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妖精の住処  作者: 速水零
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バカなグループ

あらすじ

サバゲー終了

「やっぱ涼のバイクカッケーな!」


「だろ、僕も気に入っている」


「後ろ乗せてくれよ」


「まあ、免許取って一年経ったから乗せることはできるけど、今ヘルメット一個しかないからまた今度な。それに、今は他にも希と翼がいるんだから無理だろ」


「俺も免許取ろうかな」


「いいな、俺も何か趣味が欲しい。最近色々面倒なことばっかり起きるんだよなぁ。不幸だ」


「僕はいいかな。危ないし、バイクを買う余裕ないからね。後ろ乗る専門で」


 今日サバゲーに来なかった涼のグループの一人がバイクの免許と中古のninja250(涼の乗っているバイクと同系統のKawasakiのスポーツバイク)を持っているが、他のメンバーは興味がなかったり、金を貯めている途中だったりする。


 全員でツーリングできる日が来るのを楽しみにしている涼だが、趣味を強制する事出来ないのでよく宣伝している。

 

 涼以外は自転車で来ているので、涼は周りと速度を合わせてのんびり巡行し、涼の奢りとなったラーメン屋を目指す。


 涼の住んでいる地域はラーメン屋が多数店を構えており、グループ内でラーメン屋巡りが流行っている。


 今日は横浜屋系の未開発店へと足を運んだ。


「家系ラーメンに外れなし!」


「でもこれだ!って名店が少ないと思う」


「そうか? 俺は基本満足だけど」


「翼は味に関してもうるさいからな。芸術家肌ってやつだろう。ほら、早く入ろうぜ」


 10時を越えているので店内には数組の客しかおらず、待たずに四人席に座れた。


「光ってまた彼女できたんだっけ?」


 皆それぞれ注文を終えると、翼が光に問いかけた。


「ん? まあな。部活が一緒で割と仲良かった子だし、夏休み一緒に遊ぶ彼女が欲しかったから受け入れてもいいかなって」


 SNSの投稿にツーショットをあげていたことを思い出した光は、夏休み前に後輩に告白されたことを話す。


「……はぁ……いいよな、光は彼女がすぐできて。俺なんてこんなフツメンだから彼女なんて望んでもできないっての」


 圧倒的一般男子高校生たる田中希は交友相手に変な奴がいるだけで、特出する点がほとんどない。


 自分に自信がない上に、夏休み明けに転校してきた美少女に何故か目の敵にされているこの状況下で彼女ができるとは思えなかった。


(俺は普通に彼女ができて普通に楽しく過ごせれば良いのに……高校入ったらちょっと可愛い彼女ができると思ってたのは間違いだった。涼や光みたいなイケメンだったらなぁ)


「そりゃ希の努力不足だろ。別に顔が悪いわけでもないし、太ってるわけでもないんだからさ。希はあのブラコンすぎる妹のせいで女から一歩引いているのが悪い!」


「んー、それはそうなんだろうけどさ……自分からガツガツ行くのって苦手なんだよ」


「別にアプローチかけまくるのがいいってわけじゃないから」


「光の恋愛談義は置いておいて、涼は最近SNSで色々映え投稿ばっかしてるけど、何があったの? さっきは起業の話に夢中で聞き忘れた」


「なんでもフォロワー稼ぎがしたいんだと」


 涼が答える前に横から光が勝手に事情を話した。


「え、どういうこと?」


 翼はその動機にハテナを浮かべる。涼のやることなすこと皆突拍子もないものだとしても、理解することができたが、この件は意味がわからない。


「まあ、簡単に言うと――」

 

 涼は翼に補足説明を行う。もう何人にも同じ説明をしているので止めどなく話が進んだ。


 だが、結局翼は理解できなかった。


 涼も最近気がついてきたことだが、専門分野を語る仲間づくりにフォロワー稼ぎは無駄足すぎる。


 今回涼が起業したことをSNSのプロフィール欄に書いていくらか投稿しただけで、意識高い系フォロワーが増えたように、もっと簡単なやり方はたくさんある。


 翼は涼のやることだし何かもっと深い意図があるのだろうと勘違いした。


「そういえば、最近(ライ)のやつと会わないな。何かあったのか?」


 黒鉄雷、涼と同じ小学校からの友達で涼のグループの一人。


「まあ、アイツは野球で忙しいからな。来年が最後の夏で、部活の主将になったんだろ。夢があっていいねぇ」


 雷は涼が尊敬している友達の一人で、身長185センチ、体重80キロの筋骨隆々な野球バカ。守備はファースト、推薦で県内の強豪校に通っている。


 今年は甲子園まであと一歩というところまでいった。主将となった雷は、プロ野球選手へのドラフト候補として高校一年生からその筋ではよく知られている。


 希も涼と同じく夢や目標に向かって一途に努力できる人を尊敬し、羨んでいる。


「すごいよね。僕も文化祭の後部長になることが決まっているけど、雷のように前に出ることなんてできそうもないや」


「そうだな。僕も主将なんてやれそうもない」


「涼は個人事業主になったんだろ。それも十分すげーよ。こんなラーメンを奢ってくれるくらいにまでなっちゃってまー」


「お前らがたかってくるからだろーが」


 涼が隣に座る光の脇腹を小突く。


 ウッと演技じみたリアクションを取る光。見慣れた姿に翼と希は何も反応しない。


「でもまたみんなで集まりたいな。涼もこれから忙しくなるだろうけど、サバゲーは続けたいし、冬には旅行に行きたいね」


「それなー。北海道とか行きたくね?」


「俺も賛成。今からバイト代貯めればなんとかなるだろ」


「いざとなれば涼に借りようぜ」


「……まあ、いいけど、三ヶ月以内に返してもらうからな」


 話題は北海道の名所に移り、少ししてやってきたラーメンに舌鼓を打つ。


 柚はジッと涼の鞄の中に隠れながらラーメンの匂いにお腹を空かせていた。


 夜食のラーメンは何よりも美味しく、罪の味がする。


 補導されそうな時間まで涼達は駄弁り、今日は解散となった。

あまりバカっぽい集団な話が書けませんでした。真面目な涼と翼がいるとどうしても……ね。

ほんと希の主人公感は半端なく、希主人公の物語を次のイフで書きたくなりました。長くなりそうです。そうなったら別作品かなぁ…


次回

柚の知らない王子さま

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