てへぺろ!
ギースも揃ったのだが、狭い通路では戦えないと言う事で広い場所まで走る。
先程、ベロニカが登場した広場まで戻って来た。結局、一周しちゃった
私達の後を当然だが、ベロニカも久遠も追って来た。2人を確認したギースとハイドは剣を構えて臨戦態勢に入る。向こうもコチラの動きを確認したのか構えた。
「兄上!」
これで五分五分、勝てるかもしれない! と思った所で純菜が遅れて向こうに合流した。
「手を貸します」
「え⁉︎」
そしてまさかのアキラも合流して来た。アキラは縛って動けない様にした後、兄が見張っていた筈なのだが……。兄様め、しくじったな
人数的に向こうが有利になった。さて、勝てるか?
「あ、やっと見つけだぞ!」
「あ、兄様」
兄も合流。なんだか、わちゃわちゃして来た。
「後は師匠だけ」
それ以外は全員此処に集まった。後は迷子の師匠だけだが……。
「リンドヴァルは諦めろ」
「そうだの」
ハイドとギースは師匠の増援を期待していないらしい。まぁ、師匠の方向音痴は今に始まった訳ではないし、ここでは期待しない方がいいだろう。
「では!」
私が余所見をしていると、いつの間にか戦いが始まっていた。私は慌てて参戦する。肉体的に戦うのはキツイので後方から支援攻撃に徹する私は、前で戦う面々を観察する。皆んな良く動いている。これなら1人サボっても問題無いかもしれない
「やっ!」
一際大きな声を出したアキラを見る。すると驚くべき事に気が付いた。それは……
「左手に白の紋様?」
左手に白の宝具の紋様が薄っすらと出ていた。最後の白発見だ!
「ハイド! アキラが白を持ってる!」
私がハイドに言うと、ハイドはアキラを確認。全力で攻撃し始めた。そう、何故か全力でだ。
もしかして、ハイドはアキラを殺す気で攻撃しているのかもしれない。確かに生かして捕らえるより、殺して回収する方が楽かもしれないが……
「おーい。一応、親戚なんだから殺すのは……」
「うるさい」
怒られた……。相変わらず、酷い奴だ
私は溜息を吐き、どうしようかと悩んでいると、久遠が懐から何かを取り出し床に投げたのを確認した。
床に打つかった何かは弾け、煙が出始める。まさか、煙幕か?
それを投げると同時に久遠が部屋から退散する
「違う!」
「煙を吸うな!」
ハイドとギースの声が聞こえて来た。辺りは煙に包まれ誰が何処に居るか分からない状態になっている。
しかし、前方で複数名の倒れる音がした。そこで気付く。これは何かしらの効果が有る煙幕だと判断し、煙を吸わぬ様に口を押さえて扉を目指したが……
「ゲホッ、ゲホッ、ゴホッ!」
タイミング悪く咳が出た。その咳は今までの咳より随分酷い咳だった。咳と同時に口から大量に血を吐き出す。
咳が止まらず、苦しくなった私はその場にしゃがみ込んだ。咳のし過ぎで酸素が上手く回らず、体の力が抜けて動けない。私は必死で咳の合間に酸素を得ようと喘ぐが、上手くいかない。
意識がだんだん遠くなってきて、しゃがんで居る事すら困難になり、体を地面に横たえる。
意識が遠くなるのは、咳の所為か、この煙幕の所為か……。多分どちらもだろう。
どうやら私はここまでの様だ
『諦めては駄目よ! 親戚に土下座で謝ってもらうまでは頑張らないと!』
『もう、いいだろう? 頑張ったじゃないか……。もう、辛くて立つ事さえ叶わないじゃないか。だから、もうココまでで良いんだよ』
私の脳内で、またデフォルメされた兄様姿の天使と悪魔が囁いてくる。
『良いの? ここで大人しくしてたって良い事なんて何もない! 忘れたの? 仲間は皆んな冷たい人達よ? 誰も助けてなんてくれない! ここは自分で何とかしなくちゃ!』
『いや、いや。大丈夫だよ。もう、何もかも忘れて楽になろうぜ』
相変わらず裏声の兄様は気持ちが悪いな……。だが、そうだ。ここで立ち止まれないのだ。親戚に土下座で謝ってもらうまでは!
「こんちくしょう!」
私は震える体に鞭を打ち、何とか立ち上がる。そして扉まで全速力で走ったが……。
「あべしっ⁉︎」
なんと扉ではなかった。よくよく考えれば、この煙幕の中、記憶を頼りに出口を探すのは困難である。その辺に扉が有ると決めつけて勢い良く壁にぶつかってしまった。痛い……。鼻打った……
仕方がないので、殊技を使い壁から脱出。外の通路に出た。
「ゲホッ、皆んな大丈夫かな?」
あの時、久遠は自身の仲間も見捨てるつもりで煙幕を使ったのだろう。1人だけ退散したのは、その為だろう。もしかするとベロニカ辺りは効かない薬だったのかもしれないが、他の面々は無理だと思われるので、やはり初めから見捨てる気だったのだろう。冷たい奴だ
私は取り敢えず、廊下を歩き、身を隠せそうな場所を探す。この後、久遠は広場に戻り意識がなくなった面々の回収に向かうだろう。もしかしたら、他の兵や六花、花弦も来るかもしれない。私の肉体が限界な今、不用意な接触は避けるべきだ
私は辺りを警戒しながら安全そうな場所を探す。歩きまわっていると、イネスの亡骸を発見! 本当に亡くなっているかの確認をする為、首に手を当てて脈の確認をする。
「死んでる」
まぁ、色んな人の恨みを買って居た様だし、自業自得と言えばそうなんだけど……。
私は溜息を吐き、ポッケからハンカチーフを取り出して顔に掛けてやる。
「どうか安らかにな」
一応はアキラがお世話になった訳だしな……。
「随分、優しいじゃないか」
「あ、」
イネスに集中していて、辺りの警戒を怠っていた。気が付いたら私の背後に久遠が立って居り、後頭部に銃を突き付けられた。
私は大人しく手を上に上げて降参のポーズを取る。
「大人しくしてろ」
油断して捕まりました☆ てへぺろ!




