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増援

 

 やはりと言うべきか六花最強(ベロニカ)は強かった。私の攻撃などモノともせず、平然としている。正直、今の私では傷一つ負わせる事は叶わないだろう。

 得意としている魔法も殊技も通用しない為、物理で叩くほか無い。しかしベロニカの宙に浮いている6本の剣が厄介で中々近づけない。


「コンチキショウ!」


 私は2本の刀を捨て銃に切り替える。銃ならば近づかずに相手を攻撃出来る。しかし、近付かなくてもベロニカの剣は脅威であった


「アキラ……。確かにお前の苦しみは分かる。だけどお前の母親がどれだけっ!」

「黙れ! お前に何が分かる! 女でありながら男として育てられ、挙げ句の果てには、やはり女では当主は無理だと言われた僕の気持ちなど!」


 私とベロニカが激突している間に兄と元若君は話していた。私を手伝ってくれよ兄様!


「ヌルい!」

「ぐっ⁉︎」


 ベロニカの剣はベロニカの周りをグルグルと周り、私の放つ銃弾を弾く。ベロニカにとっては銃など大した脅威では無いのだろう。

 重い鎧を身に付けているにも関わらず、ベロニカのスピードは常人よりも速い。なので何度か接近を許してしまう事となり、その度に肝が冷える。


「くそー」


 何をしても、怯む様子も効いている様子もないベロニカに悪態も吐きたくなる。飛んで来る剣を回避しながら、銃で応戦を続ける私だが……


「ゲホッ、ゲホッ! あ、血が……」


 とうとう時間切れが来た。万事休すだ!

 血を吐いた事により、一瞬気が逸れた。戦場では一瞬の油断が命取りだ。

 その一瞬でベロニカから攻撃を貰い、私の体は後ろに吹っ飛び、壁に叩きつけられた。


「ガハッ!!」


 口から血がダラダラ出てくる。これ、本当に大丈夫だろうか?

 私は壁を背に座り込み立ち上がる事が出来ない。たった一撃食らっただけで、このザマである。


「ははっ。師匠達なら、もっと上手くやれたらかな?」


 自身の無力さに笑いが込み上げてくる。今まで兄様や当主様を見下して嘲笑って来たが……。御門違いだった様だ。そう、私も弱者の1人であったのだ。兄様達を悪く言える立場ではなかった


「……んな訳あるか!」


 私は勢い良く立ち上がり、自身の持ち得る最高時速を叩き出しベロニカの背後を取る。私の銃が火を吹いた。ベロニカには避けられたが……。


「よっしゃ!」


 ベロニカの顔に一線の線が行った。やっと傷を負わせられたのだ。少しだけど……。

 兄様と次期当主様と同じ弱者では嫌だと思いヤケクソの攻撃だったが、相手の意表は付けたのかベロニカも若干驚いた顔をしていた。


 まぁ、たった一線だけだけれども……


「さぁ、第2ラウンドですよ!」


 正直、体はガタガタで今すぐにでも寝転がり休みたい気分だが、そうも行かない。震える体を叱咤し私は……逃げよう!


「あ、師匠達だ」


 最後の手段である逃走を行おうと思ったが、ベロニカの背後に師匠とハイドの姿が見えたので、予定変更しその場に留まった。全く厄介な時に来てくれたものだ。恐らく私の首輪の発信機を使い、私の居る位置を割り出したのだろう。そして迎えに来たか、助けに来たかをしてくれたのだろう。

 いや、この2人が助けに来る訳無い。イネスの所在を知る為に来たか? まぁ、結果的に増援が来てくれたので万事オッケーとしよう。


「佳月! まだ、やれるか?」

「イエス、師匠」


 師匠達が来た事だし、私は等の昔に何処かに行ってしまったイネスを追いたいのだが、やはり師匠とハイドだけではベロニカ戦はキツイらしく私も参戦が確定した。チェッ!


「前には出るなよ?」

「邪魔はするな」

「はいはい」


 ハイドに邪魔するなとか言われたのだが……。もう、帰って良いかな?

 私は先程までの戦い方と同じ、銃を主体に戦う事に。これで2人の後ろから2人を援護しつつ攻撃と行こう。


 まぁ、しかし……。ぶっちゃけ、ベロニカは強かった。化け物か! っと言いたくなるくらいだ。私と師匠、ハイドの攻撃がまるで効いて居ない。レベル差ありすぎだろう……


「マジかよ……」


 以前、師匠とハイドとギースで挑んだ時は相手を撤退に追い込めたらしいが、ギースの代わりに私が入ると、こうも戦力に違いが出るモノなのか?


 あっと言う間に私達3人は地べたに這い蹲る事になる。ここまで差が有るともう笑うしかない。


「佳月……。お前は退け。黒は揃えてはいけない」


 師匠が私に逃げる様に言う。こう言ってはなんだが、私だけならば影を通るなりして逃げる事は可能だった。その時はイネスを諦める事になるのだが、背に腹は変えられないしな


「何しに来たんですか、師匠? 私1人でも大丈夫でしたよ」


 場違いだが愚痴ってみる。ご丁寧にベロニカは私達の話が終わるまで待って居てくれるらしく、剣を下ろして腕を組み私達を見下ろして立っている。親切か!


「……車に戻ればお前は居らず、発信機を見れば知らぬ場所に。勘だったが、お前はイネスの所に行ったのだろうと思い、殺気立っていたハイドを連れて探した」

「成る程」


 やはりイネス関連で私を追ったのか


「お前に近づけば近づくほど、2つの黒の気配を感じた。恐らくお前が交戦中だろうと踏み、手を貸しに来たが……」

「このザマだな」


 結果、惨敗。どのみち惨敗するのなら増援要らなかったな……。黒、揃っちゃったじゃん

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