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妖精の住処  作者: 速水零
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バイト戦士の過去

長め

あらすじ

涼のアルバイト紹介した

 春咲葵は涼にとってそこそこ仲の良い同中だ。変人だと呼ばれた中学時代の中で葵は距離を置かずに接してくれた数少ない友人だ。


 SNSの勉強をするために同中で光の友達をフォローしたことがあるが、そのときに葵も参考になるかと思ってフォローしていた。もちろんすぐにフォロバされた。


 だから涼のSNSを葵が見ていても不思議ではない。


「ふーん、なるほどね。涼がSNSをまともにやり始めようとするとは。たかだかツーショットのためにそこまで涼を変えるとはあの双子もやるね」


「そんなこと考えているわけないだろ。回りくどすぎる。一言撮らせてくれと言われたら別に断ることはないし、向こうも断られるとは思ってないだろ」


「そうやってなんでも直線的に進めるなら恋愛に駆け引きなんてのは生まれないんだよ」


「恋愛ねー……葵も僕に何か駆け引きしていたのか?」


「もちろん。幼稚園児や小学校入りたてじゃないんだからいろいろ考えて悶々とした日々を過ごしたもんだよ」


 葵は中学校一年の頃涼に告白したことがある。


 小学生の時は涼や光、他の友達と混ざって一緒に遊んだこともありかなり男勝りな女子だった。涼は習い事があったから遊ぶ回数は他の男子たちの方が多かったが、よく宿題を手伝ってもらったため仲の良さは他の男子友達と変わらない。優劣がどうとか考えたこともない。みんな仲の良い友達だ。


 でも、思えばあの頃から葵は涼のことが好きだったんだと思う。あの時涼はわんぱくな子供と混じって一緒にバカなことをやる奴だったが、気配りができて他の男子よりも優しかった。


 十歳くらいまでは女子も男子も身体能力で差はない。投げ方、体の使い方さえしっかりしていればドッチボールでも活躍できた。葵は運動神経が良い男子とも渡り合えるほど運動能力が高くてよく、遊ぶ男子連中はボール鬼をする時も遠慮無く投げてぶつけてきた。


 涼も遠慮なくぶつけてくる奴だった。葵自身手加減されるのは嫌だったので問題ないが、他の友達とは違い涼だけはボール鬼が終わった後かなり強く当てちゃったけど大丈夫?と労ってくれたのだ。


 涼の身体能力は小学校一年から飛び抜けて高く、あの頃から顔立ちが非常に整っていたので同学年の女の子からモテまくっていた。競争するように涼を狙っており、席替えの度に涼の隣を奪い合い、出し抜き合い、ポイント稼ぎが繰り広げられていた。


 葵は女子友達も多いため戦況をよく知っていた。涼は確かにイケメンで運動神経が良すぎてカッコいいが、そこまでするものなのかと冷ややかな目で女子を眺めていた。戦っている女子たちも葵のことは敵とも思っていなかったが。


 小学校三年のときにあんなことがあったからか、少し涼は変わってしまった。


 しかし、涼と接する機会の少ない子は気がつかないレベルだったのでずっとクラスの人気者で高嶺の花だった。葵にとってはただの友達で頭良くて運動のできる完璧超人ってだけで他の女子が思うような恋慕は抱いていなかった。


 ある時、涼は戦争で優位に立った女の子の告白を受け入れた。五年生の頃だろうか。


 葵は涼が初めて告白を受け入れたことに驚きその子が好きだったのか聞いた。その時は好奇心だった。


 涼はそこそこ仲の良いやつでクラスでも何組か付き合っているペアを見てどんなものか知りたかったと言った。


 葵は涼らしいなと思いつつ少し違和感を感じた。


 その後半年して二人は別れた。


 なんで別れたのか気になったが、涼も理由がわからないらしい。相手の女子が冷めたとかなんとか。最近変わったなと思ってはいたが涼はすごくていい奴だ。葵もあの時はわけがわからないと思ったものだ。


 そして卒業が見えてきた頃葵も少し変わった。第二次性徴が進み身体能力に男女の差が出始め、思考回路が変化してきたのだ。


 涼は頭の良い連中の中でも珍しく中学受験をしない組だったため中学も一緒だとわかっていたが、もう会えなくなる相手を見るように視線を向けてしまう。


 少し周りの女子の言うことがわかってきた。取られたくないという気持ちが理解できた。


 中学に入ると他の小学校からもたくさん人が集まってきたため、知らない子ばかりになった。

 

 涼と葵はクラスが違う。このまま関係が希薄になっていくのが嫌になった。


 制服を見に纏うことで完全に女の子となり、ほかの男子友達からの目も変わってきたように思う。


 日を追うごとに涼を想う気持ちが膨れあがり、葵は涼に告白した。


 涼は葵を受けいれた。


 そして涼と葵は恋人関係になった。


 かなり舞い上がった。涼の告白された回数はこれで十一回になるが涼が今までOKを出したのは小学校五年の時ただ一度だけ。確率はちょうど10%だ。


 涼の女子友達の中で一番仲のいい自信があったが、正直ずっと受け入れてもらえるか不安だった。


 最近の涼が何を考えているのかよく分からなくなってきたからだ。


 好きなことに夢中になりすぎているのはわかるが、ハマりすぎだ。部活動もやっていないみたいだし、何がしたいのだろう?


