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ヤバイ、ヤバイ!

 

 扉を開けて部屋に入ると、直ぐに銃声が聞こえた。私の真横を銃弾が掠める。あぶねー


「随分な挨拶だね、純菜」


 中には人形となったソフィア様と、可哀想な程に震えて怯えているコルネリア様、そしてコチラに銃を向ける純菜と、いつぞやに見た花弦No.5とNo.9が居た。また混戦確定か……。

 今、体調優れないんだけどな


「……お前が来るとは思わなかった。てっきり、カーディナリスかベルナール辺りが来ると」

「私でしたー! ザマーミロ! 残念でした! 師匠とハイドのあんちきしょーは、まだ牢獄だよ。六花最強(ベロニカ)が見張ってたから見捨てて来た」


 だって師匠より強い六花最強(ベロニカ)に勝てる訳ないじゃん。いや、卑怯な手を使えば勝てるかもしれないけど、今の私はボロボロなのでベロニカと衝突は避けたい


「先程、お前が逃げ出したと通達があった。生かして捕らえる様にと」

「お前、凄いなぁ。どうやって、あの薬を退けた?」


 口を噤む純菜に変わり、花弦2人が話を進める。


「大人しく捕まる気は無いよ?」


 存在を忘れかけていた兄をその辺に転がし、私は戦闘態勢を取る。手に持つのは2丁の銃だ。いつも持っている刀は今回使うつもりはない。何故なら、私の体が壊れかけだからだ。


 本来、黒い宝玉は男が持てば何ともならないが、女が持つと、理性を飛ばしたり、体を壊したりと悪い影響が出る。

 私の殊技【闇を操る】能力のおかげで、黒い宝玉を御せている為、普段の私ならば、その影響を受ける事は無いのだが、師匠やカミルの【殊技殺し】を受けると闇の制御が曖昧になり、影響を受ける事がある。

 基本、師匠の殊技殺しは魔力を体の外に出させない様にする能力なので、内部に有る宝玉は師匠の殊技の影響を受けず、私に負担を強いる事は無い。

 しかし、今回対峙したカミルの殊技殺しは相手の魔力を根本から抑える能力で有ると推測する。なので体内の魔力が塞き止められ、内部に有る宝玉を御しきれなくなり、私の体に悪い影響が出てきた。


 最初、拷問をくらうまでは気合いで黒い宝玉を制御していたので問題はなかったのだが、途中から余裕が無くなり制御が甘くなってしまったのだ


「ゲホ、ゲホ……。あー、つらぁ」


 咳が出て、体のあちこちが痛い。この体が痛いのは、もしかしたら拷問の影響かも知れないが、内部が痛んでいるので宝玉の所為だと思いたい


「顔色が悪いな。相当、酷くされた様だ」

「まぁね。六花の奴ら、加減というモノを知らないから困るね。師匠然り」


 軽口を叩きながら、勝算を計算する。今の私の体で近距離での戦闘は長く続かない。ならば、あまり動かず体力を消費せず、尚且つ体に負担の少ない戦い方をして、花弦3人を相手取らないといけない。

 それに、グズグズしていれば応援が来てしまうかもしれない。以上の事から今回は勝つのはキツイだろうからコルネリア様を奪還して直ぐにズラかる。それが私の勝利としよう


「銃を構えて、純菜の真似事か?」


 No.9の男がニヒルな笑みを浮かべ聞いて来る。私はそれには無言で返す。別に純菜の真似事ではない。純菜の銃は拳銃ではなくライフルだ。そもそも構え方が全然違う。目は節穴か!


「片目でどれだけやれるか見ものだな!」


 そう言うと同時にNo.5とNo.9は動き出した。私も迷わず引き金を引き、応戦。


「ゲホッ! あぁ、もう!」


 結局、銃で戦おうが近接戦闘になった為、私の蝕まれた体は悲鳴をあげる。喉が焼ける様に熱くなり、変な咳が出る。

 片方の銃で相手の動きを牽制し相手の接近を防ぎながら、もう片方の銃で奥から攻撃して来る純菜を攻撃。自画自賛になるが、この体で3人を抑え込めている私は、やはり凄いのでは?

というか、純菜が戦ってる所を始めて見た。長く共に旅をしていた筈なのになぁ。


「ゲホッ! ゲホッ! コホッ! えっ? わぁお……」


 咳で集中力が外れながら、何とか応戦を続けていた私。特に酷い咳が出て来たので、物陰に身を潜め咳が治るのを待った。

 目は相手の動きを捉えたまま、左手の甲を口に当て咳をすると、手の甲に血がベッタリ付いた。どうやら血を吐いた様だ。

 これはマズイ。相当、キている。血を吐き出すなんて内臓がヤバイのかもしれない。


「チッ!」


 こうなった以上、作戦変更。銃を仕舞い、刀を出す。そして近くに腰を抜かし、へたり込んで居る兄の首根っこを掴み、自分の持ち得る最高の速度でNo.5に接近。右腕を難なく切断した。

 このご時世、腕くらい直ぐに治るし、引っ付くし大丈夫だろう。そう勝手に解釈し相手が怯んでいるうちに純菜の元まで一気に駆け抜けた。

 銃の得意な純菜は近接戦闘が大の苦手。なので懐に入ってしまえばコチラのモノ。私は刀を一瞬で影に戻し、空いた拳で純菜の腹に強烈な一撃を叩き込んだ。


「すまん純菜!」


 崩れ落ちる純菜を視界の片隅で捉え、私はコルネリア様の元に。震えて居るコルネリア様を抱き上げると影に入り高速でこの場を後にした。

 物陰から出てコルネリア様奪還まで恐らく5秒もかからなかったと思う。超高速だ。私の考えでは、だが。


 影に入り移動したり、普通に廊下を走ってみたりしながら、あの3人からかなり遠ざかった。追っては無い。

 本当はソフィア様も助けたかったのだが、生憎と手が塞がっており、2人しか連れて行けなかったのだ。別に兄様は置いて来ても良かったのだが、一応は兄弟なので助けてやった。感謝しろよな!


「コルネリア様。大丈夫ですか?」


 誰も居ない安全そうな場所にて、一時身を潜める。そしてコルネリア様の安否を確認。もしかしたら安息(レクイエム)を打たれて、【お人形】と化してるかもしれない


「僕は大丈夫だ。すまない」


 打たれてはいなかった様だ。しかし、まだ震えが止まらない。相当、怖い思いをしたのだろう。まだ幼いのに、なんて仕打ちだ!


「ゲホッ、ゲホッ。あ、ヤバッ」


 私の咳は止まらず、むしろ悪化の一歩を辿っている。血が止まらない。コルネリア様もヤバイが私もヤバイ。


 そして、兄さんもヤバイ。首根っこを掴んでいた所為か兄さんは窒息していたらしく白目を剥いている。戻って来い兄さん!

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