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妖精の住処  作者: 速水零
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見守り隊会議

あらすじ

英会話教室体験終了

 英会話教室の模擬授業を見学した2日後の金曜日の昼ごろ、木下塾に娘が通っているお母様方のほとんどが加入している組織、【涼くんを見守り隊】の会議が行われようとしていた。


「私たち、涼くんを見守り隊とか言っているけど、あんまし活動してなかったわよね」


「そりゃ特に集まる必要なかったし」


「それに涼くんはアイドルじゃないんだからコンサートとかないでしょ。ただ塾の時に顔を見て、教える姿を見て癒されるだけの集団じゃない」


「新規加入の人はわからないと思うけど、私達は塾の立ち上げから色々サポートしているの。何かあれば涼くんのために尽くす、それがこの隊唯一の掟よ」


「それはわかっているけど、今涼くんのためにできることってなに? ……もしかして、あのモデルがどうとかって話?」


 涼に来客が来たということで、色々聞きたいことがあったが、モデル関連の話を聞き出すことができなかった。


 そもそも、涼がネット記事で挙げられていたことなど、見守り隊の中でもほんの僅かなメンバーしか知らなかったので、あの時はまさに寝耳に水だ。


 皆塾の後その記事を検索し(木下涼と調べればすぐに出てきた)、ブックマークしている。


「ああ、それ! すごく驚いたわ。涼くんだからむしろ今まで取り上げられてこなかったことの方が不自然なんだけどね」


「なんか涼くんが遠いところに行っちゃったみたいで寂しいわね。でも、モデルにはならないとか言ってたわよね」


「私の友達にそういう雑誌関係の仕事している友達いるんだけど、何年に一度の逸材だって言ってたわ。やっぱり私たちの目に狂いはなかった!」


「涼くんかっこいいし、品性が普通の人と違うもん」


「それで、私達はそのことに関して話をするために集まったの?」


 見守り隊としてこの話題に関してどう捉え、行動していくかがこの会議では重要な議題になる。


 ファンとしてひとしきり「キャーッ!!」と黄色い声で年甲斐もなくはしゃぎ終えた後、一同は鎮まり、会議を再開させた。


「ええ、それもあるけど、今回は他にも話したいことがあるのよ」


 司会は情報屋でコミュ力の高いカリスマ性を有している茜の母親恵が務めている。


「まぁ、先にそこの話をしましょうか。まず、涼くんがネット記事に上がったことだけど、涼くんに色々とモデル関連で勧誘合戦が始まっているみたい。将来絶対売れるダイヤの原石だってどの事務所も必死らしいわ」


「すごいありそう。大変ね、涼くんも。そもそもどうしてモデルになりたくないんだろう?」


「んー、勉強が忙しいから?」


「この塾やアルバイトもしているからじゃない?」


 涼と知り合って日が浅い者たちはまだ涼の本質を知らない。どれも間違ってはいないが、一番大きな理由はもっと別のところにある。


「いいえ、おそらく()()()()()()()だと思う」


 一番涼との付き合いが長い愛が、涼の気持ちを正確に代弁する。


「興味がない?」


「それだけの理由? 普通モデルとか俳優って憧れの職だったりしない? そりゃ涼くんがお金を稼ぐとかそういうのに執着するイメージないけど、その年頃なら興味くらいあるでしょ」


「うんうん。ずっと前の投稿とはともかく、最近のSNSを見ていると、誘われればノリそうな感じするわよ」


「んー、なんで興味がないかってのまでは本人じゃないから説明できないけど、涼くんって好きなことに夢中になるタイプなのよね。勉強はともかく色々涼くんが嗜む趣味って涼くんが進んで頑張ったものらしいの。どれもプロ級って感じでしょ。でも逆に、興味が起きないジャンルに関しては本当に何も知らないのよ。常識が欠落してるんじゃないかってくらい」


「んー、聞いてみるとそんな感じする。人格者で完璧って感じだけど、色々破綻してたんだ」


 破綻。やけにその言葉が涼を示す言葉としてしっくりきた。


 ここに集まるのはお金持ちの若奥様や、実力でのし上がった各界の名手ばかり。人を見る目が鋭く、愛の言葉で涼の本質を朧げに感じ取った。


「多分、両親が原因じゃないかって私と主人は考えているの。涼くん成績とか普通の子が恥じらうことは平気で教えてくれるけど、あんまり家族の話題をしたがらないから」


「両親の離婚が原因かー」


「よくある話だけど、巻き込まれる子どもはほんとかわいそうよね」


「うんうん」


 愛の推測は当たっていると誰もが思った。


 そして、議題は他の話題へとシフトチェンジする。


 もちろん、愛が椿と遭遇した件だ。みんなと情報共有しなければならない。


 今後、涼がどうなっていくのかわからないのだから、この見守り隊で最も重要な話題だろう。司会者の恵は愛から事前に椿の件を聞いているので、うまく議題を提示する。


 そして、しばらくの間、先ほどとは打って変わって厳かな会議が日没まで続いた。

昨日は用事があり一日中忙しかったので書く暇がありませんでした。今日もそうだったので、この話を差し込みましたが……。

この会議の議題は他にもあり、いつか出てくることでしょう。


次回

椿の目的

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