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妖精の住処  作者: 速水零
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元カノとデート

あらすじ

月曜テストを返すことになった

「涼と二人っきりで出かけるのって何年振り? もう五年前くらいになるのかな?」


「中学一年以来だからそのくらいだろうな。結構遊びに出掛けるの好きだったんだけどな」


 今日は柚が期末テスト頑張ったことの報酬のプレゼントを買おうと前々から考えていた。


 自分も期末テストを受けていたのになんで労う側になっているんだと思う涼だが、姫やその友達のシール制度を自分にもとせがまれた以上、柚のご機嫌とりのためにもやるしかないだろう。


 しかし、ここで一つ問題が起きる。空や海のデートの時にも悩んだことだが、柚に何を渡せばいいのかが検討もつかない。前に柚が言っていた案もあるが、それでは品がない。どうせやるなら柚を驚かせたいものだ。


 ということでその解決策として元カノ春咲葵の登場だ。以前また出かけよ〜って言われ、最近ringでも期末テスト終わったら遊ぼうよと誘われていた。


 久しぶりに葵と遊ぶのは面白そうだし、ちょうど良い機会なのでプレゼント選びに付き合ってもらうことにする。葵からの了承も得た。


 葵からしたら他の女子に贈るプレゼント選びに付き合わされるのは面白くないが、涼と遊ぶ機会は滅多にないので了承せざるを得なかったのだ。


「今回プレゼントを渡すのは例の浮波柚さん?」


「まあな。この前ちょっと相談に乗ってもらったからお礼しようと思って。でも遠いところに住んでるから郵送だけどな」


 公的に?柚にプレゼントを贈るとなるとそのくらいしか理由がない。なぜ普段の礼を受けるはずの僕が柚にお礼しなければならないのだ、と涼はどうにも腑に落ちない。本日二回目だ。


「相談に乗ってもらったお礼でそんなことまでする? 普通。あっやし〜い!」


「怪しくない怪しくない。家が近ければ何か奢って済ませたって」


「じゃあ私にも何か奢ってくれるってことね! いいもん期待してる」


「……まあ、そうなるか。いいよ」


 そういうことで、涼と葵は最寄駅から数駅で着く大きい駅に来た。涼の住んでいる最寄駅でも大概何でも揃うが、レジャーや品数を考えると自然とちょっと外に足が向く。


「前に付き合っていた時もたまに来たね。カラオケ行ったり、カフェ行ったり、ボウリングしたり、映画見たり」


「そう言われると結構一緒に遊んでいたんだな。あまり小遣いがないからって頻度は低かったけど」


「ね。いろんなとこ行ったなー」


「ま、うちの最寄駅よりもずっと栄えているからな。僕はこだわりなかったけど葵が来たいってうるさいから」


「な……りょ、涼がここじゃつまらんからもっと遠出しようぜって言ったんじゃない!」 


「そうだったっけ? そんなことには興味持たなかったと思うけど」


 別に涼は一度記憶したことを忘れないなんてチート能力は持っていない。記憶力には自信あるが、五年前の自分の感情など覚えているわけがない。


 葵はあの頃のことは全て覚えていると言う。まあ、初恋の彼と過ごした時間だ。なかなか忘れようにも忘れられない大切な記憶なのだろう。「やっぱり涼は私と付き合ってたことなんて小さな出来事だったのね。わかっていたけどさ」と葵は小さく呟いた。


「じゃあまずどこ行く?」


「んー、プレゼント選んで遊ぼうよ。せっかく期末テスト終わったんだからはっちゃけたい!」


「なんか嫌なことは先にやっちゃおって感じだな」


「もち」


「ま、僕も自分から言いだしたことだけど早く済ませたいから賛成」


「決まりね」


 二人は大きなデパートに入り、いろいろな商品を見て回る。


 なんども来ているデパートなだけあって、何階のどのあたりに目当てのものがあるかお互いよくわかる。


 長い付き合いなのでいちいちどこ向かうか、なんて言わなくても足が向く。


「柚さんってどんなのが好きなの?」


 とりあえずここなら良さそうなのが揃っているな、ってフロアに来たが、具体的に何買うのが良いのか葵には見当がつかない。


「知らない。そんなに深い関係でもないしな。ま、一般的な女子高生って感じだ。SNS見ている葵ならわかっているだろ」


「まーそんな感じか。一般的なって言うよりずっとセンス良いけどね。だからこそ選ぶのムズすぎ」


「あのヤンチャだった葵には荷が勝ちすぎているか」


「いつの話よそれ。涼は昔っから変わらないんだから」


「それが僕の強みだからな。好きなことを好きなだけしてして趣味に生きるのが目標」


「でも、最近の涼変わり始めたよね。それも柚さんのおかげでしょ? あんな投稿し出すし、後輩の面倒見いいし。冴ちゃん勘違いしそうだったけど」


 佐伯冴。葵が言う冴ちゃんというのは同じバイト先の後輩で、最寄りの女子校に通う高校一年生で、最近入った子だ。涼とバイトがかぶることが多く、よく頼られている。


 涼からすれば冴は柚と同じ歳で、しっかりものなした後輩。中学では他学年とほとんど交流なかったし、空や海はなんか違う。初めてできた後輩なのだからそりゃ可愛がりたくもなる。


「勘違いって言ってもな。僕は普通に対応しているだけだけど、なんか狙ってるとか周りに思われているのか?」


 みんな後輩には甘いって聞くからあまりズレてはいないはずだと涼は主張する。


「んー、いや、涼を狙う人の話題が強くてそんなこと思っている人あんまいないんじゃない?」


「へー、僕は狙われているんだ」


「他人事ね。こんな垢抜けた涼でもまだ恋人を作る気にはならないかー」


「別に前も言ったけど彼女が欲しいって欲求はあるんだからな、たまに。それで作って後悔して、学んで、時間が経ってまた欲しくなって作って、のサイクル」


 柚にも同じ話をしたことがある。自分の恋愛観念をなんで周りに伝えなきゃならないのだ。ふしぎ。


「今まで後悔しないだろうなって相手いなかったの?」





「葵は後悔しなかったけど?」





 何も考えずに、その言葉は零れ落ちた。当然事実だと言うように放たれた。


 散々周りとは合わないだとか、理想と合致しないだとか言ってきた中でこの一言。紛れもない本心とはいえタイミングというものがあるだろう。


 無論、葵を落とすなら最高のタイミングだろうが。


「ッ!!?? ……そんなこと言われてもなー…………返答に困る」


 葵は珍しく顔を真っ赤にして俯いた。涼は葵の女らしさを見て動揺する。


 男友達と同様とはいかないが似た扱いができてとても居心地がいい相手なだけにそんな不意打ちは急所に刺さる。


「僕もなんだか自分で言ってて恥ずかしくなった。……とりあえず小物系から見て行こうぜ」


「……うん」

こういう会話大好き。

会話主体でちょろっと描写。こんなテンポの良い話はノッて書けるからいいですね〜。

葵みたいな子むっちゃ好きなタイプです。


次回

元カノと打ち上げ

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