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歌姫の全力の愛が僕を襲う!  作者: 長谷川瑛人
全力の恋を始めよう!編
110/326

BBQ

千葉県白子町

九十九里浜リゾートホテル

プライベートビーチーー




「カズシ、告白の件でネットすごいことになってるけど大丈夫か?」

「ホント、カズシへいき?」

「うん、大丈夫。ありがとう」


 悠のことでバタバタしてて、麻美への告白が遠い過去のように思える。


「よかったあ。ねえ、CCとグループトークでみんなつながろ?」

「うん、よろしく」


 今日は視聴者が待ちに待った水着回。ユキは白のヒラヒラしたやつ、ユアは水色のスカート付きワンピース、レイラは黒のビキニ。

 もうこれで視聴率いいんじゃない? 僕ら男3人はほっといてこれだけ撮ろ!


 ユウキ、レオ、ユキ、ユアの4人はジェットスキーに乗って沖合のボートへ。僕は体調をそこまで気にする必要もないと思ったけど、念のためビーチでバーベキューの準備。

 わたしもお留守番して手伝うって、レイラも残ってくれた。


「みんなと一緒に行ったらいいのに」

「カズシとおしゃべりしたかったって言ったら、カズシは迷惑?」

「全然。僕もレイラと話したかった」

「え、なんか嬉しい」


 バーベキュー……、さて、この用意された肉と野菜をどうすればいいんだろう。切ってこの串で1個1個刺せばいいのかな?


「もしかして、カズシはバーベキュー初めて?」

「うん、まあ、ね」

「じゃあ教えてあげるね!」

「よろしく」


 見よう見まねでやってみる。なあんだカンタンぢゃんって、肉以外なら野菜を焼くだけだろうし僕でも食べれそう。


「……レイラ」

「んん?」

「悠、倉科悠さんがうちにいる」

「え、悠が? どういうこと?」

「カメラなしにして、全部話していい?」

「……うん」


 トウモロコシ切ってキノコ切って、玉ねぎに串刺しながら話した。

 突然うちに来たこと、休んだ理由、連絡取れなくなった理由、3人で生活してること、僕の友達を紹介したこと、きっと何か悩んでること。


「そっかあ、そんなことになってるんだ。なんか、ごめん」

「レイラが謝ることじゃないよ」

「そうだけど……」

「レイラは、悠のこと嫌いなの?」

「ううん、全然。ただタイミングなくて言い出せなかったっていうか」

「悠と話してくれないかな」

「カズシは、悠が、好き、なの?」

「友達としては、レイラとみんなと同じくらい好きだよ。心が不安定って、僕もそうだからさ」

「そっかあ、きっと愛内さんが言ってたこと合ってるのかもね」

「話してくれる?」

「分かった」


 みんなが戻って来たころ、レイラのおかげでバーベキューの準備も整った。なんとなく、ユウキとユキ、レオとユアの距離が近い。


「おかえり!」

「ただいま。カズシ、レイラ、準備ありがとう」

「待ってたよ。ほとんどレイラのおかげだけどね。さあ、焼こうよ」

「この大きくなっちゃった肉はユウキのね!」


 網の上でジュージュー音してる肉が見た目は美味しそう。肉汁が炭に落ちて煙をパチパチさせてる。


「うま!」

「熱……」

「美味しい!」


 美男美女が美味しく食べる絵はイイネ。


「カズシ、それ野菜しかないぢゃん」

「うん、僕、脂っぽい肉食べれない」

「……ベジタリアン的な?」

「いや、体調の問題。食べたら死ぬんじゃないかな?」


 途端に静まり帰る現場。


「あ、ごめん、ついつい。スタッフさん今のとこカットでお願いします」

「……マジ?」

「どうかな、食べたことないけど、救急車とか? あ、焼肉おごるのどうしよっか。まあ後で考えよ」


 わざとあっけらかんと話す僕。


「落ち着いたらみんなには話すよ」

「……分かった」


 なんとなく微妙な空気になっちゃったけど、今日の撮影は終わり。来週は夏祭りと花火、完全に脇役に回ってるけどそれなりに楽しめそう。


「じゃあまた来週な!」

「グループトークで話そう」

「またね!」


 6人がそれぞれの車に移動。アルファードに戻って後部座席のドアを開ける、それと同時に手筈通りに外に出る悠。


 倉科悠がレイラに駆け寄るーー。


「麗蘭!」


 振り返るレイラ。レイラは悠を見つけて深川麗蘭の顔になった。

 ゆっくりとレイラが悠に近づく。お互いに女優、でもこんな時はどんな顔したらいいか分からない、2人の照れた顔はそう言ってそう。


「悠、久しぶり……」

「……だね」


 僕らが撮影中、麻美はレイラのマネージャーさんに話しをしてくれてたらしく、少し時間をもらえた。

 それから30分くらい、僕と麻美と五十嵐さんは車で待ってる。砂浜のベンチで、悠とレイラが何を話してるかなんて、僕らは知らなくていいこと。


「お待たせ」


 泣いちゃった、そんな瞳と目元。


「悠ちゃん帰ろっか」

「はい」


 成田空港の近くを通過して常磐道へ。


「今ならまだ、黄門祭りの花火に間に合うかもですね」

「五十嵐さん急げー。かき氷食べたーい!」

「悠ちゃん降りたらパニックになっちゃうでしょ?」

「もう別にいいじゃないですか」

「悠、なんか吹っ切れてない?」

「そう? いつも通りだけど?」

「じゃあ急ぎますね!」

「……安全運転でお願いします」


 これで悠はきっと大丈夫、なんて、悠の闇はそんなカンタンじゃなかったーー。

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