我々の業界では、ご褒美です!
きっと私の顔は凄い事になっているだろう。
「遅いぞ!」
まさかコルネリア様がご来店された。もう、そんなに時間が経っていたのか?
「何をしてる?」
「銃弾を売ってくれなくて……」
「はぁ……」
コルネリア様は溜息を吐いた後に店員に言ってくれた
「売ってやってくれないか?」
店員に言ってくれたが……
「ウィークトゥスに売る物はありません」
きっぱり断わられた。逆に清々しいな
「ならば撃たせてやってくれ」
今度は師匠が自身の身分証を見せて言った。師匠の身分証を見た店員はみるみる青ざめ
「わ、分かりました! 準備します」
流石、ドクトゥス。凄い圧力だ
「ちゃっちゃと終わらして」
私には相変わらずの態度であったが……
狙いを定め、何発か撃つ。すると、ほぼ真ん中に当たる。流石、私!
「……嘘」
絶句する店員。ザマァ!
やっと銃弾を売ってもらえる事に!師匠達は会計が終わるのを外で待つらしく出ていった。なので此処には私と店員さんだけだ
「……お買い上げどうも」
目を合わさない店員さん。それは失礼とちゃいます?
店から出ようと後ろを振り返ると、何やらニヤニヤとしているニーちゃん達がいた。無視して出ようとすると、道を塞がれる。何がしたいんだ……
「君さ、ウィークトゥスだよね? 今から仕事? 俺らでよかったら相手するよ?」
これはアレか。私の事を売女扱いしてる感じだな。
面倒なので無視して横を通り過ぎようとすると、腕を掴まれた
「無視っなんて、良い度胸じゃん?」
「何、調子乗ってんの?」
チャラチャラした男達である。調子乗ってるのはお前達の方だろう! と言いたい所だが、ここは穏便に済ませる為、説得しよう
「離してください」
私は穏便に済まそうとしたが……
「生意気!」
殴られそうになったので、頭を掴み壁に叩きつけた。驚いた他の男も殴り掛かってきたので同様に熨してやる。地面に沈んだ男達を尻目に私は悠々と店を出る。
どいつもコイツも女を殴ろうとしやがって! 紳士になれよ
「あ、ありがとうございました!」
後ろで店員が青ざめ、深々とお辞儀をしていたがスルーした。外に出ると物言いたげな師匠とコルネリア様が居たが、こちらもスルーした。
「はぁ……もういい。あぁ、忘れる所だったコレに着替えろ」
コルネリア様から紙袋を渡された。中を見てみると
「うわ……可愛い服ですね……」
なんと私には到底似合いそうにないフリルの付いた可愛い服が入っていた
「ジャージなんて着てないで、女らしい格好をしろ」
腰に手を当てて怒るコルネリア様は、たいへん可愛らしい。喜んで着替えたい所だが、ジャージでないと売女呼ばわりされるのだ。今もされてるけど、もっと酷い
なので、断っておく
「これ、私の一張羅なので、この格好以外はしないんですよ」
「……」
めちゃくちゃ蔑んだ目をもらった。我々の業界では、ご褒美です! っと言いたい所だが、これはリアルでキツイので謝っておく。
「……はぁ。もういい」
「もういい」2回目である。
「行くぞ」
こうして、私達はこの街を出て森の中を進む……
襲い来るモンスターを倒し、売ったらおカネになる部分を剥ぎ取り、進む事数時間。日がだいぶ落ちてきた。
「今日は野宿だな」
野宿らしい。鬱陶しい親戚から逃れる為、野宿は何度かした事があるので特に心配はしていない。
「ならテント張りますか!」
少し開けた場所に自身の殊技からテントやキャンプ道具一式取り出して準備する。
「便利だな……」
後ろから声が聞こえてきたが、気にする事なく作業を進める。完成後、夕食の準備をする。夕食は私が作る事になった。大丈夫なのだろうか?
毒とかの心配はしないのか? 良いのか? っと聞くと師匠が毒味するから良いっと言われた。毒味ェ……
「なかなかイケるな」
スープを上品に食べるコルネリア様と師匠。育ちが違うと見せ付けられた気分でした……
夕食後、片付けをしていると、
「すまない。私達が料理出来ないばかりに、お前に任せてしまって……」
コルネリア様が近づいてきて、謝ってくれた。成る程、この2人は料理が出来ないのか……そんなんで、よく旅が出来たな
「大丈夫ですよ。料理するの好きですし。それより、片付けは私に任せて休まれてはどうです?」
テントを指差して言うと……
「いや……その……近くに泉が有ってだな……水浴びを……」
納得した。私に手伝って欲しいという事だろう。
「了解しました」
いつの間にか家臣になった気分である