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妖精の住処  作者: 速水零
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【サブストーリー】もう一つのクリスマス・イブ前

すごく短いです。

 涼の親友の鳥海翼は湘南台駅の改札口で恋人候補を待っていた。


 先日行われた合コンで翼は福良白と出会い、意気投合。葵の計らいにより結果クリスマス・イブにデートをすることとなった。恋人候補という関係のもとで。


 ただ、出会ってから今日まで時間がほとんどなく、どこにデートに向かうかだけ決め、その地でやりたいことをお互い2つ行うということになった。


(もう少し調べてくればよかったかな?)


 翼はまめな性格をしており、綿密に計画を建てられないことに不安を感じていた。いきあたりばったりの計画だとしても、涼や光といった親友たちとなら特に気にしないで失敗しようがどうなろうがそれもまた楽しみの一つとなるが、デートとなるとまた話は別だ。


 どこに行きたいか話し合った時、白が真っ先に江ノ島に行きたいと言い出した。


 白は最近テレビで見たドラマの舞台に江ノ島が使われており、あんな素敵な場所でデートができたらと思っていた。海を眺めながらゆったりと走る江ノ電、どこまでも続く美しい砂浜の七里ヶ浜に本命の江ノ島。


 江ノ島とその周りには魅力的なスポットにあふれている。


「ごめんなさぁい!! 遅くなりました!」


 女の子を待つのにスマホをいじるのもどうかと思い、翼はぼーっと駅構内を歩く人々を見つめていると1人駆け足で向かってくる姿が目に止まった。


 いうまでもなくこれは白だ。


 小さな体を懸命に動かす姿は小動物を彷彿させ、翼の口角が緩む。


「集合時間ぴったりだし、大丈夫だよ」


「あ……ほんとだ、ギリギリでしたね。でもずいぶんと待たせてしまったんじゃ?」


「ははは……気にしなくていいよ」


 集合時間の三十分前に来ていた翼は定番の「僕もいま来たところだよ」とは言えなかった。


「それじゃあ行こうか」


「はいッ!」


 江ノ島までは小田急線で向かう。湘南台駅は小田急線だけでなく横浜市営地下鉄や相鉄いずみ野線も通っておりアクセスが良い。


「江ノ島って結構近いですけど、あんまり行きませんよね」


「そうだね。遠足とかで行くことはあってもなかなか遊びに行かないよね。だから今日はすごく楽しみにしていたんだ」


「私もです!」


 バイクや自転車でツーリングをするのが趣味な涼とは違い、普通の人は普段江ノ島に向かうことは少ない。近いからこそわざわざ向かうわないのだ。


 ただ、デートスポットとしてはとても優秀で、翼は以前付き合っていた先輩と何回か来たことがあるが、無粋なので何も語らなかった。


 翼たちは小田急線に乗り込み、片瀬江ノ島駅を目指す。


「翼さんは今日何処に行くつもりなんですか?」


「えっとね……江の島シーキャンドルと……もう一個は秘密」


「ええッ! いいじゃないですか、教えて下さいよぉ!」


 白はポカポカと翼の胸を叩き可愛く抗議する。


「だーめ。それは行ってからのお楽しみってことで。白は何処に行きたいの?」


「私は、七里ヶ浜を歩いてみたいです。あとは江ノ島シーキャンドルに行きたいと思ってたんですけど、かぶっちゃったんで、稲村ヶ崎に行きたいです」


「稲村ヶ崎ってどこ?」


「なんか「かながわの景勝50選」に選ばれたところらしく、江ノ島に富士山、伊豆大島や伊豆半島が見られるらしいですよ。写真で見た時すっごくきれいだったのでぜひ行きたいです!」


「了解。……あ、そうそう。せっかくこれからデートをするわけだしさ、敬語はなしにしない?」


 翼はやさしく白に微笑みかけて提案する。


 翼に見惚れた白はポワぁっと顔を頬を赤く染め「う、うん……そうしまーーじゃなかった、そ、そうするね!」と小さく答えた。


 藤沢駅を過ぎ電車が大きく後退、片瀬江ノ島駅へと進んだ。

 


 

うっ……じ、時間が……

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