 付き合い始めてから私たちは再びよく遊ぶようになった。


 デートに出かけることもあった。親やおじいちゃん、おばあちゃんからのお小遣いしかお金が増やせなかったため、あまりいろんなところに出かけることはできなかったが、とても楽しかった。


 でも、表面上は恋人をやっているのに、涼はとても楽しそうにしているのに、何かおかしかった。


 何に違和感を持っているのか、答えはすぐにわかった。


 涼は葵のことが好きではない。友達としては好きだが、恋愛的に好きではない。葵はそれをわかった上での告白だったが、涼の気持ちは全くぶれないのが少し嫌だった。


 それだけならまだいい。しかし、涼は実験のように葵と付き合っていて、こちらが恋人っぽい振る舞いを求めると面倒くさそうにするのだ。


 ringを毎日したくなるのくらい許して欲しい。中学生はそういう小さな触れ合いを大切にしている。


 結局葵は涼と付き合う意味が見いだせなくなっていき目が覚めた。「私は涼がすごく好きだけど、小学校の時の方がずっとよかった。遊んではくれるけどこっちに踏み込んでこないし.........もうダメかも」と思うようになり、自然消滅した。


 あれからも涼と葵は友達だ。お互いに距離が空いたが気まずいわけでもなく、仲が進展したということもない。


 涼は別れたあとさらに変になったと思う。


 完全に好きな物しか目に入らず、興味無い事はまるで無視をし、元々仲の良かった友達以外は完全に阻害するような姿勢まで見えた。


 卒業後バイトが被るまで一度もあったことがない。お互いどこの高校に通ったかくらいはわかるがわざわざ文化祭に遊びに行ったり一緒に出かけることはなかった。


 バイトが同じになった時不思議と涼が既に働いていることに納得いった。涼はお金持ちで願えばゲームとかなんでも買って貰えそうだったが、昔から欲しいものは自分の小遣いで買うやつだった。


 アルバイトできるようになったら絶対直ぐに初めて欲しいものを沢山揃えて趣味に生きることは想像にかたくない。


 そしてアルバイト先が涼の家からむちゃくちゃ近いこのファミレスになったのも納得がいく。葵もこのファミレスは近いのだがは涼がここでバイトしていることに期待して面接を受けたのかもしれない。


 再開した時、葵は驚いた。


 涼が少しまともになっていたのだ。光たちとまだ交流があるのはわかるが高校に友達がいるらしい。中学でも完璧超人だった天才涼を上回る、頭のネジが良い意味でぶっ飛んだ奴がいて学校生活が少し楽しくなったようだ。


 よく分からないが涼に人間味が出てきたと思う。そして鍛えているのか、体つきが前よりも格段に良くなり、背も高くなってカッコよくなった。


 葵はもう涼と恋人になりたいとは思わないが、他の人を好きになる自分が想像できない。


 そして今、涼がまた明らかに変化した。


 SNSのフォロワー稼ぎもそうだが、興味の起きないことを知ろうとし、人付き合いも良くなってきたのだ。


 柚って人何者だろう?


「葵もねぇ。今考えてみれば、小学校の時みんな優しいなって思ったのは駆け引きのひとつだったのか」


「お、そこまで考えられるようになったんだ。成長したね」


「誰目線だよ。今までそんなこと考えようともしなかったことは認めるが」


「でしょ。柚って人がきっかけだね、これは。今度紹介して欲しいな。SNSすごい意識高くて涼がなんで関係を持とうとしたか不思議」


「それはさっき話しただろ。柚は遠いところにいるから無理だな。SNSフォローしてDM送ったら?」


「涼がDMを知っているなんて!?まさかそこまで伸びているとは想定外」


「馬鹿にしすぎだ」


「でも、涼のSNSも一気にフォロー増えたね。結構知らない人からフォローされ始めたんじゃない?」


「そうだな。少し結果が現れて周知され始めたのかもしれない。いい傾向だ」


「あー、そうだね」


 歯切れ悪く葵が頷く。「そもそもそんな必要は無いんだけどね。まだそこまでは分からないか」と、葵は小さく呟いた。


「じゃあ今度は私とも出かけていいしゃ撮ろうよ!」


「そうだな。久しぶりに遊びに行くのも面白いかもな。でも都心はもうダルいからなしな」


「はいはい。じゃあringしてね。バイトお疲れ」


「そっちこそオープンからお疲れ様。またな」


 二人は控え室を出て別れた。「葵から見てもいい感じになってきているのか」と涼は葵の後ろ姿をしり目につぶやく。


 そうして涼は自分の成長を噛み締めつつ帰路をたどった。

絶対に区切るところ間違えたと思います。長くなっちゃった。

サラッと済ませるつもりがクリスマス効果もあってかなり真面目に書いてしまいました。

この話でバイト関連は終わりにするつもりだったので端折って短くしたのですがやるなら徹底的に三話くらいかければよかったかもですね。


次回

キャンプ準備

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