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妖精の住処  作者: 速水零
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もう一人のいじめっ子

あらすじ

涼の高校の友達が登場

 紫苑女学院の紫苑とは秋に咲く花で学名はAster tataricus、花言葉は「追憶」「君を忘れない」「遠方にある人を思う」、そして別名鬼の醜草(しこぐさ)、十五夜草。


 紫苑女学院の文化祭は学院の名に因んで十五夜祭と名付けられている。


 以前は紫苑の咲く9月から10月、それも十五夜と紫苑の誕生花にちなんだあたりに文化祭が開催されていた。


 しかし、紫苑女学院は昨今の高校教育の潮流に流され、二学期制から三学期制へと変化した。


 二学期制ならば夏休みが終わった後すぐに期末テストを行い、その後短い時間ではあるが準備を進め、十五夜あたりに文化祭を開催することができていた。


 時期は大体毎年十五夜の日付は異なるので、誕生花のことも考慮して9月終わりか10月初めだろう。


 しかし、三学期生制となると中間テストは10月半ばに行われる。


 学生の本分は勉強であり、テスト前に学園祭を行うことは出来ず、苦渋の選択だが、テスト明けに余裕を持たせた時期に開くこととなった。


「ねぇ冴。ねーぇぇっ冴ったらぁ」


 涼が担当を決めている頃、同じく文化祭準備真っ最中の冴たちは衣装合わせと内装を整えていた。


 紫苑女学院と翔央高校はそこそこ近くにあり、いくら紫苑女学院が招待制とはいえ、同時開催では客の取り合いとなる。


 1週間先に開催する紫苑女学院の十五夜祭の準備の方がかなり進んでいるのは当然だ。


 冴は客を魅了し引き込む類稀な容姿と入学から続けているファミレスのホールのアルバイトによる実力を兼ね備えており、クラスでエース扱いされている。


 涼や葵それぞれと文化祭を回る時間が欲しいのでリーダーは断ったが、周りからは期待の目が無数に浴びせられていた。


(涼のいじめっ子みたいな悪ノリの好きな性格からいって絶対私のシフトのタイミングで遊びにくる。あぁ、どうせならもっと衣装の注文するべきだったかな? いや、それよりもあの先輩に見られる以上しっかりこなさなければ後で揶揄われる!)


 トントントン。


 衣装よりもメニューの再確認をした方がいいかしら、とぶつぶつ呟いて自分の世界に入る冴に直接干渉が入った。

 

「ふぇっ!?」


「ねぇ〜さえぇ? どうかしたのかなぁ? アタシ、冴が誰にチケット渡したのか聞いた覚えがなかったから質問しにきたんだけどぉ……何かあったの?じーっと鏡なんか見ちゃってさ」


 冴に話しかけてきた相手、それは冴が高校に入ってから知り合ったクラス1の親友、福良白だった。


「えっ! べ、別にな、な、なんでもないよ。ち、チケットはバイトの先輩たちや中学一緒だった友達とかに渡したんだ。か、鏡を見ていたのは初めて着る衣装だからつい綻びがないかな、とかサイズ合ってるかなとか確認してたわけで、ほんと何かあったわけじゃないよ」


「ふぅん……な〜んか動揺しているところを見るに、私は冴に男ができたんじゃないかなって勘ぐりたくなるんだけど? YES or NO?」


「の、NOに決まっているでしょ! わ、私はバイトの先輩に見られて恥ずかしくないように気を配っていただけ。決して白の勘ぐっているようなことは発生していないから!」


「じゃ〜〜な〜んで、そんなに衣装のチェックが細かいのかなぁ? こっそり可愛く見える角度や小道具の配置を探ったりなんかして。それに、あんまり周りに目が向いてないでしょ。他の子がホールに関して質問しようとしているのに全く気がついてない。私が初めに声をかけた時もそう。やっぱ……それだけ熱心になる理由があるんじゃな〜い?」


 鋭い、と冴は思わず親友の推理を肯定するような発言を漏らすところだった。


(わ、忘れていた。涼さん以上のいじめっ子がこのクラスにいたことを。そして、いつものように私が標的にされている!? 落ち着きましょう。男ができたとはつまり彼氏ができたってことだから私、嘘はついてない。でも、いじめっ子モードの時だけに訪れる悪魔じみた勘と推理力を発揮する白相手に逃げきるのは厳しい)


 冴は見た目通りの才媛であり、全国の中でもトップクラスの名門女子校である紫苑女学院の中でも上位の成績を誇る。


 怠け癖があり、赤点回避至上主義のような白とは同じ紫苑生であっても頭の出来が違う……はずなのだ。


「そっかぁ。……いつも以上に目が揺れて震えるような状態でいるところからして、うん、これは男関連で間違いないようだね〜。冴は良い子ちゃんだから嘘は言ってないだろうけど、誤魔化し方に罪の意識があるのがいけないんだよ」


 目は口ほどに物を言うとはよく言ったものだ。


 白の冴えた観察眼は冴の僅かに大きく開いた目蓋と瞳孔の動きをしっかり捉え、推理が真実だと断定した。


「うぅ……やっぱり白の方がいじめっ子だ。普段はもっと普通なのにたまに私をいじめるのが白の悪いところだよ! ……あー、白には絶対知られたくなかったのに。ねえ、他の子には言わないでよね?」


 冴は逃げれば逃げるだけ後で白から感想戦――「なぁんであの時ああ言ったのかなぁ? ねえ、どうしてどうしてぇ?」と問い詰められる第二ラウンド――にて再度いじめられるのですぐに白旗をあげることにした。


「んー、いいよ。アタシ、純情可憐な乙女の冴を虜にする殿方を見て驚きたいから、深くは聞かないし、みんなに言いふらすのも、冴の反応を見て楽しめたからやらないよ。……その代わりにいつごろやってくるかだけは教えてね」


 涼の株が高騰していくが、冴は涼ならば白の青天井な期待をさらに飛び越えるスペックを見せつけると信じている。


 黙ってもらう交換条件にしては安く、お返しに涼の完璧っぷりで白を驚かせてやろうと可愛い復讐心に誘われ、涼が来るであろう時間帯を親友に漏らしたのだった。

あー、またやりました。はい終わり!

てことで今回は冴の友達の話をしました。やらなきゃってことを昨日忘れてましたね。

まずこっちの文化祭をやるんだったら冴以外の登場人物必要に決まってるじゃん!


次回

十五夜祭1日目

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