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妖精の住処  作者: 速水零
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涼の授業評価

あらすじ

体験授業開始

「じゃあ、最後はアルファベットを使ったゲームをしよう」


「「「「はーいっ!!」」」」


 空間認識力を高めるゲーム、文章力を高めるゲーム、単純な計算力をつける問題集、思考力を育てるゲーム、ひらがなカタカナの総復習のクロスワードパズルに、詩の音読〜暗記と、さまざまな授業を行い、最後は英語の入門。


 富裕層の子どもたちだけあって英語がある程度話せる子もいるが、家庭の方針でまだ勉強を進めていない子もおり、進度はまちまちだ。


 すごい子は四年生な漢字も覚えており、工夫してゲーム性を持ち込まないと興味を失う子が出てきそうだった。


 今回のアルファベットゲームはチーム対抗で、涼の自室やピアノ部屋など入られたくない部屋を除き家中に大文字小文字のアルファベットが印刷されたカードを集めてペアを作るもの。


 他のチームと話し合って交換することも可能で、3人1組の4チームで行う。


 ドタバタと騒がしくなりそうだが、隣は姫の家なので問題はない。


 また、引き出しの中を漁られてぐしゃぐしゃになるのは嫌なのでそういったところには隠していない。


 姫、茜、楓の3人は涼の家をよく知っているので別々のチームだ。特に柚と楓には他の子とも仲良くなってもらいたいという想いもある。


 アルファベットの大文字小文字を揃え3人とも読めたら1ポイント獲得でき、報酬としてポイントの数だけ涼の焼いたクッキーが食べられる。


 もちろんこれは最後の授業なので、授業後のおやつタイムに食べる。授業中クッキーが気になって集中できないということは起こらない。


「では、お母さんたちがカードを撒いてくれました。入っちゃいけないカードのない部屋には鍵がかかっているからね。お互い目隠ししあっている手を離して……アルファベット探しスタート!!」


「「「「ワーァァッ!!」」」」


「あっ、見つけた!」


「あーわたしが早く見つけたのにー。つぎにいこう!つぎつぎ!!」


「ひめちゃん、どこにあるとおもう?」


「んー、どこだろう。2かいのおへやはたくさんあるから、そこにいってみよう!」


「うん、わかった! いこう!」


 意地悪な隠し方はしてもらっていないので五分で探し物は終了。


 各々のチームアルファベットを覚えている子が覚えていない子に教え、他のチームの持っているカードと交渉して交換する。


 たくさん集めて勝った負けたは関係なく、どのカードを交換すれば自分たちはたくさんクッキーが食べられるか、ということを考えてもらう意図がある。


 アルファベットのわからない子は必死に誰がペアなんだろうと、アルファベット表を睨むように見つめて考える。良い傾向だ。


 やがて探す時間が終わり、交渉時間も終えた。


 各チーム4ペア以上獲得でき、5枚探し切れていなかった。


「じゃあ今日の授業はここまで! 楽しかったかな?」


「たのしかったー!」


「ねえねえ、まだあそぼうよ〜!」


「わたし、あのめいろやりたい!」


「クッキーたべよう!」


 区切りをつけるためみんなで「ありがとうございました」の礼をし、クッキーを配る。


 全部見つけられるとは思っていなかったが、クッキーは保護者のことも考えて80枚焼いておいた。クッキーはそこまで大きくないので苦労はしなかった。


 人数が人数なので子どもには紙コップにジュースを注いで渡す。


 授業は終わったのでもう返っても良いのだが、涼と遊び足りない子どもたちは残ってゲームを始めた。


 涼も混ざって補習授業を始めても良いのだが、体験授業に来られた保護者と話があるので勝手に遊んでいてもらう。


「本日は体験授業を受けていただき誠にありがとうございました。見ての通りアットホームな雰囲気で楽しく遊びながら授業をさせていただいております。それぞれ何か授業を見学して感想や意見などございましたらお聞かせ願いませんか?」


「今日も茜が楽しそうにちゃんと勉強できていたからよかったよ。クラスの友達ともずいぶん仲良くなったし、それはこの塾ならではだと思う」


「ええ、うちの姫も他のクラスの子と話をしている姿を見れてちょっと感動ね。前回見せてもらった時の初授業よりも洗練されていたわ。タブレットを使った宿題も良いと思う」


「私は、恵さんの誘いで半信半疑で参加しましたが、とても良い授業でした。涼くんはまだ高校生なのよね?」


「はい、翔央高校の二年生です。教育に関して勉強しておりませんが、自分の実体験や育ててくれた親への質問、学校の指導要領を参考に授業をさせていただいております」


「実績がないのがちょっとマイナスだけど、涼くんは模試で全国17位になる秀才で、茜ちゃんのクラスではとても信頼されているので、私は前向きに検討したいわ。うちの娘も涼くんにべったり惚れちゃったみたいだし、こんなにやる気十分で勉強に向かうの初めてだもの」


「そうよね、私の娘も今日はすごく頑張っていたわ。なかなかうちの子には勉強ではなくスポーツや今しかできない野外体験とかを頑張ってもらいたいけど、周りの子を見て気が変わったわ。涼くんは見ていてできる子できない子に、それぞれ適切な課題を与えていたからとても良いと思う」


 各々の授業体験に来た母親たちは好評で、涼を見る目に朱色が混ざっていた。


 まるでモデルが先生をやってくれているような反応ぶりに、恵は「入信者増員〜」と不吉なセリフをボソッと吐いた。


 その後否定的な部分や改善点を教えてもらったが、概ね第二回は成功したと言える。

  

 体験授業を受けた子が今度は〇〇ちゃんと遊びに来たいと言ってくれるのを期待したが、現実はそう甘くはなかった。

今回は予約ミスではなく、一日中バイクで遊んでた原因です。

一日一話あげたいならすとっくは大切ですね。


次回

大切な後輩

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