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5 ルリアの推理



「──以上、昨日も話した通りだ。これ以上の情報は何1つ無い」


 ゴードンは昨日の事件の一部始終を、機嫌悪そうにして話し終えた。



「…ゴードン司祭、何か見落としている点はありませんか?」

「くどい。無いと言ったら無いわ!」


 聖騎士団長ウォルグの質問に、苛立ちを隠さずにゴードンが言い放った。



「…ふむ。ではゴードン司祭、昨晩から今朝方まであなたのアリバイを証明出来る人間はおりますかな?」

「ふざけているのかリアムス司教。大抵の人間は、その時間に睡眠を取るものであろうが」

「…私室で寝ていたと?」

「そうだ。下らぬ質問はするな」


 ゴードンの返答が終わると、6聖剣のアダムスが席を立ち上がり、会議室のすぐ外に待機している衛兵を呼びつけた。



「ゴードン司祭、大変申し訳ありませんが、念の為あなたを軟禁させて頂きます」

「……クク。構わんよ。その代わり古代書を数冊読ませてもらうぞ」

「もちろん結構です。あなたの無実が晴れれば、すぐに自由にして頂きますゆえ」



 司教の言葉が終わない内にゴードンは席を立ち上がると、笑みを浮かべながら口を開いた。


「こういった事件は、意外な人物が黒幕だったりするものだ。…例えばそう、リアムス司教とかな」



 ゴードンは暴言を吐いた後、リアムス司教を見て豪快に笑った。

 それを見た聖騎士団長ウォルグが声を張り上げる。



「ゴードン司祭! 言っていい事と悪い事があるぞ!」

「…ククク。じゃあ何か、私に容疑をかけて軟禁するのは悪い事では無いのか?」

「そ、それは…」


「まぁいい。少しばかり私も口が過ぎたようだ。無礼を詫びようリアムス司教」

「なに、構いませんよ。容疑をかけられるのは、誰であっても気分のいい物ではありませんからな」



 ゴードンは薄笑いを浮かべると、アダムスと2名の衛兵に連れられ、用意された個室へと向かい歩いていった。




───




 アレスとルリアの2人は走り出したクリフに追い付き、大神殿の広大な敷地の一角にある、樹木が生い茂る人目につかない場所に来ていた。



「──ルリア、幾らなんでも司祭の尻を叩くのはまずいだろ?」

「いいのよアレくらい。どうせ口で言っても分からない堅物でしょうから」



 アレスは、口よりも先に手が出るルリアに注意を促した。



「それよりクリフ。あんたねぇ、もうちょっとしっかりしなさいよ!」

「…ごめんルリア」

「あんな奴らに舐められたらダメ。舐められたらやられるのよ。分かる?」

「うん。まぁ…」

「舐められる前にる!くらいでいいのよ」



 ルリアの過剰な持論にアレスは苦笑いし、クリフは複雑な表情を浮かべた。


 クリフは、自分の考えを持ちすぐに行動に移せるルリアの事を、いつも羨ましく思っていた。もちろん行動が行き過ぎてしまうのが、彼女の欠点だとも認識している。だが、それでもクリフは彼女の事が好きだった。



「それよりも、死霊術師ネクロマンサーの事だけど…」

「うん…?」



 ルリアの声掛けにアレスとクリフは耳を傾けると、彼女は落ち着いた声でゆっくりと話し出した。



「私の推理が正しければ…」

「「正しければ…??」」

「犯人はゴードンで間違いないわね」



 そう話すルリアの顔は自信に満ちていた。




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