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妖精の住処  作者: 速水零
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新たな授業

あらすじ

白は芸達者?

 十五夜祭が終わった次の週、涼は文化祭三日前だがそんなことは関係なく今日も木下塾は開かれる。


 開校からもう10回以上授業を行ってきたが、ついに講師が増え、新たな授業形態となった。


 生徒数はBASIC20人、ENGLISH14人と順調に生徒数を増やし、本日から佐伯冴が混ざる。


「みなさんこんにちは!」


「「「「「こ〜んにっちはぁぁああ!!!」」」」」


 男の子の入塾者が増え、木下塾のやる気と元気はさらに跳ね上がった。


 外気温と内気温で20度は違うのではと思うほど暑い。毎度思うことだが、なぜ子どもはここまで元気にはしゃげるのだろう。


 涼も昔はこんな子どもの一人だったが、疑問に思わずにはいられない。


「今日から新しい先生が木下塾に入ってきました!冴先生です!」


「わーキレイ!」


「ありがとうございます。涼先生から紹介に預かりました、佐伯冴です。みなさん、これからよろしくお願いしますね!」


 20人の子どもと新たな講師の様子を見にきた保護者たちの視線が冴に降り注ぐ。


 冴は緊張の様子を見せず、明るく自己紹介できた。ちょっと硬すぎると涼は思うが、保護者には良い第一印象を与えられただろう。


「「「「「よ・ろ・し・く・お・ね・が・い・し・ま・す!!」」」」」


 無邪気な子どもたちは快く冴を受け入れる。


「しつもんしつもん!さえ先生ってりょうにーのかのじょ!?」


 周りの女の子が「涼お兄ちゃん」と呼ぶのにつられ、この前入った男の子たちは涼のことを「りょうにー」と呼ぶようになっていた。


「えっ!? ち、違います! わ、私は涼さんの後輩で、頼まれてやってきました」


「ちぇー、なんだ、りょうにーのかのじょかとおもった」

「そうだよな、りょうにーカッコいいからむっちゃくちゃモテるだろ。きっとかのじょじゃないけど、りょうにーのことすきなんだよ」

「えー、そうかな?わたしは涼お兄ちゃんがさえ先生のことすきなんだとおもう」

「涼お兄ちゃんとられちゃうのヤダ!」


 とても収集がつかないほど場は涼と冴の関係を話し合っていた。


 普段は荒れた子どもを止めるはずの保護者たちも一緒になって考えだす。


「はいはい、そういった質問は今日の授業が終わってからにしましょう! 今日は久しぶりにおやつがあります」


「えーっ!なになに!!」

「わたし、またおっきなプリンがいい!!」

「おれはチョコたべたい!!」

「わたしはわたしは……なんでもいいからたべたい!!」


 おやつという重要ワードに子どもたちの意識は完全にシフトチェンジされる。


 小学生は扱いやすくて楽だな、と上に住む柚を思い出しながら涼はホットプレートを取り出した。


「じゃん! 今日はこれを使ったお菓子を後でみんなで食べます。楽しみにしてね。…………はい、じゃあ今日はまず初めにいつも通り特殊迷路にチャレンジしようか」


 冴はすでに柚が作った本日分の教材と、前回前々回の分の教材を渡している。


 答えや導き方は予習済みなので、冴は積極的に子どもたちの周りを見て回った。

 

 幼い子どものうちに勉強しておくべきことが盛り沢山で、冴はこの教材、教育方針に深く感銘を受けている。自分も小学生の頃こんな勉強をしてきたかったと思える項目ばかりだ。


「さえ先生、ここどうすればいいの?」


「ああ、ここね。んー、こっちにハシゴがあるでしょ。それを使ったら何かできないかな?」


「あ、わかった! ありがとう!」


 あくまで子どもが考え、閃くことが大切だ。ヒントをあげても涼たちが答えを教えることはない。


「涼お兄ちゃん涼お兄ちゃん、さえ先生のことどう思ってるの?」


「やっぱり気になるよ」


「涼お兄ちゃん、さえ先生とけっこんするの?」


 小学生からしたら高校生は大人で、しかも涼は先生だ。新たな講師にキレイな女性を紹介されれば邪推してもおかしくはない。


 やはり、いくらおやつで興味を引いたとしても気になる子は気になるらしい。


 特に前から涼とつながりのある姫、茜、楓は授業の質問にかこつけて涼を問いただす。


「うんうん、冴先生は彼女じゃないし、結婚もしないよ。ほら、その問題ができたら、次は3人で3年生向けのスペシャル問題に挑戦しよう!」


 今日は5人1組の4グループで授業を行なっており、茜たちいつもの3人は同じグループだ。姫は木下塾の生徒みんなと仲良く会話できるようになってきたので、一度仲良しグループでまとめてもいいだろうと判断してグループ分けした。


 そのせいかいつも以上に生き生きしており、今回の授業に関しては逆効果だったと反省する。


(小さくても女の子は女の子だなぁ。このままだと授業に集中できないだろうし、先にあの新しい授業から初めてさらに興味をひいてみるか)


「冴先生、あの授業の準備をするから少し見て回ってくれない?」


「わかりました」


 こういう一人で作業しなければならない時、誰かが全体を見てくれるのは非常に助かる。これだけで冴を雇ったかいがあるってものだ。


 涼は冴に子どもたちの面倒を頼み、一人タブレットをカタカタ弄り新たな授業の最終チェックを行った。

自粛期間が延長されて暇を楽しむのにも飽きが来ましたね。

他の作家様方のなろう作品を漁って読んでますが、体が鈍ってしまいました。キャンプ行きたい。

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