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妖精の住処  作者: 速水零
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結局の二次会?

 予定通り、一軒で合コンは終了だ。冴のうちは門限が厳しいらしく、次にカラオケに行こうとはならない。


 同じく真も家がここから遠いので早めに帰らないと補導される時間になってしまう。


「それで、なんでまだ僕らは帰ってないんだ?」


 駅で解散、となったはずだが他四人は改札で呆然と立ち尽くしていた。


「私は翼さんたちが帰らないので……」


「んー、僕も涼が帰ってないから何かあるのかと思って」


「僕は葵と白が帰る雰囲気ないからなぁ」


「私はこのままどこか買い物でも行こうかな、どうしようかなって感じでみんなが帰ろうとしたらバイバーイってやるつもりだった」


「ふーん、そうか……」


「みんなは時間大丈夫なの?」


「僕は一人暮らしだから門限なんてないよ」


 柚には元々遅くなるから早めに寝るように伝えてある。いくら遅くなろうが問題ない。


 ただ、周りには一人暮らしだと話すのはちょっと心苦しいものがある。涼の中では同棲中だ。


「私も今日は全然大丈夫ですよ」


「うん、僕も初めから遅くなるって親に言ってあるから問題ないよ」


「んじゃあもうやることは一つじゃない?」


「僕らだけで遊ぼうって言うのか?」


「さっすが話が早い! どう?」


 葵は涼たちの顔を覗き伺う。よっぽど楽しかったのかいつもよりもテンションが高い。


「どうって……いいけど、真や冴に悪くないか? 僕らも解散しているはずだったし」


「榊くんは特に気にしないんじゃない? どうせ涼がメンバー集めに困って頼ったんでしょ?」


「それはそうだけどさ……」


 十年以上の付き合いともなると簡単に行動を読まれてしまうらしい。面と向かってお前は友達が少ないんだと言われた気分になる。涼は好きでやっている事だが心が痛む。


「冴も気にしないと思いますよ? そりゃ行きたかったなぁってなるかもしれませんが、どのみち許可が降りなかったでしょうし……」


「ほら、白もこう言っているんだし、このまま遊びに行こうよ!」


「あーはいはい……わかったよ。じゃあ四人で遊びに行こうか。白はそれでいいか?」


「はい、是非ご一緒させていただきます!」


「涼、僕の予定は?」


「それは気にしてない、強制参加だ」


 天真爛漫な白と、ただでさえ普段から煩いのに、いつも以上にテンションの上がっている葵の二人を涼一人で面倒見るのは気苦労が絶えないに違いない。


 せめて一人緩衝材を挟もうと思っている涼は翼を帰らせる気など毛頭ないのだ。


 まあそうなるよね、と翼は罪を認めた犯人のように重く頷いた。


 もう合コンは頭から離してよいので、ウィンドウショッピングをしようが、ボーリングに行こうが、映画を観に行こうが自由だ。


 しかし、あの合コンの後でウィンドウショッピングという気分にはなれないし、映画を観るのも趣旨が違う気がする。


 そこで高校生の遊び場所の定番、複合アミューズメント施設にやってきた。


「ビリヤード、卓球、ダーツ、ボーリング、カラオケ、あとは普通にゲームセンターと色々な選択肢があるわけだが、何やりたい?」


「僕ビリヤードやダーツはやったことないんだよね。他のがいいかな」


「ゲームマスターは私調子乗ってお金飛ばすから今日はやめとく」


「葵は取れそうにないUFOキャッチャーにお金を注ぎ込むもんな。白は希望あるか?」


「そうですね……特にありません! 遊べればなんでもいいですよ」


「そうか……じゃあボーリング……は葵がやっぱこっちもお金足りないって顔しているからなしにして、ダブルスできそうだし、卓球から見てみるか」


 定番通りにカラオケに向かうのは何故か癪に触った涼は卓球フロアへと足を運んだ。


「あ、埋まっちゃったみたいだな……」


「台数少ないですもんねぇ。それに土曜ですから人がかなり来てますし」


「じゃあカラオケ行こっ! 涼とカラオケって五ヶ月ぶりくらい?」


「そうだな、僕は翼と他の奴らと一緒にこの前行ったな」


「それももう三ヶ月くらい前だよ。涼は最近忙しくてあんまり遊べてないじゃないか」


「ああ、悪い悪い、色々あったんだよ」


 文化祭から今に至るまで涼は近年稀に見る程予定に詰まった生活を送っていた。遊ぶ予定も多いが。


 だから地元の男友達と遊ぶ機会はかなり減った。たまに銀と夜ツーリングに出たり、翼や光たちとご飯を食べに行くくらいだ。


「皆さん仲良いんですね。普通高校に行ったら地元の友達と遊ばなくなったりしません?」


「まぁそういう話はよく聞くな」


「僕ら結構長い付き合いだからね。自然と遊びに誘って誘われてってなるんだよ。葵とは本当に久しぶりだけど」


「そりゃ、涼とはあの時以降だいぶ気まずくなったからねぇ。その周りともあんまり遊ばなくなるでしょ。今は普通に仲良しだよ!」


 葵が涼に手を伸ばし肩を組みにきた。一時期葵に対して思うところのあった涼も、今はただの友達だと認識しているので友達同士のスキンシップにしか思わない。


 男友達とはノリでたまにやることだし、涼もその時のように葵の肩を組んで翼にサムズアップしてみせる。


 バイトが一緒で仲良くやっていることは既に翼も知っているので、驚くことは無い。ちょっと昔の二人に戻ったようで懐かしさを覚える。


「んー……やっぱり冴の敵にならないよね……葵さん」

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