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妖精の住処  作者: 速水零
173/312

厳しい意見

あらすじ

木下塾に男子登場

「「「「「いっただっきまーーすッ!!!」」」」」


 今日一番の叫び声にも似たかけ声が涼の家に響き渡る。


 思わず二階にいる柚が突然の大声にビクリと体を震わせていたのは涼には言えない内緒の話だ。


 2時間の授業を終え、待ちに待ったおやつタイムに入る。


 このおやつタイムは毎回行われているわけではなく、体験授業を受ける子がいる度に行われている。


 涼の狙い通りだが、お菓子を食べたいがために「タダでうけられるよ! むっちゃたのしいよ!!」と誘う子も現れた。チョロい。


 今回のおやつは子どもの夢バケツプリンだ。涼自身も作ったことがなく、柚がこの前「涼はプリン小さいのしか食べられなくて可哀想。私はもう見たくないってほどおっきいの食べられるよ」と体の小ささ自慢(?)をしてきたので、作ってやろうじゃないかと躍起になった。


 しかし、いくらバケツプリンといえど子ども20人に涼、保護者4人の25人分となるとひとり当たりプリンの大きさは市販ほどになる。


(これから先人数が大幅に増えたらおやつを作るのがむちゃくちゃ面倒になるな。お金は気にしなくてもいいが、この制度自体考え直すか。方針が決まってないと後で保護者から質問された時答えられないし。

 プリンの出来はまあまあかな。美味しいけどなんか物足りない気がする。後で柚のために取っておいた分を食べて反省会だな)


「あの、涼さん」


 涼が黙々と子ども達の反応を尻目にプリンを食べていると、体験授業を受けにき中でも特に賢かった男の子の母親が涼に話しかけてきた。


「なんでしょう」


「本日は体験授業を受けさせていただきありがとうございました。涼さんは今高校2年生なのですよね。受験されるのですか?」


「ええ、そのつもりです。まだ第一志望などは決まってませんが国立の理工学部を受けると思います」


「なるほど。今一人で切り盛りされているのですよね。そしたら今後受験勉強で授業ができない時もあるのではありませんか?」


 この母親は木下塾にかなりの興味関心を抱いているようだ。てっきり高校生が運営していることの不安や懸念について質問されるのだと涼は身構えていたが、まずは軽いジョブで攻められた。


「大学入学共通テスト(旧センター試験)2週間前、つまり1月から3月に入るまでの2ヶ月間は誠に勝手ながら休ませてもらいます。しかし今後塾の会員増加に合わせて信頼のおける他学年、もしくは推薦で受験する仲間を雇う予定ですので塾自体がお休みになることはありません」


「そんな短い間の休みでいいんですか? 涼さんは翔央高校に通われているのでしょう? あそこは大学附属ではありませんし、名門の進学校です。周りは受験勉強を始めているのでありませんか?」


「そうです。涼さんの頭が良いことはいただいた資料や授業姿を見れば一目瞭然と言えますが、大学受験はそんな甘くありませんよ」


 涼が体験授業者に渡している木下塾のコンセプトなどの資料――流石にこれは自宅のプリンターで印刷した紙で渡している――は基本柚が作成したものだが、涼のコンセプトが詰まっている。

 

「他社のアプリなどを活用しているとはいえ、資料には小学校の指導要領や教育評論家の一文を例に出され、研究にかなりの時間を割かれていると見受けられます。私たちと直接関係ある話ではありませんから強制できませんが、もっと試験勉強に時間を割くべきでは?」


 男の子の保護者だから女の子の保護者と仲が深くないということはない。たしかに女の子同士が友達なら話す機会も多いが、懇親会などでは子どもの性別など関係なく会話する機会がある。


 しかし、今回木下塾を訪ねた男の子達は女の子グループで話題の塾に興味を持って来たとはいえ、涼本人の情報は皆無だ。


 保護者達の中で【涼くんを見守り隊】が結成されているが、まだ結成2ヶ月でクラス全体の保護者にその存在は広まっていない。


 この保護者達は「今クラスの女子達がみんな入っているすごい塾があるみたい。面白そうだから無料の体験授業受けてみたい」と息子が積極的に塾に興味を持ってくれた喜びによる衝動で木下塾の体験授業を受けた。


 立ち振る舞い、言葉の端々から涼の頭の良さを感じとったが、涼の本質まではわからない。大事な息子を預けるに足る授業をしていることはわかったが、運営に関して質問したいことが山ほどある。


 保護者達の雰囲気は一転して重くなった。


 涼のことを少し勉強ができるからと世の中を舐めている小僧だと認識を改めたようだ。


 鋭い視線が涼に3方向から突き刺さる。


 たしかに自分の息子を預ける塾の塾長がそんな軽い態度に見えたら怒るだろう。


 しかし、涼は受験勉強に専念する期間はそれだけで十分だと考えており、ちゃんと根拠も提示できる。


「たしかに受験勉強は――」


「涼くんならば大丈夫ですッ!」


 涼が説明をしている最中に横から反論が飛んできた。 


 涼の味方になってくれたのは【涼くんを見守り隊】の新メンバー、昨日英会話の体験を受けにきた女の子の母親だった。


 

思ったよりも進まないのは相変わらずなのでこれから次回には期待しない方がいいかもしれません(100パー僕が悪いのですが)。

それでも自分のために書きます。


次回

味方


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