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歌姫の全力の愛が、僕を襲う!  作者: 長谷川瑛人
全力の恋を始めよう!編
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タコとなにか

「ねえ麻美、タコ入ってないよ?」

「入ってないけど?」

「だってタコライスって」

「タコじゃなくてタコス」


 タコス……タコの複数形?


「やっぱり一志はピアノ以外はポンコツだと思う、特に料理。よく生きてこられたというか」

「そんなことないと思うけど」

「悠ちゃんどう思う?」


 そう振られた倉科さんは黙ってタコライス食べてる。


「悠ちゃん?」


 無表情でただスプーンを口に運んでる。


「……悠ちゃん?」

「え、あ、おいしいです」


 確かに美味しい。サルサ? ランバダ? ソースが初めて食べる味で言われれば南米っぽい。


「ねえ確かに美味しいんだけど、僕が美味しいってことは薄味だったりするの?」

「多少はね」

「倉科さんいるんだし普通でいいよ?」

「悠ちゃん味薄い?」


 黙々と、倉科さんはタコス食べてる。


「悠ちゃん?」

「あ、えっと、なんでしたっけ?」


 苦笑いする倉科さんに味薄いって麻美が聞いて、大丈夫ですって答えてた。

 気にしないでね、麻美のそんな表情に笑顔で応える。


 お風呂の時間、倉科さんが入ってる時に麻美に聞いてみた。


「麻美、倉科さんのことちょっと教えてもらえないかな?」

「ううん、まあ、確かに少し話しといた方がいいかもね」

「うん」

「悠ちゃんはなにも悪くない、それは絶対。いい?」

「分かった」


 芸能界に存在する縦と裏、地位、権力、お金、暴力、セクハラ、パワハラ、モラハラ、倉科悠になにがあったかまでは知らないけど、おおよそ検討はつく。

 それに女性、それも超が付く程の可愛い子、優しい大人ばかりじゃない場所でだれも守ってくれる保証はない。


「努力すればなんてみんな努力してるのよ」


 その中で頭ひとつ抜け出すために必要なことは、周囲との人間関係。それがどういう関係であっても、ここで生きていくためには必須。


「北海道からひとりで来たんでしょ? 芸能界にも学校にも、だれも話せる子いなかったんじゃないかな」


 自分が思ってる以上の期待をかけられて、ひとりで頑張って、あとはストレスで推し潰されるだけ。


「そうやって消えてった子、何人も見てるからねえ」

「でもどうしてうちに?」

「悠ちゃんが一志のことを好きなのは本当みたい。でもさすがにそれだけじゃないと思うから、相当切羽詰まってたっていうか、無意識に、安心できる場所に来たんじゃないかな?」


 心が安定してないからテンションが高かったり低かったり、きっとそんな感じなんだろう。


 《精神的に不安定》


 ……僕と、同類?


「愛内さーん、寝る前のスキンケア教えてください」

「ちょっと待ってね」


 僕は麻美に出会って、おんぶに抱っこで全部教わった。もし麻美がいない状態で芸能界に放り出されたら、ソッコーで嫌になる自信がある。


「倉科さん、せっかくだし悠さんって呼んでいい?」

「え、しょうがないなあ。一志くんがそこまで言うならさんはなくていいよ」

「じゃあ悠さんで」

「だ、か、ら、さんはいらない!」

「ほとんど初対面だし……」

「麗蘭はレイラって呼んでるし」

「あれは番組……」

「悠、あとは認めませーん」

「分かったよ、悠、これでいい?」

「うん!」


 ほくそ笑む麻美。麻美はきっとすごく優しいんだと思う。ほっとけない妹みたいな子、気が強そうな者同士いろいろ思うところがあるんだろう。


「それでさ、せっかく僕と麻美と一緒にいるんだし、なにか聞きたい曲ある?」

「え、いいの? 本当に? え、じゃあ全部」

「全部?」

「今まで聞きたいって思ってた曲全部!」


 それから0時まで、僕がピアノを演奏して麻美が歌って、悠も歌って、笑って、喜んで、感動して涙ぐんで、たまには僕も歌って、そんな時間を過ごした。

 仕事で、コンクールで、カメラとかだれかの前で歌ったりとかもいいけど、歌手とか女優とか関係なしに、こういうのもいいなあなんて、将来を夢に見る。


葉山一志:全員集合!

竹内淳 :どうした?

梶さゆり:なになに?

須藤真由:寂しくなっちゃった?

川上真弓:にいに会いたい!

北原陸 :えっと、ぼ、僕もいます

葉山一志:明日ひま?

北原陸 :ハ、ハワイに今いる

須藤真由:えー、スゴ!

竹内淳 :北原、金持ちなの?

北原陸 :親がちょっと

川上真弓:お金持ち、ゴクッ

梶さゆり:そこ、ツバつけない!

葉山一志:僕と競ってみる?

竹内淳 :さすが2億!

北原陸 :2億?????

葉山一志:というわけで、カラオケに行かない?

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