表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/167

第二部 2章『陰に日向に、人たるは何ぞや』009



 破壊神は破壊衝動のままに、闇の波動を撃つ。

 地面と一体化することにより、大地から魔力を吸い上げている為。大地の力が枯渇しない限りは無尽蔵に、この破壊の波を行使できる。

 これも一つ、ある種の人間社会に対する破壊だろう。枯渇した地は、再生にかなりの年数が掛かってしまうのだ。


 アルルは、放たれた波動を盾で防ぐ。

 また少し、欠けてひび割れる。

 着実に、盾の使用限界は近づいてた。


 アルルが波動を防いでいるのを、目の端で捉えつつ、ルビーは破壊神の頭部に飛び付き攻撃をする。

「アハー! 超・乱れ雪月花ぁ乱ブー」

 聞いてる分には、かなり間抜けで調子っぱずれの掛け声だろう。

 両の手を黒い鉤爪状に変形させて、無数の乱撃を繰り出した。


 その一撃一撃は、有効的に破壊神の頭部を削っていく。

 そして、アルルの時と同様に。

 切り裂く瞬間から超再生が始まって、肉を薙いでは元に戻ろうとする。

 それのイタチごっこだった。


「アハー、なんとー!」

 頭部を蹴って、後方宙返りを決めつつ空中へ。

「アハー、なんとまぁ中々の再生怪人具合ですネー。アハハー……なるほど、体がおっきい事の利点はそういう事? 単純に火力不足?」

 フムフム、などと言って思案するルビー。


 すぐさま再生が追いついた破壊神は、次弾の溜めに入る。

「アハー、ならこれはどうダー!」

 ルビーは、頭部に噛み付いた。

はぁふでじゃんびに(これでゾンビに)なぁふなぁなぁ(成るかナー)?」


 破壊神は、お構いなしで闇の波動を発射。

 アルルは、それをすかさず防ぎに行く。

「くっ!」

 ーーあとどの位、保つ?

 ますますひび割れていく盾を見つつ「ゾンビー、もうあと何回も受けれないぃーー!」と、大声でルビーに促す。


「アハー、デカいから耐性も強いのかナー?」

 噛んだ所で、何も変わらない。

 自身に残された武器や編み出した技を、頭に巡らす。

 どれも、この巨体と超再生力の前には、有効かどうか怪しかった。


 格好をつけて登場した割には、何とも締まらないなと、ルビーは自嘲する。

「アハー、普通は分かりやすく弱点とか、露出してるんだけどナー」

 登場時に、放った飛び蹴りをもう一度喰らわす為に、上空へと移動。

 速度と落下の力を利用した飛び蹴りで、内部を貫いたら。運よく体内の弱点に当たって、破壊できないかと。ルビーは、考えた。

 仮にそんな弱点があったとしても、体積比率から見れば。

 中々に、難易度は高いだろう。


「アチョォォーー」

 今度は技名は叫ばない。

 破壊神は、ルビーの事など無視をしてくれる為、狙いは付けやすかった。

 頭頂部から、一直線に突き破る。

 結局それも、貫通しただけで、すぐに再生が始まった。ルビーは「えっ、無理ゲー?」と、呟く。


 そして、発射される波動。

 アルルが、防ぐ。

 もう輝く盾は、三割ほどが欠けている。

 ーーくそっ、防ぐだけ。ゾンビの攻撃も効かないのか……?

 ひび割れた盾を見て、アルルは歯噛みした。

 ーーなんで盾だけなんだ!

