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妖精の住処  作者: 速水零
134/312

戦場の仲間

間に合いませんでした涙

あらすじ

第一回授業は好評

「ねえ、そんな格好で行くの?」


「そりゃ夜戦のサバイバルゲームだからな。目立たないよう黒尽くめの格好になるのは仕方ない」


 涼は全身黒の迷彩柄のミリタリー装備を着込んでいる。ダボっとしたカーゴパンツに、体のシルエットが浮き出たたくさんポケットの付いたシャツ。軽く犯罪者に見えるが、涼はサバイバルゲームができる会場までバイクで出かけるので、そういうプロテクターか、もしくはファッションとして見られるだろう。


 今、柚は涼の胸ポケットに入れているが、後でベストを羽織るのでサバゲーが始まればその中に閉じこもってもらう予定だ。


 涼はキーボードが入っていそうな大きなバッグの中に、サバイバルゲームのメインウェポンとサブマシンガン、ハンドガン二丁をいれ、他にも色々な装備を収納して背負っている。


「涼の友達って会うの初めてだからちょっと楽しみ。まあ、こんな涼と一緒に遊ぼって人たちだからどこかしらイかれているんだろうね」


「それは失礼すぎ。普通のやつだってちゃんといるさ。とりあえず、向こう着いたら軽く自己紹介してやるよ」


「お願い」


 涼はYZF-R25のエンジンを起動しセルを回し、発進する。未だ夏の残暑はあっても夜は少し寒さを感じるようになってきた。


 もう2、3ヶ月したら冬用のプロテクターを買わないといけないな、と季節の必要品を思い出して一層新たな仕事に打ち込むことを決意した。


 何はともあれ、今は最近溜まったストレスを撃って撃って撃ちまくって晴らすことにする。




「ごめーん、待たせた」


「いや、集合時間から五分過ぎているけどお前で二人目だ」


「あー、まあそうだよね」


 遅刻を謝罪しながら現れたのは涼が中学生の頃知り合った友達の鳥海翼がやってきた。


 低身長で細身の体、涼と同じく黒髪で天然パーマがかった、中学校の女子達(後輩も含め)から「かわいいーー!!」と言われ続けた男だ。


 女性の平均身長をわずかに下回る翼は、高校で「自分より小さい男は数人しか知らないけど、自分より大きい女子は何十人もいる。せめてあと5センチは欲しい!」と嘆いていた。


 翼は見た目だけで愛されているわけではなく、中身も真面目でひたむきな、応援したくなるやつだ。


 将来は芸術、イラスト関係の仕事に就きたいと宣言している。実際美術の成績は毎年最高評価で、市のコンクールで最優秀賞も取っていて、涼は翼のことを誰よりも応援している。


 それは、涼の自分にはない、ただ一つの目標に突き進む姿への憧れが故のエールだ。


「よく翼も来れたな。いきなりだっだろ」


「光のことだからさもありなんだね。こういう指を負傷しやすかったり、運動するってのは苦手なんだけど、どうもサバイバルゲームは面白くってさ。二学期始まったばかりだし、僕は予定空いてたから大丈夫だったよ」


「次に来るのは希だな」


「そうだね。今日はあと希と光だけだし、どうせ光は発案者でも最後でしょ」


 仲間内で光は最後に遅刻してやって来るというのが共通認識となっている。


 涼は美術関係の習い事は昔から興味がなく、習い事にしてはいなかったので、中学生の頃の教科書やネットニュースや一般知識くらいしか持っていないが、それでも翼と語り合うことはできる。


 翼から色んな話を聞きながら談笑していると、田中希がやってきた。


「おっす」


 希は簡単に言うと普通の男子高校生だ。勉強ができないわけではなく、頭もそこそこいいのに、効率の悪い勉強をほどほどにやってきたためので、偏差値五十前後の地元の公立高校に通っている。


 運動神経も良い方だが目立つほどではなく、中学ではソフトテニスをやっていたが県大会には届かないレベル。


 性格も量産型のように言うことは言ってそこそこボケるが、積極的に前に出ることはほとんどない。優しいが善人というほどでもない。


 まさに没個性の普通の男子高校生。だからといって希がつまらないやつだと思う仲間は誰もいない。


「おっす。希、十分遅れだぞ」


「ごめんごめんって。妹がこんな夜にどこ行くんだってうるさくてさ。あいつ兄離れがまだできてないんだよな。俺がどこ行こうと俺の勝手だってのに。聞いてくれよ。この前俺がゲームしているときにな、あいつ勝手に電源ブチ切って「私とあそぼーよ」って言い出したんだぜ。絶対嫌がらせだ」


 希の妹は超がつくほどのブラコンだ。歳は二つ離れているので涼は中学校で何度か見たことがあるが、希と血が繋がっているのか不思議なほど顔立ちが整っている。


「可愛いじゃん。お兄ちゃんと離れたくないんでしょ。僕はお兄ちゃんしかいないからむちゃくちゃ羨ましいな」


「それは妹がいないから言えるんだよ……ってこれもう何度目だ。……はぁ。なんか最近おかしな転校生がやって来るし、わけわからん奴らに睨まれるしで、新学期早々いいことないなー」


「希も苦労しているんだな。転校生とかわけわからん奴らってのは全く理解できないが、頑張ってくれとしか言えない。……それで、光はまだか?」


「うーん、まあすぐだと思うけどね。……あ、そういえば、涼って会社作ったの!?」


「あーそれな、俺も気になってた。SNSにそんなこと書いてあったから次会った時聞こうと思っていたんだよ」


「あー、光が来たら話す。それより、希のところにどんな転校生が来たんだ?」


 何度も同じ説明は嫌なのではぐらかして、あまり興味はないが、話題を広げられそうな希の話について問いてみた。


「よく聞いてくれた! あの女ひでーんだよ」


「女? 転校生は女子なんだ。珍しいね、希が女の子と積極的に迫るなんて」


「違う! あの転校生は俺の隣の席で、何でか俺を目の敵にしているんだ! やたら突っかかって来るし、むちゃくちゃ美人だから色んな奴に変な勘ぐりされたり睨まれたり……わけわからん。そうしてストレス溜まったからサバゲーしに来た」


「なになに、可愛い子が転校してきたって?」


 残念陽キャ光が呑気に最後に現れると、希の話を断片だけ聞いていたのかとても食いついている。


「あー、ようやく来たね」


「ま、光にしては早いんじゃないか?」


「そうだな、面倒なタイミングで来たものだが、ようやく揃った」


 こうして今回のサバイバルゲームの仲間、および敵兵が揃った。

密かに田中希には別の物語なら主人公だろってキャラになってもらいたいところです。全然隠れてませんが笑笑。

一人一人涼の友達を掘り下げるのは大変で覚えづらいかもですが、サバゲーをやるときに不便なので頑張ります。彼らの名前は七話で出した以来ですね。


次回 

第二の視点

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