ただのクラスメイトだよ。@柿本英治
二月になり、クラスでの無視も少なくなってきた。
もう少し長く続くと思ってたけど、どういう事だろうか。
75日にはまだ早い。
それに、最近、花咲さんの友達の監視が緩い。なら…次のステージかも知れない。
なぜなら白井くんが積極的だからだ。
今も花咲さんに一生懸命話しかけている。
あの彼氏くんに雰囲気が似てるな。
脇を固めているのは城戸さんと本庄さん。パッと見は白井君ハーレムに見える。
彼女のハードは二本挿さる。今風だ。多分大丈夫だよ、白井君。
彼の健闘を祈ろう。
どうか曇ったままの彼女に、晴れ渡る笑顔を咲かせて欲しい。
何故曇っているのかは知らないけど。
彼氏くんは何をしているのか。
いや、僕にはもう関係ないか。
学校の帰り道、待ち合わせ場所に急いでいたら何故か花咲さんとエンカウントした。
「英治くん! あの、その、もう一度! わ! わたしとやり直ぉ…ぁ、あの…誰…その人…」
僕の後ろから長い黒髪の女の子が静かに近寄ってきたのを、花咲さんは気付いたようだ。
真っ黒なセーラーの他校の制服が彼女にはよく似合っていた。
「僕の彼女だよ」
「初めまして。雨谷ゆりです」
彼女は僕と同小、同中の子で、一月に本屋で偶然再会した。
そしてその日になんだかよくわからない告白をされ、付き合うことになった。
一生懸命な彼女の告白を受け、僕には断る勇気はなかった。
前回は僕の大好きから始まった関係だった。だから人からの好意が、大好きが、どんな風に見えるのか知りたい欲求もあった。
それに、クラスでの無視は思っていたより僕の心を蝕んでいた。
自分で選んだ道なのに、情け無い。
そして情けなくも、まだ好きでもない彼女に縋っていた。
本当に駄目な僕だった。
「な…ぁ…そっか…ごめんなさ…い。何でも…ない、です…」
「行こうよ、英治。あとできっちり誰か教えてもらうからね?」
「ただのクラスメイトだよ」
「ただの…クラスメイト…」
彼女はその嘘偽りない事実を、消え入りそうな声で、何故かそう小さく呟いた。




