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天使と悪魔

 

「殊技は影を使う能力ですよ。それ以外持ってないです。宝玉を持っていられるのは……気合いです」


 気合いとか、かなり適当な答えだ。でも、それ以外、言える事はない。頼むから、「気合い」で納得してくれ


「いや、気合いでは無理だから」

「気合いです」

「……」

「人間、死ぬ気でやれば何でも出来るんですよ」


 物凄く適当だ。死ぬ気でやっても出来ない事なんて多々有る。例えば、修行で師匠から一本取るとか


「そうか……。ならば仕方ないね」


 王様は私から離れてくれた。納得してくれたのか⁉︎

 そんな回答で納得してくれる筈もなく、無慈悲にも後ろの拷問器具の下に向かい、何やら物色しだす王様。王自ら拷問ですか……。


「もう一度、聞くよ? 君の殊技は?」


 王様は手にダーツの矢を持っている。次の返答次第で、それがコチラに飛んでくる事となるだろう。怖っ⁉︎


「……。影です」


 ちょっと迷ったが、やはりコルネリア様は裏切れない。私は清く正しくがモットーなのだ!


「そうか……」


 予想通り、ダーツの矢を投げて来た王様!


「ゔあ゛ぁあああああ⁉︎」


 まさかの左目に命中⁉︎ 言い様の無い猛烈な痛みが私を襲う。まさか、そこ狙う? 唯一、視力有る方だぞ?

 のたうち回りたいが、上から吊るされた状態なので、せいぜい蹲る事しか出来ない。

 目から矢が抜け、私の前に落ちた。


「さあ、次はどうしようか?」


 気が遠くなりそうだが、ここで私は師匠の教えを思い出す。それは 2度目に久遠と対峙した後に教わった教え


『拷問を受けた時は、ひたすら別の事を考えろ』


 である。ひたすら別の事、考えるって……。この猛烈な痛みの中、出来る自信が無いが、やらなきゃ情報ゲロりそうなので、死ぬ気でやる。


 別の事、別の事……


 兄さんが1匹、兄さんが2匹、兄さんが3匹……etc


 あ、これ行けるかもしれない。兄さん数えてたら、現実逃避できた。よし、この調子で数えよう。

 どこか遠くで悲鳴が聞こえてきたり、絶叫が聞こえて来るが、問題無い! 全部、幻だ! 幻聴だ!





 兄さんが12002匹……。うん? どうした数え終えた兄さんズ。不自然な並び方しているな。

 え? 上から見ろ? うわぁ、数え終えた兄さん達がキッチリ整列して兄さんの地上絵が出来上がっている!

 兄さんが兄さんで兄さんの地上絵描いてる! 凄い通り越して、なんか気持ち悪い!


 この辺りでハッと目が覚めた。私寝てた? 拷問中に寝れるとか私、凄いな。というか、物凄い悪夢見た気がする


 目を開けると (右目のみ)真っ暗だった。当然だ。右目に視力は無いのだから。

 体はそこら中が痛み、碌に動かせそうにない。手はまだ縛られたままの様で、身動きすら取れない

 左目がかなり痛い。激痛だ。体も痛くて、とても動けそうにない。でも、動かないと……。いや、でもなぁー


 天使 《そうよ! 早く此処から脱出して師匠達と合流しないと!》

 悪魔 《無理だよ。痛くて動けないんだ。待っていれば、きっと誰かが助けに来てくれるよ》

 天使 《そんな訳ない! 皆んな捕まっているのよ! 誰が助けに来てくれるというの! 此処は自分で何とかするしかないわ!》

 悪魔 《痛くてそれどころじゃないんだよ。もう、いいじゃないか。この辺で終わりにしよう。良く頑張っただろう?》

 天使 《そんな事無いわ! まだまだ、しなければならない事が沢山ある! まだ、諦めてはダメよ!》


 頭の中で天使と悪魔が口論している。どちらもデフォルメされた兄さんで正直、気持ち悪い。天使は兄さんの裏声で悪魔は普通の声だ。これは、さっき兄さんを数えて居た弊害が出たな

 まぁ、天使と悪魔は置いておいて……。さて、此処はどちらの意見に従おうか?


 現状、左目が猛烈に痛いし、体も軋んで、真面に動けない。このまま、悪魔の意見に従いたい気もするが、天使の言い分も分かる。


 天使 《貴女の夢は親戚を見返す事! こんな所で諦めていいの⁉︎》


「いや、ダメだ! 兄さんをギャフンと言わせないと! それに、私は◯ーチ姫に成りたいんじゃないんだ! 配管工に成りたいんだ!」


 天使 《そうよ! その域よ!》

 悪魔 《ちぇっ!》


 そうと決まれば行動あるのみ!

 辺りの気配を探ってみたが幸いにも誰も居ない様子だ。これはチャンス!

 私は殊技が使えるか否かを確認。ちゃんと使える事を確認し、殊技を使い鎖を千切り、牢屋から脱出! 急いで此処から離れる

 逃げる途中、全方から人が数名来る気配と音がしたので、慌てて闇の中にダイブ! 逃げずにそこに留まり、様子を伺う事に


「なっ⁉︎ グリド様! 大変です! 此処に居た女が居りません!」

「なんですと⁉︎」


 慌てて先程まで私が居た牢屋に駆け寄る数名。そして騒ぎ出す


「何故⁉︎ あれだけされておいて、【人形】にならないなんて!」


 この声、何処かで聞いた事、有る様な……。それにグリドって聞き覚えが……。あぁ! 思い出した! 私の右目の視力奪ってくれたヤツだ!


「完璧に人形になって居たなら、この右目の視力、返して差し上げようと思ったのに……」


 今、右目って言ったな。という事は、此処でコイツを倒せば視力回復する?

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