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妖精の住処  作者: 速水零
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お姫さまのお勉強

あらすじ

姫来襲

 突如柚のスマホから聴き親しんだ音楽が流れ出す。


 ビクッと一瞬飛び上がってスマホを確認すると涼からの着信だった。


 そういえば涼以外繋がっている人いないんだったと少し悲しみつつ、掌でスマホをタップすると何か会話が聞こえてきた。


(あれ? 今涼は姫と遊んでいるはずよね。なんで電話かけてきたのかしら。しかも要件も言わないし)


「もしもーー」


「姫は宿題を頑張れてほんと偉いな」


「そう? おかあさんやおとうさんもほめてくれるんだよ。あたりまえのことなのにね」


 大好きな涼に褒められて恥ずかしがったのかこんなのできて当然だよ、というように胸を張る姫。


 柚はなんでこのタイミングで涼が私に電話をかけてきたのか理解した。


(涼、私が期末テストの勉強したくないって駄々を捏ねているからって、姫がしっかり宿題をやっているのを聞かせるなんて……。この頃はみんな一応は宿題やるんだって。しかも姫はお利口さんだから比較しないで欲しいんだけど!)


 小学一年生と比較しないで、なんていうのは口が裂けても言えないが、勉強したくないものは勉強したくない。


「勉強好きなの?」


「ふつー。でも、さんすうはおもしろいから好き!」


 姫はファンタジー思考の絵本が大好きな将来文系になりそうな少女に思われるかもしれないが、理系の涼の影響もあり、算数も大好きになっている。


 姫と遊ぶと半分は絵本を読んでおままごとに展開される。涼は面倒になった時、数字遊びを姫に持ちかけていた。


 好奇心旺盛でなんでも楽しめる少女はたくさん数字で遊び、算数にも応用させることで算数も大得意、算数イコール遊びのような認識になった。


(そう思っていられるのも今のうちよ。どうせ小学校四年生ぐらいから勉強がより大嫌いになって、中学生になったら嫌悪感で蕁麻疹が出そうになるはず!)


 かなりイヤな奴になってきた柚だが、誰も柚を批難することはできないだろう。


「そうか。それで、今日の姫の宿題はなに?」


「えっとねー……ちょっと待ってて今出すから」


 姫は手さげ袋からクリアファイルを取り出し、宿題を涼に見せる。


 算数の引き算問題だった。姫との数字遊びで良く足し算引き算はやっているので今の姫なら三分でできるだろう。一緒にやろと言いだしたのはかまってほしい話題作りだった。


 それか私ちゃんと勉強できるよ、宿題やるよ、えらい?みたいなものか。微笑ましいので涼は何も突っ込まず、姫の隣に座った。


「じゃあ始めようか」


 

 通話を切ったら後々涼から面倒な目に合わされると思った柚は、姫が真面目に勉強しているよ、という隠されたメッセージを突きつけられていた。


(わかった、わかったから、勉強すればいいんでしょ! やるわ、やってやるわよ!!)


 柚はテンションが上がらないながらも勉強アプリを起動し、今までの総復習に入った。


 

「やっぱり姫は頭がいいね、もう算数終わったな」


「うん、こんなのかんたんだよ! ねえ、もっとむずかしいもんだい出して! 出して! 前やったやつやりたい!」


 算数の宿題プリントが姫には退屈すぎたようだ。姫は涼にもっと難しい問題をねだる。


 自分から勉強をやりたいなんて立派な姿勢だ。柚はしっかり影響を受けてくれたかな?と涼は二階にいる柚を見るように目線を上げて微笑む。


 涼はタブレットを取り出して以前姫にやらせた知育アプリを起動する。


「ねえ、いいけっか出せたらごほうびちょうだい!」


「ご褒美か……何がいい?」


 姫が好きそうなことは大体わかるが、だからといってこの程度でどこまで叶えてやるか判断が難しいので一応意見を聞いてみる。


 姫はしばらくうーんと悩む。子供はこういう風に悩み出すと案外じっとするものだ。あれがいいこれがいいとずっと考え続けている。


「…………どうしようかなぁ……ゲーム欲しい!」


「それは望み過ぎだ。もっと軽いもので」


「じゃあケーキ食べたい! いちごショート!!」


(まあそのくらいならいいか。でも、あげすぎると後で愛さんに怒られるかもな。何か今後も役立つ使えるものがいいか。……あ、スタンプ制にするか)


