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妖精の住処  作者: 速水零
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王子さまが幼女を無双?

あらすじ

幼女達に囲まれた

 涼を見つけた幼女集団は文字通り涼を八方から塞いで取り囲んだ。


 なにがなんだかわからない。


 困惑していると、後ろから愛がやってきた。


「もしかして、この前のパターンですか?」


「あー……そうなるわね」


「じゃあバーベキューの話を姫や茜たちがクラスメイトにして、羨ましがったり興味を持った子が集まってきた、という認識でいいですか?」


「うん、よくわかるわね。さすが涼くん、だいせーかい!」


 褒められても嬉しくない涼だった。


 取り囲んでいる幼女達が涼に飛びついたり、服の裾を引っ張ったりと「かまってアピール」をしてくる。


 このままだと近所の皆々様に涼がロリコンで幼女を多数侍らせているという噂が流れかねない。


「立ち話もなんだから、みんなうちに上がるかい?」


「「「「「はーい!!!」」」」」


 綺麗に二列に並んだ小学生達は行儀良く涼の家に入り、先頭にいる姫の真似をして靴を揃える。


 小学生一年生の足は本当に小さく、靴がズラリと横に並んだ。この絵面だけ見れば、どこかで小学生達が誕生日パーティーをしているのが伺えるが、涼は身内に幼女がいないというのだから随分犯罪的姿だ。


「わー、ひろーい!!」


「きれー!」


「なにここ、おしろの中みたい!」


「ソファふかふかだよ!」


「おにいちゃん、すごい」


 初めて来る幼女達は涼の家のリビングを見てそれぞれバタバタ走ったり、飛んだり跳ねたりして、感想を体で表現する。


 他涼の家に来たことある組は大人しくダイニングチェアに腰掛けた。


 涼の家に入り、先にダイニングチェアに座っていると、半自動的にお菓子とジュースが出てくることを学んでいるからだ。


 茜達の様子を見て、自分たちも座った方がいいと思った幼女達は空いているイスに座るが、もともと六人がけのテーブルとイスなので、二人分足りない。


 涼はピアノ用の椅子を持ってこようかと思っていたら、「ねえ、みんなすわれないからふたりですわろー」とリーダー的存在茜の一声で全席二人がけとなった。


 開いたイスに愛が腰掛ける。


「みんななに飲みたい?」


「オレンジジュース!」


「リンゴジュース!」


「オレンジジュース!」


「コーラ!」


「ブドウジュース」


「サイダー!」


「ミルクティー!」


「ミルクティー!」


 涼は聖徳太子ではないので一度に八人から注文を受けても覚えられない。ファミレスでもこんなにいきなり頼む客はいない。


「あー、置いてあるのが限られているから、その中で欲しいのを言ってくれ。オレンジジュースとコーラとミルクティーだな」


 姫が来た時のためのジュース達がなければ、みんなカフェオレかミルクティーになるところだった。


 お茶菓子よりもスナック菓子の方が子どもには人気だろうと考え、ポテトチップやビスケットを用意する。


 愛は普段姫にジュースやスナック菓子を与えないタイプだが、今日はお目溢ししてくれるだろう。


 姫がこんなに友達を連れてくるのは初めてなのか、愛の目は若干潤っている。ぼっち時代からは考えられない成長だ。


「ねーねー、涼お兄ちゃんってなんでもできるってほんとー?」


「そーそー、あかねちゃんが言ってた。【カンペキチョージン】だって」


「「ねーーっ」」


 涼のことを幼女達は皆「涼お兄ちゃん」と呼ぶのが当然となっているようだ。


「なんでもはできないよ。僕にできるのは僕ができることだけさ」


 なんかこんな風なセリフをどこかで聞いたことがある涼。とても便利だから今後も使っていきたい。


「涼お兄ちゃんおよげるー?」


「わたしねー、もう8きゅーなんだよ!」


「すごーい、わたしまだ10きゅー」


 夏休みが終わったばかりなので、水泳が人気なのだろう。夏休み前体育の授業でもやっていたらしい。


 どこのクラブか言及していなかったが、涼もこの辺にずっと住んでいるのでどこのスイミングスクールか予想は着く。そして、そのスクールは涼も通ったことのあるところだろう。


 そもそも姫の行っている小学校は涼の母校だ。話題が合わせられるのは当然のこと。


「そっかー、もう8級なんてすごいね。僕は3段まで続けてやめちゃった」


「「さ、3だん!?」」


「「「すごーい!」」」


「それってすごいの?」


「んー、わかんない」


「おかあさんしってる?」


 最近引っ越して来た姫やあまり運動していない子どもは段位の話をしてもわからないだろう。


 しかし、小学生で水泳を習う家は多く、この地域は富裕層が多数を占めるので、近所の有名なスイミングスクールに通っている子の方が多かった。


 泳げるのは1ステータスなので幼いうちに教育しておきたい家庭が多いのだ。


「んー、涼くんのことだから結構すごいと思うわ。実際どうなの?」


「そうですね。簡単に言うとプロを目指す子どもに混ざれるか混ざらないかのボーダーラインって感じですかね。もちろん入る年齢によって全く意味合いが変わりますが」


 涼も他の富裕層の家庭に漏れず水泳は必須で習わされた。中途半端に泳げるのは情けないと、小学生の間はずっと通わされたものだ。


 水泳は好きだが、それでプロを目指そうと思ったことはなく、中学に上がると同時に辞めた。


「プロ! すごーい! やっぱり【カンペキチョージン】だ!」


「えー、ほかにはほかには?」


「50メートルなんびょーではしれる?」


 幼女達は涼の言葉一言一句にさまざまなリアクションをとる。


 だんだんと茜たち以外の幼女たちの目がキラキラ輝き出した。


「ねーねー、このまえとったしゃしんない?」


「写真? あー、バーベキューした時の記念写真か。確か愛さんに送りましたよね?」


「ええ、他のお母さん方にも渡したわよ。他の子たちに見せびらかしたいんじゃないかしら?」


「なるほど、まー、何人かバーベキューをしていた様子が聞きたいと言ってましたし、アルバムを見せますか」


「そうね」


 涼は自室で寛いでいる柚に「危険生命体が大量に襲ってきた。貴族セットに避難しておけ」と伝え、タブレットを持ち出す。


 写真のアルバムを開いてソファに腰かけると、八人の幼女が涼の上に乗ったりひっついたりしてきた。玄関前であった時以上の肉体接触である。


 それは幼女達が涼に心を開いている証拠だ。


 綺麗なおうちに招待してもらい、美味しいお菓子やジュースをいただき、凄い実績を持っているのだと知った。これでイケメンでスタイル抜群なのだから、ませる始めくらいの幼女でもホイホイひっつく。


「「「「わぁーーっ! カッコいい!!」」」」


 幼女達はバーベキューの写真を見るつもりが、無意識のうちに涼の姿を目で追っていた。

流石に新規で五人の女の子に一文字の名前をつけるのは大変で、キャラ付けとかも含め覚えられないし、混乱するので、必要なタイミングが来れば名付けていきます。

こういう涼の家に押しかける展開大好きです。


次回

カンペキチョージン

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