進化版妖精!
観覧車の妖精に阻まれながら、やっとこさ地下3階に到着。
やっとだ〜、と感激していると、有る事に気が付いた。
「しまった……。私、影通れば普通に脱出出来たじゃないか!」
扉が有ろうと無かろうと私は影を通れば行き来ができる。それをすっかり忘れていた。わざわざ、脱出方法を探る必要は無かったのだ
「まぁ、暇だしいっか」
さっき、コルネリア様から『暫く留守にする。どこかで遊んでおいてくれ』っとメールが来ていたのだ。また、私は置いてけぼりにされてしまった
それより、最近、独り言が多くなったな……。
心の中で溜息を吐きながら、先に進む。
この階層は今までの階層と違い、手術室が多く有る。そして、何処からともなくキュイーンという音が聞こえて来る。なんだが、とっても嫌な予感がする
「ほらなぁ……」
嫌な予感的中。前方から、チェーンソーを持った進化版の妖精が現れた。しかも、1匹ではない
「一、二、三、四、五、五体か……多いな」
チェーンソーを持った進化版妖精は私を見つけるや否や、我れ先にと走って来た。これはホラーである
逃げても良かったが、逃げた先に別の個体が居ては厄介なので、此処で仕留める事に。
利き目が使えず、相手との距離を図り損ねる為、苦戦はしたが、何とか倒す事に成功した。
『ブラボー!! なかなかの腕前だ! 流石は此処まで来た子だ。今まで此処まで来れた者は誰一人として居ないのだよ!』
またもスピーカーから声が聞こえて来た。
『さぁ、先に進みたまえ! その先に有る部屋にて私は君を待つ!』
そして何も聞こえなくなった。先程のテンションの高い男はこの先に居るのだろう。私は辺りを警戒しながら進んだ。
銃を構えて後ろを警戒しつつ先に進む。何処からかチェーンソーの音が聞こえて来るので、まだ先程の妖精が潜んで居るのだろう。
少し進んだ所に手術中のランプが付いた部屋を発見。扉は閉まって居るらしい。私が、その手術室の近くに寄ると……。
「うわぁああああ⁉︎」
急にドアが開き、身長が私の膝辺りくらいまでの小さな妖精が雪崩の様に出てきた。数なんて数えきれないほどの多さ。その妖精全てが私に向かって走って来る。
「うわぁああああ⁉︎」
私は慌てて踵を返して逃げる。流石にあの数は気持ち悪くて逃げたくなる。しかし、この地下3階は狭かった。暫く走ると逃げ場がなくなり、追い詰められる。なので打って出る事に。私は炎系魔法の火炎放射を放ち、一気に焼き払った。
「思ったより呆気なかったな……」
気を取直して先に……
「うわぁああああ⁉︎」
今度はチェーンソー持った進化版妖精が追いかけてきた……
やっとこさ、全て倒し終えて、目的の場所まで付いた。恐らく、此処が先程の男の待っている部屋だろう。
私は銃を構えて部屋に入ると、そこには白衣を来た、つるっ禿げの男が居た。
「ようこそ! 此処は私の研究室! 人が来たのは君が初めてさ!」
男は大袈裟な動きで言う
「まぁ、見ての通り、人体実験場なのだよ。お客様第一号君。そうだ! 初のお客様だ。名前を聞いておこうか!」
私は目の前の男の話が全く耳に入って来ない。何故なら、男の後ろに【白い宝具】が有ったからだ。私はそれに気を取られていた
「何故、此処にソレが……」
コルネリア様が、この国には宝具の反応は1つだけだと言っていた。それはこの国の王子が有している宝具の筈だ。ならば、目の前の白い宝具は一体?
「あぁ、コレを知っているのかね。ふむ……。成る程ね」
その白い宝具の周りにドス黒いオーラが漂っていた。黒い方なら、いざ知らず、白い方に黒いオーラが出ているのは可笑しい。
「黒い霧が気になるのかい? 実は此処で白を黒く染める実験をしていたのだよ。白を黒く染める事が出来れば、今足りない黒を補う事が出来るだろう?」
今、足りない黒……。それは師匠とハイドの持っている黒い宝具の事だろうか? だとすれば、この男は
「王の手先か」
我らの国の国王【ディーデリヒ=オドントグロッサム=ショーバーレヒナー】の手先だろう。
「成る程! 君はコルネリア殿下の下僕か! ならば、コレを知ってて当然だ。そうだとも! 私は王の忠実なる下僕。王の命により、各地で白を黒にする方法を探る者だ! 名前は追々で。しかし、呼び名が無いとなぁ……。ならば【マッドサイエンティスト】と呼んでくれ!」
【マッドサイエンティスト】って、そのまんまだ。長いので、
「長いから、つるっ禿げで」
「……」
略してやった。すると向こうは無言になった
「まぁ、呼び名などどうでも良い。それより、この黒い霧の製法を知りたくないか?」
「結構です」
絶対アレだ。人々の絶望がどうとか言うヤツだろう。人体実験を行い、恐怖と絶望を味わせ、そのエネルギーを白い宝具に入れるかなんかだろう。
私の推理をつるっ禿げに言うと
「素晴らしい! その通りだよ! まぁ、人体実験は白い宝具に適合するか否かの実験だったのだけれど……。この宝具を人体に入れると発狂してしまうのでね」
なんて男だ。ホント、マッドサイエンティスト
「しかし、此処ももう破棄しようと思っていてね。しかし、此処に居るモンスター達の処理に困っていたんだ。そんな所に丁度良く君が来てくれてね。助かったよ! じゃ、後は宜しくね」
話すだけ話して、男は私に背を向けた。そして、白い宝具の入った瓶を持って奥に行こうとする
「勝手な事を! 逃すか!」
「あぁ、忘れてた! この下には、とっておきの奴が居てね。是非、其奴の相手をしてやってくれ」
私が追いかけようと踏み出した時、つるっ禿げは何かのボタンを押した。すると、私の足元が開き、下に通じる穴が開く。
「そんなベタな……」
重力に従い、私の体は下に落ちた




