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視力は戻らず

 

 海中を進む我々。

 陸路を進むには危険と判断し、海を進む事に。しかし海面を進んでいれば、追っ手に見つかる可能性も有る為、海中を進む事に


「【ヴェドルフ】はもう少しで抜けられるぞ」


 クレマチスのジィジが言う。私は今、助手席に座り航行の手伝いをしているのだ


「私、ちょっとアスターの所行ってくる」


 先の戦いで負った傷は大分癒えたのだが、まだ完全ではない為、定期的にアスターに診てもらわなければならないのだ


「おう! 行ってこい」


 私は助手席を後にし、アスターの部屋に向かう。


「ああ、丁度良かった。今から呼びに行こうと思ってた所だったんだ」

「タイミングバッチリだね」


 早速、診てもらう事に。


 肩を撃ち抜かれた傷とトラバサミに挟まれた傷は既に完治している。脇腹の傷はまだ痛むが、包帯も要らない程になっていた。問題は……


「右目は回復ならずか……」


 そう、右目の視力が回復しないのだ。これにより、戦闘は勿論の事、日常生活にも支障が出ている。早く何とかしないと


「【グリド】の殊技は時間が経てば戻って来る筈なんだけど……。これは、治る気配がない。魔法で視力を戻そうにも何か阻害しているのか、魔法が掛からない。悪いけどお手上げだ」


 利き目を失ったのは痛いが、まぁ、左目が回復しただけでも良しとしよう。


「師匠に頼んで、今までと同じくらいに戦える様に特訓してもらうよ」


 これから地獄の日々が始まりそうだ……




 アスターの部屋から出て、ジィジの助手に戻ろうかと思ったが、師匠に一言お願いしてからにしようと思い、師匠の部屋をノックする


「どうした?」


 かなりラフな格好の師匠が部屋から出てきた。かなりラフだ。大事な事なので2回言った


「あぁ。私の視力戻んないらしいんで、この目に慣れる為に今度、組手してください」


 私が頼むと、師匠は頷いてくれた。そして頭を撫でられる。最近、頭を撫でられる事が多いのだが、もしかして子供扱いしてます? 私と師匠はそこまで歳変わらないんだけど……。私が20歳で師匠は28歳だ。

 因みにコルネリア様は13歳でアスターは24歳、純菜も24歳でハイドが26歳、クレマチスのジィジは61歳でギースは63歳だ。

 平均年齢を最後の2人が上げているのだ


「お前の様に向上心が高い者は好ましく思う」


 私の頭を撫でなが言う師匠。これにはガチで照れる。


「ありがとうございます」


 俯いて照れる私だが……。ここで気が付いた。師匠は向上心が有る者が好ましいと言った。そういえば向上心が無いパーティーメンバーが1人居たな。いや、向上心が有る分には有るのだが、実行しようとしないので無いのと同じ扱いをされているのかもしれない

 その人物とは【純菜】だ。強くなりたいと言っているが、修行している所を見た事がない。影でこっそりとしているのかもしれないが、見た事がないので何とも言えない


「師匠……」

「なんだ?」

「いえ……何でもないです」


 もしかして、師匠が純菜に当たりがキツイのは、それが原因か? あの事件以来、師匠とハイドからの当たりが更にキツくなった純菜。かなり肩身が狭そうだ。可哀想に……


「では、私は助手席に戻りますね」

「あぁ。程々にして休め」

「はい。分かってます」


 やけに優しい師匠に怯えながら、助手席に戻る途中で純菜に会った。私は純菜に話掛けたが、なんだか元気が無い。話もそこそこに、純菜は、そそくさと部屋に戻ってしまった。うーん……


 取り敢えず、ジィジに相談してみたが


「純菜、大変そうだね」

「ワシも大変じゃよ。最近、腰痛酷くてな」

「ジィジの話はいいから」


 何の解決にもならなかった。これはアスターらへんに話した方が良さそうだな。

 その後、くだらない世間話で盛り上がり、純菜の事は忘れさっていた。すまん、純菜


「おおっと! 敵さんの潜水艦だ! 一時止まってやり過ごすぞ」


 ジィジと話しながら進んでいると、センサーに艦が引っかかった。敵艦かどうかは分からないが、水中でな戦うなんて無謀もいい所なので、岩陰にキャンピンを留めて、ジィジの殊技【光化学迷彩】で隠れる


「こっちには武器と言える物が殆ど無い。見つかったら、お前さんが戦えよ」

「無理だろ! 相手は潜水艦だよ! 鉄の塊! 生身の人間が鉄の塊に勝てると思う? それも海底で」

「お前さん、この前、海蛇と戦っただろ! 水中でも戦えるの知っとるんだからな!」


 ジィジと言い合いをしていると、艦は過ぎてくれたらしく、警報が鳴り止んだ。やはりジィジの殊技は便利だな


「さて! 此処を抜けらた【シュトバッハ】だ! 彼処には娯楽が沢山あるからな! 楽しみじゃ」

「娯楽?」

「そう、彼処は旅人の憩いの場でもある! 是非、堪能したい!」


 こうして、私達は危険だった【ヴェドルフ】を抜けて【シュトバッハ】に向かうのであった

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