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妖精の住処  作者: 速水零
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集のお礼

あらすじ

初乗りした

「まあね。ここには涼君へのお礼を渡したいと思ってきたんだ」


「お礼……ですか」


 涼が集からお礼をされるというと、思い当たる節は一つだけ。姫のことだろう。


 姫は快活で家中走り回るような子だが、少し人見知りするところがあるらしく、引っ越してきた先の小学校で友達を作らないでいた。


 いつもファンタジーの本や絵本を読んで過ごしており、自分の世界を出ないで一人ぼっちで学校生活を送り、外でも誰かと遊ばず家で母親の愛と遊んでいたようだが、本当は友達が欲しかったらしい。


 それが涼が来たことで変わったらしい。新しい友達ができ、家にも呼ぶようになり、最近では涼の家までやってくるようになった。


 小学生の無邪気な頃なら別に時間の問題だろ、と思っていた涼だが、集は涼に深く感謝していた。


 予想は当たったようで、集から姫に関する礼を形でしたいらしい。


 気にしないでくださいと突っぱねることは容易だが、こういうのは素直に受け取っておく方が互いに良いのは経験でわかる。


「わかりました。ありがたくいただきます」


「ああ、そうしてくれ。それでだ、なんの贈り物をするかということだが、一つ良いものがある」


「何でしょうか?」


 こっちはあまり予測がつかない。バイク初心者な涼は知識はあってもこんな贈り物として優秀なものなど検討もつかない。


 バイクには案外付けておくと便利なアイテムが多数存在する。


 例えばUSB電源やスマホホルダー。言わずもがなバイクのバッテリーから電源を供給しスマホを充電できる代物で、スマホホルダーがあれば充電しながら地図アプリを表示できる。


 涼はすでにヘルメットホルダーの他に納車前にスマホホルダーとUSB電源、それをつけるためのステー(涼の乗っているバイクはセパレートハンドルというスマホホルダーやUSB電源を取り付けられないようなハンドルになっており、取り付け用のバーが必要なのである)を取り付けてもらっているので、特に必要そうなものが思いつかない。


「これから俺と涼君は一緒にツーリングするようになるだろ。その時インカムがあると便利だからそれをプレゼントとしようと思っている」


「い、インカムを……ですか!?」


 涼が驚くのも無理はない。インカムは高価なもので高い製品ならタブレットが買えてしまう。


 てっきり二、三千円前後のものをいただけると思っていた涼は予想の十倍の値段のプレゼントが貰えると聞いて少し狼狽する。


「ああ、お礼としてはピッタリだろ。ただ、俺のと同じ会社の方が都合がいいから選ばせてあげられないけどね」


 インカムは無線機器なので他社と繋ぐことはできるが繋げられる人数が減ったり、距離が短くなったりと色々な制限がかかる。


「いえ、まだどんなインカムを買おうか検討もしていなかったのでどの製品でもありがたいです。それに、集さんのインカムは最大手と言ってもいいほど有名なメーカーのインカムじゃないですか。むしろ、そんなに高価なものをいただいてもよろしいのですか?」


「気にしないでいい。それだけ俺は君に感謝しているってことだ。それに、姫に大きな人形の家を買ってもらったことがあるだろう。かなり安くなっていたとは言われたがそれでも相当な金額だったはずだ。なら、俺がインカムを買ってあげるくらいで愛も何か言ったりしないさ」


「ありがとうございます。大切に使わせていただきますね」


「ああ……でも、それは店の中で買ってから言ってくれ」


「そうですね」


 二人はひとしきり笑って用品店内に入った。


 圧倒されるほど多種多様なバイクの用品が陳列されている。ここに来れば欲しいものはなんでも揃うのではと思わされるほどだ。


 インカムは店内でもレジ近くに置いておりすぐ発見できた。


 とても高価なものなので実物はここには置いていない。後で欲しい時に店員に声をかけなければならないようだ。


 店内を見て回ると他にも欲しいものが出できそうなので一番最後にする。


 色々見て回るといくつか欲しいなと思う製品があった。特に必要なのはプロテクター類だろう。 


 今後高速道路も乗ることを考慮すれば絶対に必要だ。


 プロテクターの入っているライティングジャケットで、バイクの青い車体に合うものがないか見繕っていると、値は張るがカッコいいものを見つけた。


 バイクを買ったばかりだが購入予定よりも遅くなったためお金を下ろせば買えなくはない。


 しかしこれを買えばもう何もできなくなってしまうので次の給料日まで待つとする。


「ライジャケもあると便利だ。俺はこれなしで高速道路やバイパスに乗りたくはないね。一緒にバイク用のブーツも探した方がいい。涼君は今スニーカーだけどシフトアップの時足が痛いだろう。ライディングブーツがあればかなり楽になるし、足の保護にもなる」


「なるほど。確かにそれもあった方がいいですね。今度まとめて買います」


 他にもフェンダーレスキットやバーエンドなど色々見たが、今回は集さんの勧めでタンクパッドだけ買った。これがあるとファスナーの金具でタンクを傷つけなくて済む。


 そこまでタンクパッドは高くないからと集はこれも涼に買い与えた。


 インカムは簡単にヘルメットに取り付けられるが、早速実践してみたいので店員に取り付けてもらった。


 その間暇なので涼達はタンクパッドを張り、他の商品を見ていた。




「今日は何から何までありがとうございました」


「いいよ。姫のお礼ができて俺も肩の荷が下りた。これから一緒にツーリングするのが楽しみだ」


「はい、僕も楽しみにしています」


 涼はインカムの電源をオンにして接続用のボタンを押す。


 集のインカムとは繋げてあるのでボタン一つで通信できる。


「ちゃんと通話できるようだね。じゃあ買うものも買えたし、買えるとしよう。姫が涼君のバイクに乗っている姿を見たいとうるさいかったんだ。お披露目してくれ」


「はい、わかりました」


 家に帰ったらゆっくりしたかったが、今日残りは姫に振り回されて終わりそうだ。


 このバイクで旅をする時、柚も連れて行ければいいのにと思う。


 これならロードバイクでキャンプに行った時の骨伝導イヤホンのように柚と会話しながら走れるだろう。


(さて、どうしたら柚は外に出てくれるかな)

バイクの話はここまでです。たまに登場します。

この後書き見返す時にこの日はこんなことあったな、こんな状況で書いてたな、なんてことを思い出せる日記状態になってます。

今日はDVD借りて映画観たよ!笑


次回

夏休みの予定

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