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⑴『無言の会話ー人間の最後の姿ー』
⑴『無言の会話ー人間の最後の姿ー』
㈠
人間は、言葉で話をするものである。いや、正確には、そう思われている。しかし、話し過ぎた結果、何かもう話すのが疲れたな、と歳をとるにつれて、変貌してしまうのである。自己のも、その兆候は見られる。声も出ないし、声帯を傷付けてまで、話す意味があるのだろうか、という風に。
㈡
すると、ふと、無言という言葉が浮かんだ。無論、無言であっても、頭を下げるくらいは、するのではある。この、無言の会話というものは、人間が、それも疲れ切った人間が、最後に行き着く、メッセージの体現ではなかろうか。
㈢
手や素振りを、使いながら、無言の会話は、決して無意味ではない。実際、そういうことによって、意思伝達が出来るものなのだ。例えば、わからない、苦悩している、などと言う時には、頭を手で抱え込むなど、する訳である。