表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖精の住処  作者: 速水零
103/312

見当違いな策

またやってしまいました。

いつもは偶然早く過ちに気がつき午前十一時に一話あげるのですが、かなり遅れてしまい、本日は一話のみです。

どこかで二話分連続投稿します。


あらすじ

作戦変更

 涼は昨日誤った戦法をとったと誤解している。


 それは恐喝するように柚を無理矢理外に出させる策だが、柚を怖がらせるだけで逆効果になってしまったと思っている。


 だがそれは間違いだ。


 柚は確かに涼に捨てられる未来を想像してしまい、初めは恐怖に震えていた。しかし、今の柚は涼の想定よりも精神が強く、また胸に秘めた恋心が恐怖を打ち負かしていた。


 それでもまだ外には出られないが、あときっかけ一つでなんとかなる段階まで来ている。


 そして、この涼の誤解が何を生むか。


 それは見当違いの策である。


(柚にはまだ、もしくは今後一切脅すような手は使えない。昨日の今日で強気な策を出すこともできないし、今日は有効打の策を使ってダメージを与えるようにしよう。さて、どんな方法なら柚が外に出なければいけないと思うかだが……ああ、アレがいい)


 将来の夢を想起させたり、期末テストの打ち上げに誘ったりなど、とにかく柚が前向きに外に出たくなるような誘惑をしてきた。


 今回も自分の意思で外に出るしかない、と思わせる作戦を考えなければならないが、なかなか立案するのが難しい。


 柚は大抵のものはネット通販で買い揃えることを覚えたので何かを買いに行こうとは誘えない。また、良い景色があるから一緒に行こうというのも一度試したことがあるが失敗に終わっている。


 最近一般高校生が興味を抱くジャンルに関して勉強し始めた涼だが、柚を攻める弱点がイマイチわかっていない。


 だが、出逢ってまだ一季節分しか一緒にいないとはいえ、濃密な時間ともに過ごしてきた。柚と暮らす中に一つ涼の得意分野で柚の好きなことがあるのを思い出した。


 作戦に必要な道具が家にないので涼は買い出しに行くことにした。


「ん? 涼どこ行くの?」


「ちょっとコンビニに行ってくる」


「そう、じゃあコーラ買ってきてくれない? あと何か甘いものも」


「コーラは甘いからいいよな」


「そうじゃなくて何かスイーツ! わかるでしょ」


「太るぞ」


「この体は燃費が良いからいくら食べても太らないのよ。いやー、これだけはこの体になってよかったと思うわ」


「そうか……まあ了解した。十五分くらいで戻ってくる」


「よろしくね」


 コンビニはなんでも揃っているから名前の通り便利だ。涼の欲しいものもここなら買える。


 近所にあるコンビニは歩いて五分ほどで着く。


 バイト先のファミレスにも近いのでたまにバイト仲間と出会うことがある。


「あれ、木下さん?」


 今日もバイト仲間とバッタリ出くわした。


「ああ、佐伯さんおはよう。これからバイト?」


 佐伯冴は涼のバイトの後輩で一歳年下の女の子。小顔で目鼻立ちが整っていて、茶髪のポニーテールが特徴の美少女だ。真面目で気になったことはなんでも質問してくるので涼は時々構いたくなってしまう。初めてできたまともな後輩でもある以上尚更だ。今日はバイトの制服のまま行くらしい。

 

「はい、四時間だけですけどね。涼さんはシフト入ってないんでしたっけ?」


「まあね。ここは僕の家からも近いからよく来るんだよ。佐伯さんは少し遠いところからなのによく来れるね」


「逆に私は家の近くだとこうして知り合いに出くわしたりするので離れたところでバイトしたくなるんですよ。ここなら中学の学区外なので地元の友達と顔をあわせることも滅多にありません」


「そうか。今日は葵もいるんだっけ?」


「はい、確か一緒のシフトだったと思います。凄いですよね、葵さん。私が入る時ほとんど見ますし、接客も上手で、憧れます」


「あれはバイト戦士だからな。そのうち社員上がりもしそうだ」


 涼は葵のことをバカだと思っているが、仕事仲間としては信用している。バカだがクレームの対応も丁寧で相手の主張をやんわりと受け止める能力がある。天職かもしれない。


「涼さんだって凄いじゃないですか。すっごく頭いいし、みんなにいろんな指示を出して、まるでマネージャーが一人増えたみたいになります。すっごく頼りになります! それに、ダメな私に付き合って何度でも嫌な顔せずに教えてくれますし……」


「それは当然のことだよ。佐伯さんは可愛い後輩だからね」


「え……」


「ん? ああ、突然可愛いなんて言ったらそりゃ驚くか。まあ実際可愛いからね。初めての後輩だし」


 だから葵に勘違いされかけていると言われるが、涼は冴に対してゆるゆるなのでとても可愛がってしまう。


 冴は完全に頬を真っ赤に染めて俯き、黙りこくった。


 憧れのイケメン完璧超人に可愛いと言われれば、普段女子校に通っている無垢な女の子はイチコロだ。


「そうだ、佐伯さんバイトがあるんだからそろそろ行った方がいいんじゃないか?」


「……は、はい………そうれすね。し、失礼しまふ…します。ま、またシフト被った時はよろしくお願いします!」


「またね。葵にもほどほどに頑張るよう言っておいてくれ」


 そうして冴と別れ、涼はコンビニで柚のリクエストと作戦の武器を手に入れた。


 この作戦でうまくいくとは思っていないが、かなり揺さぶれるのではないかと期待している涼であった。

いつもYouTubeで音楽聴きながら書きますが、オススメを垂れ流しにしているとたまに普段検索しないような曲が出るものでチャリチョコのテーマソングが流れてきました。

そしてそういえばあの工場にも小人沢山いますね。

いつか活用できたら面白そうです。


次回

不発

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