 小学生、それも夏休み間際ということで涼の頭にはラジオ体操のスタンプカードが浮かんだ。


 毎回褒美を出すと週二でケーキを出すことになり姫の教育上あまりよろしくない。


 スタンプカードならまず褒美にたどり着く前のスタンプで高揚するだろう。


 スタンプじゃなくてもシールだってアリかもしれない。姫が好きなファンタジーのシールを貼ってあげればそれだけで十分姫にはご褒美だろう。


「それもいいけど、姫はさっきミルクティーと一緒にお菓子を食べただろ。それ以上は食べすぎになるから、他のにしよう」


「えー……ん、わかった」


 さすがよく教育された少女だけあって聞き分けが良い。姫は渋々ながらもしっかり納得した。


「じゃあシールをあげよう。たくさん貯めたら何かいいことあるかもよ?」


「シール!? ほしいほしい! どんなシール?」


「姫が好きなやつだよ。あと欲しいものあるか調べてて。今日の分持ってくるから」


 貴族おうちセットを買った時一緒にいくつものシールが入っていたのを思い出した涼は自室に戻る。


 柚は勉強に集中しており、涼が部屋に入ってきたことに気がつかない。


 勉強を小型タブレットやスマホでやるときは貴族おうちセットの中では狭いので犬用ベットでやっている。


 涼が今姫を連れてやってきた時完全にバレるじゃないかと文句を言いたいところだが、勉強するように仕向けた涼が頑張っている柚を叱責するのは理不尽すぎるので心の中で頑張れと応援してシールを取り出した。


 ついでにシールを貼るため用の下敷きも持っていく。


 シールを貼る台紙みたいなものは凝る必要がないので、あり余った透明の下敷きで十分だろう。


「ほら、これにこのシールを貼っていこう」


「わー、すごい! ほしい! ねえ、それくれるの?」


「いい成績出せたらシールを一枚あげよう。裏面も埋まったらお父さんが何かいいものをくれるさ」


 肝心な大きなご褒美は集さんに丸投げしよう。別に姫は涼の教育係でも家族でもないのだから、やりすぎは良くない。


「ホントっ!!? たのしみー! 早くやろやろ!」


 かなり効果覿面のようだ。早く知育アプリで遊びたいと姫は涼にしがみつく。


 涼はアプリを開く前に、先ほどまで姫が探し欲しがっていたシールを購入し、いつか貼ってやるかと思う。まだ七歳とはいえ、現代っ子は電子機器への適応能力が高く、ネットショッピングで欲しいものを見つけるくらいはできるのだ。すごいな。




「ねえ、この下敷き持って帰っていい?」


 姫は知育アプリで楽しく勉強をして二枚シールを下敷きに貼ってもらった。貴族おうちセットの付属品なだけあってキラキラして可愛い。姫のテンションはかなりぶち上がっていた。


 スマホの知育アプリであるため、そもそも一日にできる量が決められている。限界まで遊んだ柚は満足そうにジュースを飲んでいた。


「ああ、いいぞ。お父さんやお母さんにも姫がこんなに頑張ったんだよっていうのを見せてあげるといい。お母さんの前で勉強した時も貼ってもらうといい。でも、僕の家に遊びに来た時に忘れちゃうと貼れないからね」


「うん、わかった!」

 

 嬉しそうにシールの貼られた下敷きを眺めている姫を見ていると心が洗われるようだ。


 しばらく他のゲームアプリで一緒に遊びながら涼たちは愛が迎えに来るのを待った。

ただのシールでも子供は喜ぶから可愛らしいですよね。どこが嬉しいんだろう。

競争になると中学生になってもシール集めに奔走したりします。

小学生が真面目に勉強しているよって発破をかけられる柚可哀想。


次回

お姫さまのご友人

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