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彼女が王子に招待された理由

「イツキー、さっきからスマフォばっか見てんじゃねぇか」


「……まぁな」


「今日はヒヨちゃんと一緒じゃねぇの?」


 日葵が学生会へ行くことになった日の放課後。教室でグタグタしていたら、クラスメイトの陸斗りくとに話しかけられた。なんちゃってバンド部に参加しているこいつは、校則ギリギリの茶髪で、まぁ、それなりに見かけも良い。家が近所で昔からのツレだ。こっちをみてニヤニヤとしているを見る限り、何が起きているかわかっているのだろう。


「うるせぇ。知ってんだろ」


「まぁ、噂にはなってたからな。あの二大王子様のもとへ招待された女子がいるって。まぁ、ヒヨちゃんならどうにかなるってことはないだろ。しかし、なんでヒヨちゃんが誘われたんだ?」


「……優秀だからだと思う」


「へ? ヒヨちゃんが? 確かに勉強はできるイメージだけどな。学生会なんかのデスクワークは苦手だと思ってた」


「日葵が一年から、ずっとクラス委員なの知ってるだろ。去年の時もそうだったんだけど、無駄に生徒の業務が多い、この学校の委員会活動をほとんど押し付けられて、ほぼ一人で回してんだよ」


 そう、あれは去年の二学期の始め、一年生がこの学校の異常な委員会の業務量を知らず、先輩方から任されたイベントの割り振りに絶望していた時。日葵は


『これぞ、七難八苦だよ。燃えてきたっ! 皆、協力して乗り越えようよっ』


 と、いくつものタスクを同時にこなし、凡そ無理だと思われた業務を乗り切ることができたのだ。実は先輩方も無理だと承知で仕事を回していたらしいのだが、日葵はどう動けばいいかわからない他の生徒に指示を出し、しかも楽しんだ様子で成し遂げた。

 当時、別クラスの委員だった俺はその小さな体に秘められたバイタリティに戦慄したのをよく覚えている。


「はえ~、まぁイメージはできるわ。ヒヨちゃんってそういうの得意なんだなぁ」


「日葵は、普段がちょっとアレだけど。スイッチが入ると、大概のことは人並み以上どころか超人的にこなすんだよ」


 しかも、それが無自覚だから質が悪い。


「全然知らなかったわ。そんなすごいことすれば、皆知ってそうなもんだけどな」


「アイツ、成果を全然誇らないからな。他の生徒が自分の手柄にして、学生会へ報告したんだよ」


 話がてらいじっているスマフォの画面には、Iineで


 『今日は、学生会へいくから先に帰ってね。明日のお弁当のリクエスト、よろしく(*'ω'*)』


 とメッセージが来ていた。今からイケメンのもとへいく彼女を置いて帰るのも、しんどいのでこうして教室で待っているというわけだ。


「なるほど、それでお前は周囲に付き合っていることを隠している手前、下手に学生会がある西棟に行くわけにもいかず手持無沙汰だと」


「隠しているわけじゃない。ちょっと……言っていないだけだ」


 恥ずかしいし、あえて周囲に言うことでもないだろう。そもそも、一緒に帰っているし、学食だって一緒の時もある。ある意味公言しているようなものだ。


「おいおい、ヒヨちゃんて、割と人気あるんだぞ。背が小さくて可愛いって言われているし、コミュ力高いし、元気だし、なにより……巨乳だ」


「人の彼女を、どう見てんだコラッ」


 ふざけ半分、ガチ半分で陸斗の襟を締める。


「ギブギブ、冗談だよ。でも、実際話題には挙がっているのお前も知ってんだろ?」


「何が言いたいんだよ」


「いや~、別に~、イテッ、暴力反対っ!」


 腹立つ顔をしていたので、肩パンしておく。しかし……そうか、日葵って人気あるのか。

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奴隷に鍛えられる異世界生活

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