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妖精の住処  作者: 速水零
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小さな来客者達

あらすじ

姫にシール制を取り入れた

「勉強をしっかりしているようで良かった」


 姫の宿題をやる姿を聞かせて姫に発破をかけた次の日、涼が学校から帰宅するとリビングのダイニングテーブルで勉強している柚の姿があった。


「そりゃあんな風に攻められたらやるしかないわよ。どうせ課題もこなさなきゃいけないんだし。やっぱり狙ってやっていたのよね」


 スマホの電源を落として勉強の手を止め、涼と向かい合う。


 なんでダイニングテーブルの上でやっているかというと、犬用ベッドとは気分を変えたかったからだ。あそこにいるとほんと眠くなって、今の柚には劣悪な環境となっている。

 

 姫が昨日ここで宿題をやっていたってのもあるだろう。


「もちろん。悪かったと思っているから、そんな顔するなよ」


 柚は顔を膨らませて涼に抗議するが、相変わらず顔が小さすぎてわかりにくい。


 サクランボのようにマルッと膨らんだ柚の頬を右手の親指と人差し指でプニッと潰して遊ぶ。


 ひとまず柚の心は期末テストに完全シフトしたようでよかった。


「それやめてよ。ちょっと痛い」


 涼からしたら頬を触っているだけだが、柚には手のひらで押しつぶされているような感覚だ。


「ごめんごめん」


「ったくもー……涼は私に触るのが大好きなんだから〜」


「誤解を招くような言い方するな。でも柚の体面白くてついやりたくなっちゃうんだよな」


 涼に人形をいじる趣味はないし、オタクがニタっと美少女フィギュアを撫でている姿には嫌悪感を覚える。


 しかし、こんなおかしな見た目をした人間?がいたら観察、研究したくなるのが理系だ。反省はするが改善されることはないだろう。


「……まあいいわ。それよりも涼、あんた姫にまた何か変なこと始めたでしょ」


「またって…ただのシール配りみたいなやつだよ。よくあるだろ、勉強をしっかりしたりテストで良い点を取ったらもらえてどんどん貯めていくやつ」


「あー、確かにそんなのあったわね。それで、貯めると何がもらえるわけ?」


 柚もその制度に覚えがあった。柚が子供の頃にあったのは読書したらスタンプがたまっていくやつだったが、よくあるやつだろう。


 こういうのはただ貯めるだけで終わりという場合もあるが、涼のことだから何か用意しているに違いないと思った。


「いいもの。でも何をあげるかは愛さんや集さんに丸投げした。あまり小桜家に踏み込みすぎるのもアレだしな。集さんなら娘が可愛すぎてとんでもないものを用意しそう」


「確かに……ねえ、私には何かないの?」


「もう小遣いあげているだろ」

 

 涼はすでに柚が勉強の課題をクリアするごとに服を買ってやったり、お小遣いをあげたりしている。


「それでも何か欲しい! ……ダメ?」


 柚はダイニングテーブルの上をテクテクと歩いて涼に近づき上目遣いで見つめる。


 小さくなって補正がかかっているとはいえ、柚は紛れもない美少女だ。相対的に大きな瞳に吸い込まれるような薄い桜色の唇、整った鼻筋、近づいてきたことにより長いまつ毛が見える。可愛い。

 

 破壊力あるおねだりに涼は一瞬たじろいだ。こういうねだり方は普段してこないためダメージは大きい。


「い、いや、今のままで十分だろ」

 

 別に金銭的に厳しいわけではないが、このまま我儘を通すのは柚の教育に悪い。妖精姿だからってなんでもかんでもやってもらえると思わせてはならないのだ。


「…………」


「…………」

 

 柚がじーっと見つめてくるので涼も何も言わず見つめ返す。


「……………………」


「あー、わかったわかった。そんな目で見るなよ」


 先に根負けしたのは涼だった。


「何か考えておくから、その分勉強に集中してくれよ」


「もちろん! 期待しているわ!」


 やったーと両手を上げてバンザイしている柚を尻目に涼は褒美を考えた。



 ピンポーン。


 また何か嫌な予感がする。


 インターホンなんてネット注文の多い涼や柚にはお馴染みの音なのだが、今回は何か圧力が違うように感じた。


 二人は同じ気持ちのようで顔を合わせて疑問符を浮かべる。


「柚何か頼んでいるのか?」


「涼こそ何か頼んでいるんじゃない?」


「いや、別に僕は何も頼んでいないが……」


「それは私も同じ」


 いつまでも不思議がってもいられないので、涼は通話ボタンを押して対応し、柚はインテリアとして紛れるような所に移動した。


「「「こんにちわ!」」」


 カメラ越しに映るのは姫と同じくらいの歳の女の子たち、そして後ろに控えるように愛。


 全くの予想外の事態が起きたのはわかった。


「はい」


「入ってもいいですか」


「ああ、いいよ」


 ここで今日はダメだなんて言えるわけがない。


 昨日自由な日だった分今日はジムに行く予定だったが、別の日に変えるしかないだろう。


 愛は知っているはずなのになんでやってきたんだと涼は文句を言いたい気分だが、笑顔で解錠ボタンを押した。


「「「お邪魔します」」」


 姫とその友達二人がやってきた。


 なぜやってきたのか不思議に思いながらも自然に振舞うが、多分苦笑いを浮かべているだろう。


「へー、この人が涼お兄ちゃんなんだ」


「カッコいい!!」


「テレビに出ている人みたい!」


「イケメンだ!!」


 姫の友達から絶賛されるが、ほんとなんで来たのかのかわからず曖昧な返事しかできない。


「愛さん、どうしたの?」


「ん? 茜ちゃんに楓ちゃんのこと? なんか涼くんの家に遊びに来たかったみたいで、今家にいたから連れてきちゃった」


「連れてきちゃったって、なんで僕の家に来たがるんですか?」


「それは、涼君が姫にあんな下敷きを渡すからでしょ。姫は学校でみんなに見せびらかしたみたいで、羨ましいって思った姫の友達がうちにやって来てここに至るってわけ」


 下敷きなら学校でも使えるから便利だと思って採用したのだが、こんなことになるとは予想外だ。しかも昨日の今日だぞ。なんで?


 いつまでも慌てているわけにもいかず、いっそ諦めて姫の友達とも仲良く接していくことにする。


 茜、楓と呼ばれた姫の親友を眺めながら涼は心の中で頭を抱えた。

幼い子ってよく自慢しますよね。それにつられて喧嘩に発展して……

僕も昔学校で発言したらその回数分シールをもらうってことをやってもらいました。

この姫の友達はストックをため込んだ時にも考えていなかった完全新キャラ?です。どうなるのかな?


次回

姫さまの御友人

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