表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/25

そろそろ僕は振られたい。@柿本英治


「でさ、夏休み出掛けない?」



 今僕に話かけているのは花咲さくらさん。


 僕の事を彼氏だと設定している女の子だ。


 そして僕、柿本英治は彼氏のフリをずっと続けている。



「いいよ。いつにしよう?」



 遊ばれている事実に気づいてからだから、もうかれこれ一月ほど片想い中の恋人だ。


 もう一度偶然街で見かけることを期待しているが、小さな街とは言え、そんな簡単には見つからない。



 花咲さくらは本当に可愛い女の子だ。


 人気のある彼女は男女問わず囲まれる。その合間を縫って、僕は告白した。


 その勇気だけは持っていた。


 高校二年の始業式の日、公園の桜の木の下のベンチに座り、精一杯伝えた。


 彼女は桜色の唇から短くはいと可愛らしく答えてくれた。


 正直なところ、何度釣り合いが取れていないと嘲笑われたかわからないくらいだ。クラス内でも、僕だけが否定される。


 でもそんなことは知っている。


 だけど、特にもう何も思わない。



「ね、持って行くのにお揃いとかよくない?」



 全然良くない。

 思い出をモノにして残したくなんてない。


 けど、街で偶然会ったときの惨めで悔しそうな演出アイテムのためなら喜んで。



「いいね」



 付き合ってから三ヶ月が経っていた。


 片想いで一月だ。


 そろそろだ。


 そろそろ僕は振られたい。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