 自身に発現した盾を、心の中で悔やむ。状況は最悪を免れたが、事態を脱する為のスキルでは無い。

 ーーくそっ! 大きい剣とかであれば……


 アルルの脳裏に、これまでの出来事が電撃のように駆け巡る。


「ゾンビーっ! こっちに来てくれぇーー!」

 破壊神は力を溜めている。

 ルビーはその大声を聞き。素早く飛行し、アルルの下に駆けつけた。

「アルルさーん! 何か思いついたんですカー?」

「剣っ! 剣になれるか?」

 ルビーはアルルを一瞥して、武器を持っていないのを確認。手をポンと叩く。

「アハー、なんか剣になればいいんですネー。アハハー」


 ルビーは、自身の創造する能力を応用して、体を変化させる。

 それはアルルの身長程もある、漆黒のロングサーベルとなった。

 そこで闇の波動が発射。


「ぐぅっーー」

 アルルは、右手でそのロングサーベルを掴みながら、左手の盾で波動を受ける。

 押し流される激流に似た、その中で。

『アハー、アルルさん大丈夫ですカー?』

 サーベルから声がする。否、直接頭に響く感じである。


 盾の能力が、だんだんと弱まっているのを、アルルは肌で感じる。

 闇の波動の圧力が、どんどん上がって来てもいるからだ。

 足を踏ん張り、地面が軽く隆起した。

 解消(キャンセル)するのにも、時間がかかるようになり、その分の負荷がアルルの体に降り注ぐ。


「ぐっ、うあぁぁぁぁあああっ!」

 瀕死のままアルルは気力で耐え、声を振り絞る。

「ぞ、ゾンビ……、このっ、くっ。はぁはぁ、剣を大きくできる?」

 耐えながら、ルビーに。漆黒のロングサーベルに語りかけた。

『アハー、大きくー?』

「あの……くっ。翼とか、手を大きくしたりっ、はぁはぁ。……してたじゃないか。あの要領で……この剣をもっと……大きくっ」

 ようやく闇の波動を防ぎ切る。

 

 その瞬間、アルルはざっと膝を地面につく。

『どの位ですカー?』

「はぁはぁ……アレを、両断できる位……」

 左手を閉じ、光輝く盾は消える。

 代わりに両手で、漆黒のロングサーベルの柄を持つ。


 破壊神は、無機質にもう一度力を溜める。

「早くっ、できるだけ大きくっ」

 アルルは、駆け出す。


『エエ、アハー、やってみまスー』

 ロングサーベルは、二倍、三倍とアルルの手の中で、巨大化していく。

 刃渡、7m前後。


 溜めるまでのゼロコンマ何秒、一足に距離を詰める。

 

 破壊神の波動が放出される口部分に、一閃。

 突起したその部分が、ぱっくりと二つに割れた。

 だが再生が、早くも始まり。斬られた部分の細胞が、分かたれた半分を、探し伸びる。


 アルルは、サーベルを返しもう一度。

 二閃、三閃。左右に斬り分ける。


「もっとっ、もっと大きくっ!」

 斬りながら、ルビーに指示を出す。

『欲しがるネー……、ウーム』

 実際の大きさは見た目だけで言えば、もう少し、長く大きくはできる。しかしそれは、ルビー自体の堆積を薄めて、体積を確保しているだけに過ぎない。

 一見、刃渡7m前後のロングサーベルも、堆積の総量は変わらないので、非常に軽いのだ。

 そんな軽さでサーベルとしての機能を維持できているのは。単純に、ルビーの防御力と。アルルのレベル依存による攻撃力により、実現している。


 これより、長大に。そして巨大にする為には、どうするか。

 ルビーは前々から、うっすらとだが考えていたスキルを思い浮かべた。

『アハー、やってやりますヨー。出来ると思えば出来るっ! アハハハー』

 そう言って、うんうん唸り出すロングサーベル。


 吸血鬼としての特性である、想像により創造する能力。

 《創造力顕現Lv.3》ーー想像力が伴う範囲での、武器の創造、体の形態変化を可能にするスキル。

 この応用範囲をもっと広げられないかと、ずっと考えていたルビー。


 エルフの国にいた頃を思い出す。

 毎夜毎夜、こっそり抜け出しては。自身のステータスと、スキルスロットと睨めっこをしてあーだこーだと試行錯誤。

 ドラゴンに変化する練習をしていた。

 結論から言えば、それは失敗する。


 今ならその失敗の原因が、朧げながらルビーには見えていた。

 形態変化では、()()()()()()()()

 外側だけを変える事はできるが、それ本来の機能を有する事は難しいのだ。

 単純な作りの、翼や剣などは形態変化の範囲内でも、そんなに差は出ないのだろうが。複雑になればなるほど、その再現は難しい。


 ルビーは、心の中でそのスキルを欲した。

 破壊神を見て学んだ、重さや大きさという要因(ファクター)を満たすスキルを。

 そして、本質を変え得るスキルを。

 

 スキル:倍化の術Lv.3ーー自身の重さをX倍(使用者のレベル依存)

 スキル:変幻自在Lv.3ーー無機物、有機物問わず。想像力による変身を可能にする。但し、自身の体重の誤差20キロ前後の範囲内でのみ。

 

 を、ルビーは獲得する。

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