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妖精の住処  作者: 速水零
137/312

奇襲

あらすじ

柚が活躍中

「来ないな。どーぞ」


「うん。暗くてわかりにくいけど涼が近くにいることはないんじゃないかな。どーぞ」


「なら涼はどこだと思う? どーぞ」


「自陣のスポット近くの穴っぽいところにいるのかもね。どーぞ」


「あー、確かにあそこなら塹壕みたいで俺らを相手しても勝てそうなとこだしな。ここみたいに位置が分かっても有利になりやすいし。どーぞ」


「こっちの方が数多いし、そこら辺で待っている光が可哀想だから、こっちから打って出る?」


「だな」


 翼と希は無線を使って再び作戦会議する。


 涼は柚が堂々と索敵してようやく分かる位置にいるので、隠れながら見ている翼には涼の位置が掴めない。


 涼が先に倒したい翼は前方にいる希を越えたところにいる。


 焦って希を倒したらのちに翼と一騎討ちになってしまう。機動力が高く的の小さい翼が相手だと負ける可能性も十分にある。それは出来るだけ避けたい。


 だからといって彼らにバレないよう大回りするのは時間がかかり、敵も動き出すだろう。


 涼は希が隠れている位置からは狙いがつけにくい逃走経路を考えつつ、翼と希の二等分線上に身を潜める。  


 まだ向こうが気がつく様子はない。


 距離はおよそ二十メートル。十八歳未満でも撃てる電動ガンの飛距離ギリギリだが、威力がないため安定した軌道で飛ばないから狙撃は厳しい。


「涼、ここからどうするの? なんか二人動き出しそうなんだけど」


「そりゃここまでくるのに外周部を通って時間かかったから向こうは怪しんでいるんだろうさ。攻めようと丘を降りる可能性が高い」


 涼は自陣に塹壕のような便利なポイントがあるのを知っているが、そこに隠れる作戦はつまらないからやめた。


 サバゲーは遊びなのだからガンガン自分の好きなスタイルを貫きたい。


「降りられたらここまできた意味がないわね」


「いーや、ここで向こうが動き出そうっていうのならそのまま見守ろう。僕がこの辺りに着く前に動かれるのは避けたかったが、このタイミングならむしろ好都合だ」


「へえ、どうして?」


「もちろん、向こうが坂を降りて僕のスポットに向かうなら、逆にこっちがあの隠れ場を使って奇襲できる。僕がここにくる前に動かれたら奇襲が間に合わない」


「なーる」


「コイツの出番も早速きたな」


「そのベストの中の膨れたヤツ? なにそれ? 確か前にネット注文で買ってたやつね」


「すぐわかる」


 涼は翼と光が坂を降っていくと同時にこっそりと二人が隠れていたポイントを目指す。


 翼が隠れていたポイントから下を見下ろすと坂の半分ほどの位置に翼と希が辺りを見渡しながら進軍していた。


「ッ!」


 小動物的感覚を備えているのか翼が一瞬振り返って涼を捉えた。


「希! 上だ!」


「なにっ!!」


「チッよく今ので見つけたな」


 翼がUZIの照星を涼に合わせようとしたとき、何か野球ボールのようなものが転がってきた。


「...まさかッ。しゅりゅ――」


 パンッッッ!


 涼は翼に見つけられた瞬間、手榴弾を放り投げていた。地面に触れた数瞬後破裂するように傘が開く。


 スプリング式の二百発込められる手榴弾で弾は2メートル付近まで飛ぶ。


 翼が涼を撃ち抜く前に無数の弾が翼を襲い、被弾する。


 玩具の手榴弾は不発が多かったり、素材がABS樹脂製で硬い地面で割れやすく、柔らかすぎる地面では不発が起きやすいので、どうなるか不安だった。


 しかし期待通りの性能を発揮し、翼を殺ることができた。


 一緒に希も倒せたらよかったが、グレネードは有効射程が短いのでうまくいかない。  


(急に希がこっちに振り返ったせいで体勢が崩れた! 手榴弾で翼は沈めた。このまま希を殺す!!)


 涼はアサルトライフルのサイトを覗くことなくパスパスパスパスパスと弾幕を張る。


(ヤバイッ! ここからじゃ涼を殺る前にこっちがヒットさせられる! 逃げるしかない!)


 希は一瞬にして形勢の不利を悟って逃走し始めた。


 希の後を追うようにBB弾が地面にめり込んでいく。


 銃口を希の動きの先を狙って動かすが、尽く涼の弾は希をすり抜けていった。


 やがて射程から外れ希は茂みを超えながら涼の陣営方向に走る。

 

 涼はすぐに希を追って持ち前の体幹を活かして滑り降りる。


 深追いすると希が待ち伏せていたとき返り討ちに遭うので、位置バレしても良いとばかりにライトで周囲を照らしながら攻める。


「見つけた!」


 希を照射すると、希も涼が近くまで追っているのに気がつき、ジグザグしたりテンポを変えたりと変則的に走る。


 涼はアサルトライフルで撃つのを諦め、ハンドガンHK45を乱射して走りながら希を狙う。


 希と涼では涼の方が足が速く、互いの距離は一気に縮まる。


 HK45のマガジンキャッチを押すとマガジンが自重で落下する。涼はベストから予備マガジンを取り出し、素早く装填し、リアサイトを覗いてフロントサイトを共に希に合わせ乱射。


 涼は木の影に隠れつつ涼の射線上から外れようとする希を見事に撃ち抜いた。

涼の勝利!

グレネードは試したことがないのでレビュー動画を参考にしましたが、実戦だとどうなんでしょう?

サバゲーは遊びなのですからロマンは大切にしたいですね。二丁拳銃最高。


次回

戦後の反省会

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