表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖精の住処  作者: 速水零
264/312

メンバー探し

(勢いで合コンやるのも悪くないとか言ったけど……いや、今でもやるつもりではあるけど、いったい誰を誘えばいいんだ?)


 涼は男メンバーに友達を誘えばいいと思っていたが、そもそも誘える友達がほとんどいないことを思い出した。


(一番来て喜ばれるのは真だろうけど、あいつを合コンに誘うなんて父親を誘う以上に恥ずかしいな。それに、お前合コンなんてやるの? というふうに思われたくないし……他にしよう)


 高校で一番の親友、榊真は涼が最も認め、憧れている同級生だ。そんな相手を合コンに誘うのはやはり気恥ずかしい。


(うーん……紫苑女学院の生徒ばかりが集まる中で僕の中学の友達を誘うのもなぁ。まあ、卓を誘うのは絶対にないし、委員長は彼女がいるとか言ってし。僕も彼女いるから別にいいとは思うけど、多分向こうは恋人いないやつを望んでいるだろう?)


 卓とは涼にプログラムを教えている同級生。彼は有名はIT企業の社長の息子で、ガジェットオタクの涼に会話を合わせられる数少ない友達だ。しかし、性格に難あり。涼はその性格を面白がって見れるが、客観的に捉えると合コンに誘っていい相手ではない。絶対に周りの空気を乱すに決まっている。


 涼のクラス委員長とは文化祭を機にそこそこ話すようになった。成績が良い者同士真を交え自習を一緒にする仲だが、地元の公立中学時代にできた彼女とまだ関係が続いている。彼のたまにこぼす惚気話やデートの目撃情報でクラスメイトが騒いでいた。非常に誘いにくい。


(…………やっぱり地元の友達で考えよう。冴の前に出すのに恥ずかしくない相手は……うーん……まず1人目は翼かな。たしか彼女いなかったはずだし、物腰が柔らかくて女子ウケもいいだろう。誰の前に出しても恥ずかしくないいいやつだ)


 翼は女性の平均身長よりもわずかに下回る低身長に細身の体をしており、涼と同じ黒髪に天然パーマがかかっており、見た目から女子に愛されている。将来は芸術、イラスト関係の仕事に就きたいと宣言していた。市のコンクールで最優秀賞も取っていて、今は美術部の部長。自分にはない、ただ一つの目標に突き進む姿を涼は尊敬している。


(他に頼れるやつは……光? んー、あれは盛り上げるのにはすごく役立つしいいやつなんだけど、卓とは別のベクトルで紫苑女学院の御令嬢に会わせるわけにはいかないな。(らい)も彼女がいなくてモテるが、高校球児に恋愛ごとは邪念に繋がるか? 息抜きになるなら嬉しいが、もう高校野球をできる時間は短いだろうし、放っておこう。……他には、銀は……)


 光は語るまでもないが、涼の知り合いの中で最もリア充でとてもやかましい。いじられキャラをうまく活用してどこの輪にも入れるやつだが、前にあった時には彼女がいると言っており、その後に会った光の妹たちも珍しく長続きしていると言っていた。そうでなくとも誘う気はないが。


 雷は生粋の高校球児で強豪校の主将をしている。今年の夏は甲子園まであと一歩というところで涙を飲んだので、練習に集中させてやりたい。


 その後もずっと誰が良いか考え続けたが、なかなか最後の1人が思い浮かばなかった。


 


「ねえ冴、私達あと一人誘うって話だけど、どうするの?」


「……そうなんだよねぇ。うちのクラスの誰か誘う?」


 冴と白は木下塾が終わった後、電車で変える前に駅近くのカフェで今後のことについて話し合っていた。


 講師がどうだったという感想や涼の家がどうだったかという話もあるが、一番はやはり残りの合コン女子メンバーだ。


 四人ずつにしなかったのは単にメンバーが多すぎるのが嫌だったことと、誘う相手がなかなか決められなさそうだからである。


「あの涼さんに会わせるんだよ。なんかすごくプレッシャー……」


「わかる。どうしようねぇ。冴の友達は? それか部活の先輩とか……」


「私の友達は白の友達じゃん……茶道部の先輩はもう受験勉強に忙しそうだから誘いにくいよぉ。同期メンバーは……」


「だめなの?」


「ううん。みんな仲良くていいんだけど、1人だけ誘うっていうのがあとで諍いになりそう。一番仲良い子とかいないからさ」


「あぁーね。むしろ四人ずつにしたほうが良かったのかも……」


 涼が聞いたら発狂しそうだが、彼女らはまともに高校の交友関係を広げているので、相手がいないということにはならない。涼の自業自得だ。


「あ、あの人はどう?」


「あの人?」


「ほら、私達が誘ってもあとあと問題にならなそうで、涼さんを掠め取ろうとしない人が1人いるじゃん」


「いたっけ、そんな子。白以外に涼さんを好きにならないひとなんていないと思うけど」


「……んー、その言い方ちょっとおもしろいけどまあいいや。否定しきれないし」


 白は冴をいじって遊ぶよりもこの妙案を早く伝えたかった。


 あのねあのねと怪しい笑みを浮かべ、白はコソコソと誰にも聞かれないよう冴に提案した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