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お迎え

 

 端末が震えたので端末を確認。メールが来ていた。それはギースからであった。珍しい

 内容は《初代王の銅像の前に来い。そこに隠し通路が有る》だった。初代王の銅像って何処に有るの?


「コルネリア様。ギースより初代王の銅像に隠し通路なる物があるそうです。そこに参りましょう」

「……あぁ。ギースは城に詳しいから隠し通路の在り方も知っているだろうしな。像の前には僕が案内する」

「了解です」


 ギースはもしかして助けに来てくれたのだろうか? いや、ギースは良いおじいちゃんに見えるが根は冷酷で他者を簡単に切り捨てられる冷たい男だ。私を助けに来たのでは無くコルネリア様を助けに来たのだろう。私は目的ではない筈

 そう考えると、自力で脱出して正解だったな。あのパーティーの戦闘員は殆どがドライなので、助けは期待しても無駄だった筈だ。悲しいパーティーだな


「ゲホッ」


 肺から何か込み上げて来る感覚。早く誰かと合流した方が良い。私が使い物にならなくなる前にコルネリア様だけでも託さねば。

 うん? 私? 私はいざとなったら兄を盾に逃げるから大丈夫




 私達が潜んで居た場所から初代王の銅像までは、近くだった為、直ぐに着いた。さて、どうやって隠し通路に入るかだ。

 ここでグズグズして居れば、捕まるし、隠し通路もバレるかもしれない。なので出来るだけ早く隠し通路とやらに入りたいのだが……


「ここに隠し通路が有る事を僕はしらなかった。だから、どうやって開けばいいか……」


 こういう時は影を通り、隠し通路に行けば良い! 別に何かをして通路を出現させる必要など無いのだ!

 私はコルネリア様と失神している兄を連れ影を通り、通路に出た。その通路は何処かに続く階段であった。その階段を降りた先は……


「水路?」


 コルネリア様の言う通り水路であった。ただし、地下水路である


「う〜ん……。ここは?」

「あ、兄様、おはよう。良い夢見れた?」


 兄様覚醒。


「お前、いつまで俺を連れて行くんだ。そろそろ解放しろ」


 兄様は自分の置かれている状況を確認するや否や私に解放を要求して来た。


「別に良いけど……。兄様は裏切り者扱いだから、戻れば捕まって拷問か殺処分か牢屋行きかじゃない?」

「……」


 そう、兄様は裏切り者扱いだ。ならば私の言った通り情状酌量の余地無く牢屋行きか殺処分かだろう。


「お前の所為で誤解された!」

「そうだね。だから、ここまで連れて逃げてあげたんだよ。私も悪かったと思ったから」

「おい、そろそろ先に進むぞ? ここで立ち止まれないだろ?」


 私達、兄弟が言い合いをしていると、震えが収まり元気になったコルネリア様が先を促して来た。すみません……。


 結局、兄も連れて地下水路を進む私達。

 地下水路には巨大な鼠のモンスターやスライムみたいなヘドロのモンスターがウヨウヨして居た。それを見つける度に兄様が悲鳴を上げるので、面倒くさかった。

 騒ぐ兄を窘めつつ、静かなコルネリア様を守り、先に進むと見知った声が聞こえて来た。それは


「流石じゃな」

「ギース⁉︎」


 ギースだった。まさかのお迎えである。助かった。正直、私の体はかなりキツイ状態にあった。体力は殆ど無く、最早気力のみで動いている状態だ


「ギース……助かりました。私、心身共に疲弊しており、いつ倒れるかという所でした」

「うむ、御苦労であった。お前が牢から脱出したと聞いてな。流石というべきか」

「いえ、そんな事は……。師匠達を置いて来てしまいましたし……。それよりギース? 何ですか、その格好は?」


 目の前に居るギースは驚きの格好をしていた。それは全身黒のタイツだったのだ。そりゃ、驚きである。


「何って……。お前さんが、前に『鎧は隠密には不向きですね』っと言っておったから、隠密に向いている服装をしたまでじゃ」

「……。いや、隠密に向いてるって……。全身タイツがですか?」


 バッキバキの腹筋、体のラインが丸見えの全身黒タイツ。側から見たら変態以外、何者でもない。これを綺麗なお姉ちゃんが着てたら鼻血ものだが、年老いたお爺が着ていたら犯罪感半端ない


「どこかの漫画で描いてあった」

「際ですか」


 もう何も言わないでおこう。


「……。ギース、師匠達はどうしますか? 一度、逃がそうと牢屋の前に行ったのですが六花最強(ベロニカ)が居り、救出は断念しました」

「リンドヴァルとハイドなら出したぞ? この先に匿って来た。儂はお前さん達を探しに行く所だったんじゃ」


 師匠達助けてたんだ。流石、ギース。まさか、ギースはベロニカと戦ったのか?


「ベロニカは?」

「あぁ……。退けたぞ。まぁ、こちらも痛手を負ったがな」


 ギースの話を聞くにベロニカとギースが交戦して居る隙に師匠とハイドが脱出。3対1で少々部が悪くなったベロニカが引いたらしい。

 3対1になったにもかかわらず、こちらの3名に傷を負わせたらしいベロニカ。流石、最強の称号は伊達ではない。

 その後、この通路に逃げ込み、師匠とハイドは身を潜め、コルネリア様奪還に向かう途中に私達と遭遇したという訳だ


「珍しいですね。ギースが師匠達を助けるなんて」


 それもそのはず。ギースや師匠、ハイドは味方を見捨てる事に躊躇などしない。なので今回、ギースがその2人を見捨てず助けるとは、天変地異の前触れか?


「黒が相手の手に全部揃った状態じゃったからな。どれか1つでも取り返さねばと思ったのよ。お前は見張りが多そうで厄介そうだから、他を取り返したまで」


 つまり、ハナっから私は切り捨てるつもりであったと……。良かった! 自分で脱出していて!


「すまない、ギース。私が不甲斐ないばかりに……」

「いえ、貴女様は悪く有りません。私達が何も出来なかったばかりに随分と怖い思いをされた事でしょう。早くお戻りになり、ゆっくりお休み下さいませ」


 ギースはコルネリア様を連れてこの場を去ろうとする。私も、空気を読んで静かにしていた兄を引きずり後に続く。


「ゲホッ、ゴホッ」


 またも手に血が付いた。限界が近いな……

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