危ない事はしてないよ?
「深ぁああ⁉︎ 落ちる! 死ぬ! このままじゃ、潰れたトマトになる!」
かなりの勢いで落ちて行く我。このまま、地面に、こんにちはしたら死ぬ! 間違えなく死ぬ!
「魔法? いや、此処は殊技で!」
私は闇を羽の様にして落下の勢いを殺す。すると無事に地面に到着した。
「これ、空も飛べるんじゃね?」
闇の羽をパタパタすると、普通に空飛べた。私、凄くね?
『苦しい、苦しい、苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい』
「うわぁ、何かヤバイの居るー」
羽ばたいて、落ちて来た場所を戻ろうと上を見上げると、何処からか声が聞こえて来た。なので、声のする方を向けば、かなり凄いのが居た。
先程見た観覧車の妖精を捏ねて固めた様な塊の中心に、観覧車のど真ん中に付いていた顔がドドんと有る、如何にもヤバイ感じのモンスターが居た。
しかも、かなりの大きさで私が見上げないと、その全貌を見る事が出来ないくらいデカイ。
『苦しい、助けて!』
「話せるのね」
話せると言っても、さっきから『苦しい』か『助けて』しか言っていない。これは、人体実験を受けた者の成れの果てか?
「解放してやった方が良いかもね」
ゆっくりと歩み寄ってくるモンスター。歩き方が異様に気持ち悪い
「異臭もするな……。さっさと終わらせよう」
終わらせて、先程の男を追わねば! 私は殊技を使い、目の前のモンスターをプレスし圧殺しようとしたが……。
「嘘⁉︎」
モンスターに触れた瞬間『プシュー』っと気の抜けた音を立てて殊技が消えてしまった。
私は呆気に取られ、反応が少し遅れてしまい、一撃大きいのを貰ってしまう。
「いったぁ……」
私の胸辺りを浅く切り裂いたモンスターは、嬉しいのか笑い声を上げていた。
しかし、面倒な相手である。かなりの巨体であるので、斬り合いになると長期戦を覚悟しなければならない。なので、直ぐにケリをつけられる殊技で終わらせようとしたのだが効かないとなると、物理onlyで戦わなければならない事になる。
魔法を使えば良いと思うのだが、殊技が効かないのに魔法が効くとは思えない。なので、物理しか無い
私は闇で羽を作り空中に羽ばたく。敵の手が届かぬ距離まで飛翔したら、相手を見下ろし、策を練る事に。
こういう時、爆弾とか有れば直ぐにカタが付きそうなんだけど……。こう内側から爆破! 的な……。いや、爆弾を作ろうと思えば作れるな!
私は闇から、キャンピンに使おうと思って居たガソリンを取り出す。それに色々細工をして簡易的な爆弾の完成。まぁ、簡易的と言っても、かなりの威力が期待できるのだが。
「大口開けといてね」
真ん中の顔は大きな口を上げて私を見上げて居る。その口の中に火を着火した簡易爆弾を放り投げる。すると……
「うぇ……。返り血被った」
体内で爆発した爆弾により、モンスターは破裂。辺りに肉片と血が飛び散った。その血を諸に被った私。かなり生臭い
「終わり」
真ん中に有った顔だけが爆破を免れ残ったが、私の闇でトドメを刺した。物凄い断末魔をあげて、地に沈むモンスター。
勝った!
さて、戦いは終わったので落ちて来た穴から、つるっ禿げのマッドサイエンティストが居た場所まで戻る。そこには、当たり前だがマッドサイエンティストは居なかった。居たのはチェーンソーを持った観覧車の妖精だけ
「まだ居たの⁉︎」
戦いは続くよ何処迄も……
「やっと地上だ」
久しぶりの地上であった。あの後、観覧車の妖精を倒したら、研究所内を散策した。
研究所内で今回戦ったモンスターの資料と白い宝具を黒く染める実験のデータを入手した。
データが入っていたと思われるパソコンは全て破壊されていたが、何とか2つのデータだけは引き出す事が出来たのだった。他は無理そうなので諦めた。
暫く復元したデータを見ていたが、流石にそろそろ帰らないとマズイと思い地上に舞い戻ったのである
地上に戻ると、すっかり夜も更けて真上にお月様が見える。日付を確認すると、あら不思議。師匠達と別れて2日目の夜であった。
流石に怒られそうだ。なんて言い訳しようかなぁ
私は言い訳を考えながら帰路に着くが……
「迷った……」
遭難した。
道無き道をひたすら歩いていると、普通のモンスターに遭遇したり、人攫いがいたり、山賊が居たりしたが、全てスルーして街に出る道を探す
「やっと山から脱出!」
山からの脱出に成功したが、此処が何処だか分からない。今度は迷子である
空を見上げると、もう太陽は真上辺りにいた。どれだけ彷徨っていたのか……。そして、どれだけ彷徨わなければならないのか?
「兎に角、進むか……」
人が居そうな場所に向かい、人に道を聞く。すると、此処がキャンピンが有るビーチから真逆の位置に有る場所である事が分かった。
場所が分かれば、コチラのもの! 気持ち悪いモンスターの返り血と自身の血で汚れている私にドン引きしている、道を教えてくれた親切な人にお礼を言い、この場を後にする。後にしないと通報されそうだ
もう一度山に入り、方位磁針を頼りにビーチを目指す。
途中、日が沈んだ頃に唐突に閃いた。
「飛んで帰れば早いんじゃね?」
思いだったが吉日。闇を羽にして、いざ空のお散歩に!
僅か数十分でビーチまで辿り着いた。そこからキャンピンまで歩いて帰る。
「ただいまー」
「お帰り、遅かったな……。っておわぁ⁉︎ お前どうした⁉︎ 怪我したのか?」
扉を開けるとリビングに居た、メガモことアスターが驚きの声を上げた。ついでにリビングのソファーに座っていたハイドも珍しく目を真ん丸にしている
「ちょっとね。後は返り血さ」
「返り血って……。頭から血を被る様な何かをお前はしてたのか?」
私は気持ち悪いモンスターの血を頭から被り、全身血だらけになっている。今はもう乾いて、カピカピになっているが、生臭いことこの上ない
「ちょっとハッスルしてたんだよ。先にお風呂入って良い?」
お風呂に向かおうとすると、奥から残りのメンバーが現れ、微妙な表情を浮かべられた
「取り敢えず、お風呂行って来ますー」
何か言いたげな表情の師匠を見て、私はお風呂に逃げ込んだ。
シャワーを浴びながら、私は必死に格闘する。何故なら、
血が落ちない……




