皆んな敵だった!
目が覚めると自室の天井だった。師匠に重過ぎる一撃を食らい伸びた私を誰かが部屋まで運んだらしい。
「う〜ん」
体を起こすと節々がバキバキと音を立てる。これは身に覚えが有る。さて、今度は何日寝ていたのだろうか?
手早く着替えをして、髪を整える為、鏡の前に立つと……
「アレ?」
自身で付けた覚えの無いチョッカーが首に巻かれていた。外そうとしても外れない。何だこれ?
チョッカーは後回しにし、取り敢えず、リビングに向かう事に
「ししょー」
若干、怯えながらリビングに向かう。あの時、確実に師匠は怒って居た。なのでしっかり謝ろう。ちゃんと謝らないと後が怖いのだ。師匠はわりと根に持つタイプなのである
リビングまで行くと、そこには兄様しか居なかった。他は何処に?
「え⁉︎」
その兄様は私を見て、まるで幽霊でも見る目を向けて来た。何事?
「何で起きてるんだ?」
「はぁ?」
兄様は大層、私が起きている事に驚いているらしい。そんなに驚く事か? 起きるのは普通だろう。だって生きているのだもの
「起きるのは、まだ先の筈だ。だって朝にアスターがいつも通り、薬打ってたし……。起きる筈ない」
「アスターが薬打ったの?」
私は兄様から事情を吐かせた。
内容は流石に今回はオイタが過ぎた為、強制的に何日か眠らせるつもりだったらしい。肉体の回復を待って数日後に一度起こし、暫くすればまた眠らせる予定だったとか。何それ怖い。本人の意思無しに、強制睡眠の刑とか辞めてほしい。恐ろしい過ぎる
「首のチョッカーは位置情報が分かるモノらしいぞ」
「私って人権無いの?」
怖い! 怖すぎる!
「それにしても可笑しい。お前は安息を打たれても大丈夫だったらしいから、アスターが強目の薬打ってた筈なんだけど……」
「アスターもグルなんだな! くそぅ」
これはビック3辺りの仕業かと思ったが、アスターも噛んでいるのか……
「アスターだけじゃない、最終決定はコルネリア様だ」
「……もう、お家帰るー!」
皆んな私の敵だった! 私はキャンピンから飛び出す。後ろかは兄様の声が聞こえて来るが関係無い! 確かに今回は悪い事したかも知れないが、それでもこんなのは無い! 家出ならぬ、キャンピン出してやる!
暫く走ると息が切れて来たのと咳が出てきたので立ち止まる。そして近くに有ったベンチに座り込む
「仕方ないだろ!」
息を切らせた兄様が登場。まさか、追って来るとは。
「コルネリア様だって苦渋の決断だったんだ。でも、黒の宝玉はお前しか持てないっていうし……。お前に死なれるのはマズイんだって先生やリンドヴァル様、ハイド様も言っておられた」
どうでもいいが兄様はギースの事を先生と呼んでいる。
「もう、良いよ」
彼らの言い分は分かる。私が死ねば黒い宝玉は解放されて、また国は混沌に包まれる。私以外が黒い宝玉を持てない今の状態では私を軟禁して、生かしておくのが1番得策なのだ。宝玉さへ無事ならば、あの3人は私がどうなろうと構わない。
まぁ、私の他にも王様は持てる様だが、もう半球となると流石の王様も厳しいらしいので、彼も私は生かしておきたいらしい。
取り敢えず、外に来たのでブラブラしようと思う。久しぶりの外だ。
「所で兄様、他の皆んなは?」
「出掛けてる。最後の宝具がこの辺りで反応が有ったらしい。まぁ、直ぐに消えたらしいが……。皆が【イネス】が近くに居ると……」
イネス来た! こうしては居られない! 私も探さなければ!
うん? 今、気になる事言わなかったか? 危うく聞き逃す所だったが、今【最後の宝具】って言わなかった?
「兄様? 最後の宝具って? まだ4つしか無い筈だけど……。1つ足りないよ?」
そう、宝具は全部で6つの筈だ。今まで4人の宝具持ちと協定を結んだ。そしてイネスで1つ。後、1つは?
「そんなの僕が知る筈無いだろう! コルネリア様達がそう仰ってたんだ!」
「ちっ! 使えない兄様だな」
「お前な!」
もしかして私に知らされて居ない宝具の持ち主が居たのだろうか? それなら合点がいくが……。何だが悲しい気持ちである。仲間なら報連相くらいしっかりしようぜ!
「それより、お前は戻れよ!」
「嫌だ! 私は【一ツ葉】の家紋について調べるんだ!」
そうだ、イネスの所に行って一ツ葉の事を調べないといけないんだった!
「そういえば、そんな事、言ってたな。でも、ダメだ。お前を心配している訳では無いが戻れ。俺が怒られる」
自分の為に私をキャンピンに戻そうとしている兄を放置して、私はここから近い山に向かう。前回、山の中の廃墟に研究施設を構えていたイネス。なので前回と同じ様な場所を探す事に。
薄暗い森の中を只管歩く。その後ろには兄様が続いている。
「なぁ、帰ろう」
兄様が後ろから、ずっと呼びかけて来る。
「私は好奇心旺盛なんだよ! 冒険でしょ、でしょ!」
「それがダメなんだよ! だから薬打たれて大人しくさせられたの!」
山の中で兄とヤイヤイ言い合いをする。私と兄様は最近になって話す様になったが、馬が合わないのか良く喧嘩になる。終いには取っ組み合いになるのだが、結果は私の全勝。兄様にはまだまだ負ける気がししない。
「お前はいつもいつも生意気なん……。何だ、アレ」
兄様が私に怒鳴り散らし、いつもの様に取っ組み合いになりかけた所で、兄様は何かに気が付いた。それは
「観覧車の妖精ではないか!」
そう、【ジェノサイド】であった。これは紛れもなく此の近くにイネスが居るという証拠だ。
「兄様! アレに付いて行けば研究施設は直ぐです!」
「え゛⁉︎ アレに付いて行くのか⁉︎」
及び腰になった兄様を引きずり、私はジェノサイドを追った。




