日葵視点:パンは食べる角度が大事なのです。
はい、どうも卜部 日葵と言います。好きなものはお日様と甘いものです。
イックンがトイレに行ったので、ひとりでパンを食べますもぐもぐ。
「いたぞ、ちょっといいか?」
モグモグ、モグモグ
「おい」
私は、口が小さいので常に口を動かすことで効率的にパンを食べ方法を取得しているのです。
イックンやお母さんは行儀が悪いと怒りますが、なぜか妹は褒めてくれます。エヘヘ。
「緊張しているんじゃないか? さっさと話をしたいんだが……卜部さん、話を聞いて欲しい」
「モグ……私に用事ですか?」
パンに集中して気づきませんでした。学生会の青柳君ですね、隣にいるのは赤井君です。
私も、クラス委員なので何度か見たことがあります。
パン食いはリズムが命なのですが、話しかけられたらやめるようにイックンに言われているので辞めますか。
「君に頼みたいことがあるんだ。学生会に入って欲しい。無論この学校の学生会は生徒の投票によってきまるので、臨時の助っ人となるが、僕達と業務ができる」
「えーと、すみません。私、友達に仕事を頼まれているので、難しいかもです」
友達の友達が体調不良なので、委員会の仕事を手伝って欲しいと頼まれました。
テスト勉強もあるので、大変です。
「あぁ、多分これがその仕事だ。頼んでいた子が病気らしくってさ、卜部だっけ? お前、クラス委員会の仕事と文化祭実行委員の仕事をほとんど一人で回したんだってな。学生会は多忙なんだよ。俺達だけじゃ指示が出せないから、頼む。手伝ってくれ。忙しい時期だけでいいからさ」
赤井君が笑顔で頼んできました。青柳君はムスッとしています。多分お腹が痛いのでしょう。
しかし、体調不良とはその女子も可愛そうですね。
七難八苦を愛する私としては、手伝ってあげましょう。
「わかりました。いいですよ」
人助けは気持ちが良いですから。
「そうか、助かる。あっ、でも勘違いはしないでくれよな。これあくまで業務の手伝いだから」
「くれぐれも、他の人間に余計なことを言わないように。では明日放課後に学生会室へ来てください」
二人はそう言って、すぐに去っていきました。
よしっ、これで美味しくパンが食べれますです。
どの角度から食べるか、それが肝心……。
「ちょっと、ヒヨ。どうしてあの二人から仕事頼まれてんの?」
「学生会って、倍率いくらだと思ってんのよ。マジで羨ましいんですけど!?」
「わふっ、な、なんですか?」
その後もみくちゃにされて、質問攻めです。
クラスメイトだけではなく、知らない人からも、特に女子から包囲されてしまいました。
泣きそうになっていると、イックンが連れ出してくれたので事なきを得ました。
やっぱり、イックンは私のヒーローですね。