の勉強、夜中0時を回っても打ち合わせ等のやり取り、ほとんど寝てないんじゃないかと言うこと。


「まさか、2億……」

「ああ、あれ嘘」

「嘘?」

「さすがにそんな大きな仕事があったら逃がさないよ。でも地方に移動するような仕事はキャンセルしてるのは本当だよ」


 なんでそこまで。


「葉山くん最近表情が豊かになったとか、お弁当少しづつ食べてくれるようになったとか、いつもすごく楽しそうに話してるよ」


 おれのために。


「彼女は葉山くんといる時間をすごく大切にしている。どんなに忙しくても必ず帰るしね。葉山くん、やることは分かってるね?」

「はい!」


 やること、曲作り--。


 やろう、必死にやろう、そして絶対に成功させよう。


「どこまで進んだ?」愛内さんはいつも笑顔。「まだなにも話してないよ」


 疲れた身体に鞭打って、きっと無理して笑顔作ってくれてるんだろう。


「やっぱりヘアスタリストは溝口さん、メイクは横山さんにお願いすることにした。いいかな?」

「うん、それがいいかも」


 おれがただのお手伝いだとしても、きっと見えないとろではたくさんの人が動いてくれている。画面に映るのかどうかさえ知らないけれど、それでもやれることはなんでもやろう。


「洋服関係は任せてもヘイキかな?」

「オッケー!」


 大人が仕事の話しをしている。大変なんだろうけどそれでもカッコよく映るのはきっと真剣だから。


「あと素材は……」と言いながらおれの黒メガネを外し前髪をかきあげ「うんうん、全然いいね、大丈夫大丈夫」


 なにが?


「でしょ?」


 だからなにが?


「葉山くん、明後日の土曜日空いてる?」

「はい、いつでも空いてます!」

「そっか、よかった。じゃあ葉山くん、打ち出しが出たんだ。明後日から、王子様になってね」


 ……はい?

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