修理中
「どうにか無事じゃったの……」
「何とかね」
今、私達は例の無人島に居る。あの後、キャンピンは全速力で移動し、何とか島にたどり着いたのだった。それにしても先程のメガロドン (仮)は何だったのだろうか?
「キャンピン、ボコボコだね」
「じゃなぁ」
頑張ったキャンピンは、たいへんボロボロになっており修理の必要が有る。
逃げて居る途中、何度もアラート音が出て終いにはエンジンが止まるアクシデントが起きたが、魔法を使ったり殊技を使って何とか凌いだのだった。
まぁ、殆どが私のお陰だが、私は大人なので兄の様に誇ったりはしない。ドヤ顔するだけに留めておいた。え? 一緒?
「お前さん、体は大丈夫か?」
ジィジが問うてくる。
「問題無いよ。別に魔法を使う分には肉体的な負担は掛からないよ。体を動かすのがダメなだけ」
「左様か」
私とジィジはキャンピンに残り修理中。他の面々は島内を捜索中だ。
正直、私も行きたかったのだが、師匠とコルネリア様、アスターに止められ敢え無く断念した。冒険心擽られてるんだけどなぁ……
「修理の目処は立ったし、お前さん休憩してきて良いぞー」
「わーい」
ジィジにキャンピンは任せて、近くの泉で水浴びする事に。もし、何かに襲われても、泉からキャンピンの姿は見えて居るので直ぐに駆けつけられるし、問題無いだろう。
因みに泉にしたのは海に入ると鮫がいそうだったし、川も鮫が登って来ないとは限らないからだ。安全を考えて泉にした。
水着なんて洒落た物を持ち合わせていない私は、上はボロいTシャツ、下は短パンを履いて水浴びをする事に。服が水を吸って動きにくいが、冷たくて気持ちが良い。よくコルネリア様が水浴びたがる理由が良く分かった。
「は〜……。極楽極楽」
まるでお風呂に浸かっている様に見える私。若干、水浴びの仕方を間違えている様な気もするが、気にしない。
「……うん? 何だアレ」
泉に黒い物体が浮いて居た。さっきまで無かったのにな……。何だか怪しい。見た感じ黒い髪の塊の様に見える。それが徐々にコチラに近づいて来ている。割とホラーだ
私は一旦水から出て、それを観察してみる。すると、標的をなくした黒い髪の塊は彷徨い始める。あっちに行ったり、こっちに行ったり。
好奇心に負け、黒い塊を (殊技で)突いてみたら……
『ギィシャァアア!!』
顔を上げて吠えられた。そして長い髪を振り乱し、勢い良くコチラに泳いでくる謎の生き物。正直、かなり気持ち悪いし、怖い。本当にホラーだ。思わず後退りる私。
そんな私に黒い髪の塊は飛び掛かって来た。水から出られたんだね。
「うおっ⁉︎」
水から出てきた方は難なく避けられたのだが、後ろからの接近に気づくのが遅れた。辛うじて避ける事には成功したのだが、バランスを崩し転倒。泉の中にドボンした。
何時もならば、こんな無様な行いはしない私だが、今回はメガロドン (仮)の襲撃による消耗と、肉体の状態が悪い事もあり、まともに動けなかったのだ。
水に落ちた私を追って水に入って来た黒い髪の塊は問答無用で私を喰らい殺そうと牙を剥いて来た。しかし、伊達に何度も死線は潜り抜けていない。これしきの事で動揺はしないのだ。
私は慌てず騒がず、黒い髪の塊に、影から取り出したナイフを突き立てる。すると、その塊は慌てて私から離れ、逃げて行った。良く見ると泉の隅に穴が開いており、先程の黒い髪の塊はここを通ってやって来たのだろう。
「プハッ」
顔を水面に上げる。次は後ろから襲って来た奴の対処をしなければ。近くには非戦闘員のジィジが居る為、放置は出来ない。
「うぉ⁉︎ なんじゃ!」
私を見失ったモンスターはジィジの元に向かっていた。それに氷系魔法の魔法を掛けて仕留めた。呆気ない。
「こんなモンスター居るんだね」
そのモンスターは昆虫のカマキリに似た姿のモンスターであった。先程の黒い髪の塊のモンスターと言い、巨大カマキリと言い、私の頭の中の辞書には載っていない為、珍しいモンスターなのかもしれない。
「ここは無人島じゃぞ? 人間が発見出来ていないモンスターや動物が居て当たり前じゃろ? もしかしたら、人間の様に知能を持った謎の生命体とかも居るかもしれんぞ?」
「居ないでしょ……。ジィジ、未確認生物とか好きだもんね」
「ロマンが有って良いじゃろ?」
その後、ジィジとあーだこーだと言い合いながら、時間を潰した。そして夜になると、皆んな帰って来たので戦果を聞いてみたが、全員何も無しらしい。困った。
ここには何年も前から白い宝玉が眠っているのが分かっていたので、色々な国の偉い方が捜索をしに来て居たらしいが、見つけられなかったらしい。
何度も捜索されているのにも関わらず、未だ見つかっていないという事は相当難しい場所に隠されているのだろうか?
「ここに有るのだが……。一体何処に有るのだろうか」
コルネリア様が肩を落とされて居た。それを兄様が慰めている。今までコルネリア様を慰める役は純菜であったが居なくなってしまった為、彼女の代わりに誰が落ち込むコルネリア様を慰めるのかと思って居たのだが、まさかの兄様の役割だったらしい。
「そうだな。悩んでも仕方がない。また明日頑張って探そう」
元気になったコルネリア様の一言でお開きになった。今夜はハイド&師匠ペアの見張りなので、それ以外は皆、部屋に帰った。




