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妖精の住処  作者: 速水零
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合コン自己紹介

 元はと言えば白が始めようと言い出した合コンだが、メンバー集めに会場設定と幹事の役割は涼がこなしている。


 涼もそれを受け入れているので、乾杯後の流れもちゃんと勉強していた。


 今回の合コンの大まかな流れはこうだ。


1,席に着く(ここではスムーズに、男女わかれ、席移動は中盤に各サイド話し合って行う)


2,乾杯(←イマココ)


3,自己紹介(出身地や学校、部活、特技、将来の目標など後のトークのきっかけを散りばめる)


4,フリートーク(タイミングを見て席移動。涼達男組はおそらくトイレで作戦会議をしないと踏んでいる)


5,ゲーム(王様ゲームは柚の希望もあってやらない。タブレットを使って大人数でもできるゲームをいくつかやる)


6,折を見て解散(補導されたくないので二次会はなし。紫苑女学院生は門限も厳しいかもしれないという理由もある)


 自己紹介は先ほどやってしまったが、軽くやっただけなので重複を気にせずもう一度やることにする。


「まあ、まだ料理は来てないけど、自己紹介しようか。さっきは少ししかできてないからさ」


 完全に涼任せの受け身で来た他五人に異論はなく頷いて次の言葉を待った。


「じゃあ僕からいくよ。話すまでもないとは思うけどそれが定番らしいから。……僕は木下涼。翔央高校の2年生で部活は入ってない。趣味はツーリングとサイクリング、キャンプ、ピアノ、将棋とまあ色々かな。最近は料理を拘るようになってきた。木下塾って小学生を対象とした学習塾を経営していて、将来の夢は……ひとまずこの会社の規模を大きくすること。あとは、国立の理工学部を志望している。……こんな感じかな?」


「おおっ。涼が自分のスペック語るともう後の人は言い出し辛いね。17のやっていることじゃないよ!」


「葵、ヤジはいらない。次はお前な」


「ええぇッ、プレッシャー半端ないんだけど……仕方ない。私もみんな知っての通り春崎葵。あー、学校名は伏せとこっかな、近くの公立高校の2年生で軽音やってるよ! 華のギターアンドボーカル! 文化祭くらいでしか歌わないからライブは見に来れないかもね。はははっ……。趣味はアルバイト! 将来の夢は未定。どこか私立文系の大学に入ってやりたいことを探すつもり。……じゃあ次、んーとぉ、ミステリアス醸し出している榊君!」


 いつの間にか男女交互に指名制となってしまったが、流れに支障はないので、そのまま続けていく。


 趣味がアルバイトとはバイト戦士の鑑だなぁと冴と涼は思った。各々の言いたいことはあるが突っ込まないで、次に回す。


「その振り方もっと上手くできないのか……まあいい。俺は榊真。涼と同じ翔央高校の2年で模擬国連というサークル活動のようなことをしている。趣味は読書。俺も将来の夢はないが推薦で国立大に行く予定だ。次は……俺の左前に座っている佐伯さん」


 席順は男子が奥から涼、真、翼、女子が冴、葵、白となっている。


 模擬国連をやっていると聞いて涼以外のメンバーは心底驚いた。紫苑女学院にもあるが冴も白も名前すら聞いたことがない。なんだかよくわからないが凄そうと皆真を尊敬の眼差しで見つめる。


 特に初めて真に出会う翼、冴、白は涼が連れてくるだけはあって真も完璧超人なのだと思い知った。


「あっ……はい。……私は、佐伯冴です。紫苑女学院の一年生で、茶道部に入っています。趣味はヴァイオリンとお菓子作りです。あ、お菓子作りといっても茶道で使うような和菓子をたまに自作してみるくらいですが……。将来の夢は私もありません。大学も今はどこか国立の文系にいければと思っています。ほ、本日はよろしくお願いします!」


 真の後ということもあり、冴は少し緊張していた。皆二年生ばかりで気圧されたのもあるだろう。だが、先輩達は見ていて微笑ましいとむしろ好印象だった。


 大人びた服装が背伸びしているように見えて可愛らしい。真面目さとお淑やかさがよく伝わってきた。


「じゃあ男子メンバーの最後は僕かな。僕は鳥海翼。横浜第三高校の二年生で、美術部に所属してるよ。趣味は部活の通り絵を描くことと、最近はデザインも勉強中。将来は絵とかデザインに関わる仕事をしたいなぁ。大学は美術系かデザインの専門学校かで迷ってる。……じゃあ最後に福良さん」


「はーい! 私は福良白です。紫苑女学院の一年生で、帰宅部所属! 趣味は冴をからかうことと、旅行。まあ家族旅行が多いんだけど、春休みにどこか1人旅してみたいなぁなんて漠然と考えてます! 将来の夢は私も未定! 大学も理系文系がまだ絞れてません! 多分文系かな? よろしくおねがいします!」


 元気ハツラツに自己紹介をする白も年下としてみると微笑ましい。葵も含めこういうムードメーカーがいると場が盛り上がり、合コンがうまくいく。


 ひとしきり自己紹介を終えると、順次注文していた料理が並びだした。


 タイミングが良いので、涼は再び音頭をとって乾杯し、皆ひとまず料理に手を伸ばした。

横浜第三高等学校は横浜緑ヶ丘高等学校の旧名ですが、ここでは全く関係ありません。翼はもっと下のレベルの公立校に通っています。葵はまぁ……

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