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風の目

作者: 緋那真意

筆者は咳払いをして語り始める。

 ものすごい風が吹く日には、風の目が見えるそうだ。


 実のところは、風の強さに関わらず風の目はいつだってそこにあるらしい。しかし、恥ずかしがりなのか、人嫌いなのか、普段はなかなか見えない。


 不思議なもので、そんな状態の風の目を見たことがあるという人もいる。

 見た人は「可愛いやつだが、少し悪戯がすぎる」と口を揃える。可愛いとはどういうことなのかよくわからないが、とにかく可愛いように見えるらしい。


 一方で、悪戯がすぎるという評価もある。古来から風のいたずらというものは人を困らせてきたものだ。


 風の目が悪戯の元締めという証拠は見つかっていないが、何となくそのように見られてしまうこともあるようで、すると風の目は弱って隠れて見えなくなるらしい。


 そんな困ったやつであるが、風の目が強気に暴れるときは、本当に手に負えなくなる。


 南から仲間を呼び寄せているという話もあるが、とにかくこのときの風の目は誰の目にも明らかなほど危険である。もはや可愛いなどという話ではない。


 雨や雷を引き連れて激しく踊り狂う風の目は、もう人の手では止められない。誰もが怯えながら時が過ぎるのを待つ。


 しかし、そんな時は永遠には続かない。雷が去り雨は上がり風の目だけが意地を張って暴れるが、やがてその気力も失ってひっそりと日の目の当たらないどこかへ消えていく。


 そんな風の目は人々を癒すこともある。自分でも中々調節ができないらしいが、上手くいくときは涼しさや温もりを届け、風車を動かし、花に花粉を運び、とにかく役に立ってくれる。


 困ったやつなのは変わらないが、役立つときには役立ってくれる。風の目に振り回されながら、人々は風の目を愛していた。


 人々を困らせたり役に立ったり、今日も風の目は空に現れる。


 おっと、風のいたずらか。


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