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妖精の住処  作者: 速水零
99/312

バイクお披露目

ルビ振り機能で変なルビが振られていたので訂正しました。


あらすじ

バイク納車しに行こう!


「おはよう、涼くん」


「おはようございます、集さん。今日はよろしくお願いします」


 涼が玄関を出ると集のバイクトレーサー900GTが目の前に止まっていた。


 このバイクは涼の憧れのバイクの一つで、涼の大好きなYAMAHAの名機ツアラーバイクだ。安定した旅をするならまずこのバイクが名前をあがるだろう(と、涼と集は考えている)。


 大きな車体にゴッツいサイドケースにリアケース、845ccの水冷3気筒。クイックシフターが標準搭載されており、クラッチを握らなくてもシフトアップのみだが変速ができるので、長距離バイクに乗る時でも手に疲労が溜まりにくくなる。またクルーズコントロールも優秀で、まさに旅をするためのバイクと言えよう。


 いつか僕もこんなバイクで日本一周してみたいものだ、という感想を胸に秘めながら涼はさっそくトレーサー900GTのリアシートに座った。シートが広くて、バイクの重量もありとても安定感がある。

 

 サイドケースが付いていても楽にタンデム(二人乗り)ができるのが素晴らしい。これならタンデムしながらでも旅行に行けるだろう。


「じゃあ、行こうか」


「はい。お願いします」


 集は涼とは違い顔部分全体がバイザーになっているジェットヘルメットを被っている。耳の辺りにはあまり見慣れない機会が取り付けられていた。


(なんだ、これ……ああ! これがインカムか! 一緒に走るバイク乗りと無線で繋がれて、一人の時でもスマホとBluetooth接続できてナビの音声や音楽が流せるってあれか。欲しいなーって思ったこともあるが、実物を見るのは初めてだ。ロードバイクに乗るときみたいに骨伝導イヤホンはヘルメットが窮屈すぎて絶対使えないから面倒だと思ったけど、やっぱりあると便利なんだろうな。羨ましい。いつか買おう)


 集が運転している間、涼はとても暇だ。バイクで十五分くらいのところにバイク屋があるのですぐ着くだろう。


 インカムについて考えつつ、これから自分のものになるバイクを想い、涼は風を切って進んだ。


「さて、到着。じゃあ涼くんは先に入って事務処理を進めておいてくれ。俺はバイクを停めてくるから」


「わかりました。ここまで連れてきてくださり、ありがとうございます」


「ああ、いいよいいよ」


 涼は集に礼を言うとバイク屋に入っていった。


 ここは様々な中古や新車の置いてある全国展開しているバイク屋だ。外から何十台もバイクが眺められる姿は圧巻の一言に尽きる。


 この中に自分の買うバイクが置かれているのだと思うとさらにテンションが上がる。


 早速見に行って眺めたいところだが、納車の事務処理はかなり時間がかかるらしい。集の言う通り、涼はカウンターにいる顔馴染みになってきた店員に声を掛けた。


「木下さん、お待ちしておりました。ただ今店長をお呼びいたしますね」


「よろしくお願いします」


 涼は買うバイクをずっと前から決めていたが納車を頼む前から何度も足を運んで眺めてに来ていた。


 何度見に行っても飽きることはなく、店員からもここがすごいと話を聞いては期待に胸を膨らませていた。


「おはようございます、木下さん。ついに納車ですね」


「はい、ずいぶんと待ったような気がしますが、同時にあっという間だったような気もします」


「ははは、誰もがバイクを買うときはそう思うものですよ。私はこんな年齢になった今でも新しいバイクを買うときは胸が高まって仕方ない。では、早く自分のものになるよう、手続きを終わらせましょうか」


