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妖精の住処  作者: 速水零
189/312

プログラミング

あらすじ

冴講師デビュー

 涼がENGLISHを始めたきっかけの一つに小学校の授業に英語が本格的に導入されたというのがある。


 地元柄お金持ちの坊っちゃん嬢ちゃんが通うため、一般教養として必須な英語を習わせてあげたいという保護者の声も大きく、加えて木下塾は学校の授業のサポートも行っているので、BASICと独立させてちゃんと教えたかった。


 そして、これから始める新たな授業は小学校の授業に新しく導入されたプログラミング。英語以上にしっかり教わる場があると喜ばしい科目と言っても過言ではない。


 涼は2週間以上前から数少ない高校の友達にしてパソコン部員の相模卓にプログラミングを習っていた。


 もちろん木下塾のことも知っており、プログラミング授業のプランニングをしてもらった。上から目線で語られるのは少し腹が立つが、それが卓のアイデンティティみたいなところがあるので、涼は不満を一言も漏らさず講義を受け続ける。


 やっとプログラミングの基礎がわかってきたところで、すでに小学生が一年かけて覚えることの大半をマスターしていた。


「物覚えがよくて応用の幅がきくやつだねぇ。さっすが、うちでトップスリーに入る成績を誇るだけはあるか。これからもその調子で学んでいくと、俺ほどじゃないがかなり優秀なプログラマーになれるんじゃないの」


 このような卓にしては珍しいほどの賞賛を得られた。ちなみに、卓に授業費や教材作りを手伝ってもらった給料を払おうかと相談したら「そんな端金はいらないね。それならもっと塾の設備にお金をかけることをオススメするよ」と断られた。


 父親が有名なIT企業の社長なだけあって、柚や冴に払っているくらいのお金に魅力を感じないのだろうと受け取りやすいが、彼は涼を超えるガジェットマニア。より多くの子どもたちがタブレットに触れ、推しの会社の魅力を知ってもらう方が嬉しいのだろう。


 涼はタブレットのパワーポイントアプリを起動し、モニター代わりに使っている大型テレビにミラーリングする。


 子どもたちは突如新たなページが映し出されたことに気がつき、涼に注目する。


「はい、じゃあ今日の迷路はそこまで! 終わってなかったり残りを解きたいって子は居残りや家でやってね。では、これから新しくプログラミングという授業を始めます! プログラミングって聞いたことある子は手を挙げてー!」


 情報社会が進んできたおかげか、小学一年生にしてプログラミングを聞いたことある子は全体の半分以上にまで及んだ。


 さらに詳しくプログラミングの知識を聞いてみると、名前だけという子どもがほとんどだった。


 保護者の様子をチラリと見ると、彼女らの世代はプログラミングを学校で習うことがなかったためか子どもたち同様疑問を浮かべいる。 


 プログラミングが必修科目になるとはいえ、まだまだ子どもが受けるのは先の話。しかも受験には関係ないのでこの反応も仕方ない。


 涼がプログラミングの授業をしようと考えたのはガジェットマニアとしての私情もあるが、将来を見越した教育の中に必ず取り入れた方がいいと考えたからだ。


 パソコンを自在に扱い、AIなどの最先端技術の活用ができるようになるだけでなく、プログラミングを通して順序立てて考え、試行錯誤をし、ものごとを解決していく力を身につけてもらいたい。


「では、まずはプログラミングがどういうのかを今日はみんなに知ってもらいましょう!」


 プログラミングの授業は、先日紫苑女学院の文化祭で見たパソコン部ほどではないが、簡単なゲームを作ったりロボットを動かすコードを作成したりと子どもが遊びながら学びやすい。


 木下塾の方針と親和性が高いので授業に組み込みやすかった。


 涼は卓に教わりながら作った簡素なマルバツゲームを表示し、正解だと思う方に移動してもらう。 


 正解はこっち!なんて遊びながら、涼は初のプログラミング授業を進めていった。


 


 プログラミングは一回の授業でなるべく長い時間をかけた方が良い。ENGLISHも同じ考えで独立したものだが、プログラミングは今のところBASICに組み込む予定だ。


 一回二時間あるBASICの授業のうち三分の一の40分を当てようと考えている。


 今回は初回ということもあり、予想以上に時間がかかって一時間も授業をしてしまった。


 ちなみに保護者たちには今日初めてプログラミングのことを話したので、次回もたくさんの見学者が訪れるだろう。その評価次第でPROGRAMMINGという授業も開講するかもしれない。


 冴はプログラミングに疎いが、今日やる分はしっかり学んできたようだ。机間巡視をしている姿に迷いがない。


 生徒からの評価も高く、女の子たちは同性の、親しみやすい美人な先生ができてとてもハイになっている。


 プログラミングの授業は想定以上に伸びてしまったが、早めに始めたことが幸いに、他の授業を短縮していくことで本日やりたい課題は全てクリアした。


「ねーねー、涼お兄ちゃん、きょうのおかしなーにー!?」

「そうだよりょうにー、おやつおやつ!!」

「さえ先生、いっしょにたべよーっ!!」

「涼お兄ちゃん、わたしもっとプログラミングってのやりたい!!」


 二時間も授業がぶっ通しで続いたのに子どもたちは開始の時と変わらずとても元気だ。


 保護者たちは何も口を出さず、涼たちは終わりの挨拶を終えるとさらに引っ張りだこになる。四方八方から囲まれ、服を引っ張られ、体力と気力がゴッソリ奪われていく。


 笑顔で授業を終えられたのは喜ばしいが、頑張って急ピッチで授業を進め、新しい授業をほぼ完璧にこなした僕を労って欲しいと思わずにはいられない涼だった。

以前プログラミングを習ったことがありますが、たしかにこれは新たな言語だと思わずにはいられないほど難解でした。

子どもの頃から習いたかったです。


次回

試食会

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