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エピローグ
「ねぇせんせー、これ、なにかけばいいのー?」
真っ白な紙。お題は「すきなもの」
「君が好きなもの、描きたいと思ったものを描けばいいんだよ。」
「えーー、わかんないよそんなのー。」
"せんせー"は辺りを見回す。丁度近くにあった紙を手繰り寄せ、それに無茶苦茶に線を引いてみる。
「うりゃうりゃうりゃー!」
「うわー!せんせーなにしてんのー!」
突然の奇行に子供たちは大はしゃぎだ。
「よし、良いね。出来たよ。」
目の前に広がる、大変に個性的な風景に"せんせー"もどこか満足気である。
「きたなーい!」
「なにこれー?」
「あっ、でもここきれいなまるになってるよー!」
「ほんとだー!あ!こっちはくもみたーい!」
「実は、せんせー、丸と雲が描きたかったんだよね。上手いでしょ?」
「うそじゃーん!」
「へたくそーー」
そう叫んで、子供たちは元気よく笑う。
彼らは何が好きなんだろう?
或いは、何を好きになるんだろう?
彼らは"自分"を見つけられるだろうか。
スポットライトには自分自身がなってやらなくてはならない。
願わくば、彼らがそれに素直であらんことを―――
(了)