「よろしくお願いします」




 そこから三十分ほど注意事項や定期点検について、会計精算の話、自賠責保険についてなど色んな話をされた。


 涼はすでにお金を振り込んでいるので、今大金を生で渡す必要はない。


 未成年でバイクを購入するのには販売店の出す親の同意書が必要なのだが、これはすでに父親に頼んであり提出できるので恙無く進む。


 因みに、任意保険についても親の協力が必要なので、同時にお願いし、すでにそちらの手続きは済んでいる。「まだ学生だから保険料は私が持とう」と言ってくれたので、お金が節約できた。


 任意保険は全年齢の適応かつ初年度なので十万前後はかかる。本当に助かった。分割で毎月1万の出費はデカい。


 今後ろに立っている集は晩婚というほどでもないが、だいぶ遅くに結婚しているので涼の父親に見えなくもない。誤魔化すこともできそうだが、のちのち法的に問題が起こりうるので却下した。一緒に来た説明はバイク乗りの友達の父親ということで納得してもらう。


「ではバイクの説明をしましょうか」

 

「お願いします」


 涼の買ったバイクはどうやら店内に飾っているわけではなく、集が止めた駐車場にあるらしい。


 店長がパソコンで作業している間に店内を見渡しても自分のバイクが見えなかったのはこのせいなのか。


 でも考えれば当然だ。これから乗って帰ろうというのだから外に置いておかなければならない。


 駐車場に着くと涼の買ったバイクYZF−R25がドンっと佇んでいた。


(カッコいい!!!!!!!!!!!


 カッコいいカッコいいカッコいいカッコいいカッコいいカッッッッッッコいい!!!!!!


 カッコよすぎッ!!!!!!!


 なんだこのバイクは!! ロマンの塊じゃないか!!! いや、ロマンそのもの、夢と言っていい!!!


 何度も何度も見に来ているし、タブレットやスマホのホーム画面、ロック画面にしているくらいには良く見るのに、自分のものになった途端カッコよさが十倍は跳ね上がった。


 ヤバイ。ニヤケが止まらない)


 涼の思考は完全にR25に向いており、自分の世界が構築されていた。


 店長のバイクの操作説明は何度もネットの動画投稿者の納車動画や販売店がやっている動画で見ているので、頭から抜けて出ていっても問題無い。


 しばらく涼はR25を見つめていると、店長の話は終わったらしい。質問はないか聞かれたので「大丈夫です」と返した。


「では、これで一通り納車説明は終了です。お買い上げいただきありがとうございました。一ヶ月もしくは千キロ走った際には初回点検を受けに来てください。慣らし運転にも気をつけてくださいね」


「はい、わかりました。本日はありがとうございました。大切に乗りたいと思います。また一ヶ月後にオイル交換と初回点検を受けに来ますね」


「はい、お待ちしております」


 トレーサー900GTのリアシートに乗せているフルフェイスヘルメットを被り、店長からもらったキーを差し込んでイグニッションをオンにする。


 フルデジタルメーターからブーっと音が鳴る。キルスイッチ一体型のセルスターターを下にスライド、エンジンがかかり純正マフラーから小気味良い排気音が聞こえてくる。


(ああ、この音を聞きたくて買ったと言っても過言じゃない。最高だ。パラツインの連打するような振動も心地よい)


 試しにスロットルを捻って吹かしてみるとブルォォォンブルォォォンと走るぜ!早く駆けようと訴えてくる音が鳴り響いた。


 慣らし期間で回転数は限定されているのでまだ全力を出してはいけないが、いつか回して遊んでみたい。


 跨ってみると両足がカカトまで地面に付いた。まだ涼の身長は伸びており、百七十後半で正確な数値はわからないが、これなら女性でも乗りこなせそうだ。


 一通りマイマシンを眺めて、ちょっと弄って遊んだのち、涼は集と共にバイク屋を後にした。

涼が珍しく感情を爆発させていますね。

メーターがフルデジタルということで分かる人には分かると思いますが、これは2019年以降のつもりで書いています。あまり関係ありませんが。

ついに、明日記念すべき百話!


次回

マイバイクを初運転

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