1対4
「本当にメインコンピュータ室だった」
疑心暗鬼で来た5階の端の部屋は兄の言った通りメインコンピュータ室だった
私は中に居た監視員にお眠りに頂いて、コンピュータをイジる。
「コルネリア様は部屋か……」
枷は付いてるけど豪華な感じの部屋に閉じ込められて監視されている様だ。一方、純菜は独房。
「師匠とハイドは行方不明でギースは……兵を蹴散らしてるー。つよーい」
その辺の兵を蹴散らして進んで居た。ギースは鎧だし、隠密行動無理そうだから仕方ないのかもしれない
コンピュータを触り砦の全体図を映す。そしてコルネリア様の居場所を確認。
「地図は端末に入れとくか……」
全体図は自前の端末に入れて、一応パソコンにはウィルスを仕込んでおく。
「よし!」
あまり長居するのは危険な為、場所を移動した方が良い。用事を済ませると直ぐにメイン室から出てコルネリア様が捕まっている豪華な部屋に向かう。豪華な部屋は地図によると10階な為、ここから更に5階上がらなければならない
「階段はーっと」
地図を頼りに階段を探す。エレベーターは有るのだが、前回の様に開いて敵さんとご対面は嫌なので階段を選んだ
誰にも見つからない様に移動し、目的の階段の有る場所に出る
「うわぁ……階段多っ!」
階段の有る場所まで来れたのだが……階段が多過ぎてどれを登って良いか分からない。
広い空間に工場の様に鉄骨で出来た階段が数多く存在する謎の空間だ
「下も有るな」
ここの階段は1階から10階までを繋ぐ階段の様だ。そして1階には水が張ってあった。
この階段の有る空間は何かの運搬用の通路か非常様の通路なのかもしれない
取り敢えず、登ろう
歩けばカツカツと音の鳴る階段を、出来るだけ音を立てない様に気を付けながら先に進む。
少し登ると下の方が騒がしくなって来たので、隠れて様子を見る事に
「また、アイツは僕を殴ったんだぞ! それに縛って放置したんだ! 許せるか!」
「アイツには痛い目見てもらわないとな」
兄様と次期当主様だった。遠路はるばるご苦労さまです
「しかし……聞く所、かなり手強い様子ですが、我らだけで倒せるので?」
部下その1が兄様に聞く。兄は当然だとばかりに鼻を鳴らし、
「僕が弱く見えるか?」
と問うた。当然だが、弱く見えるとも! というか弱いもの!
「いえ、しかし……」
口籠る部下達。可哀想に。ふと、視線を兄の横に移すと、いつぞやの師匠に拷問を受けたオネエが居た。あの時、師匠の手によって何処かに捨てられて居たが無事に生きて居たらしい。良かったな
「ヤッホー! 兄様元気? あ、これさっきも聞いたな」
上階から下階に居る兄様を見下ろし、話かける。すると驚いた顔の兄様+α
「……ここで有ったが100年目だ! 降りてこい! ここでケリを付けてやる!」
「そうだ! お前の手を暴いてやる!」
兄様達が騒いで居るのを眺めて居ると、急に悪寒がした。私はほぼ反射でその場を跳びのき、別の階段に飛び移る。
「うわぁ……溶けてる」
別の階段から元居た場所を眺めると不思議な事に階段の手すり部等が溶けて居た。
「避けられるなんて……残念ですー。感が良いのですねぇ」
元居た場所の少し離れた場所に髪がツインドリルのゴリゴリのゴスロリ姿の女が立って居た。腕にはクマのぬいぐるみを持っている。
「私の【見たモノを溶かす】殊技を避けるなんてぇ。さすがリンドヴァル様のお弟子さんですぅ。でもー、どれだけ持ちますかねぇ?」
妙に猫なで声の女である。
「可愛いクマですね」
取り敢えず褒めておく。
「可愛いのはクマだけですぅ? 私も可愛いでしょう?」
「そーですね」
こういうタイプは否定するとキレられる恐れがあるので否定しない。というより、若干ぶりっ子入っているが見た目は可愛らしいので否定する理由は無い
「嬉しいですぅ! あ、申し遅れました。私は花弦No.15【レティーシャ】と申します。以後お見知り置きを」
「あ、ご丁寧にどうも」
スカートをつまみお辞儀する姿はなかなか様になっている。私も名乗り返そうと思った瞬間、背後から猛烈な気配を感じ再び別の階段に飛び移った
その直後、轟音が辺りに轟いた
「何奴!」
咄嗟に刀を抜き、急に攻撃して来た相手を見る。
「あら、残念ですぅ。折角、私が気を引いてあげたのに、仕留め損ねるなんて」
「うるせー」
それはゴリゴリのマッチョな男だった。髪は短髪で、手には金棒を持っている、上半身は何も着ていない男だ。
「身軽だわね!」
男を観察している、またも背後から気配がした為、慌てて回避。4本の鞭が同時に襲う
「チッ⁉︎」
別の階段に飛び移ると、真横が溶けた。さっきのNo.15だろう。次の攻撃を回避すべく飛び退いた先には先程の金棒の男が居た。金棒を振り下ろす寸前で横に跳びのき避けるが、その先には4本の鞭が!
1対3かよ……狡いだろ!
無限ループに嫌気が指し、誰も居なさそうな上階の階段に逃げるが……
「遅い!」
「違ったー。1対4だったー」
剣を持った強そうな奴が待ち構えて居た。避けるに避けれない状態だった為、已む無く刀で受け止める。そして押し合いする事なく、相手の力を利用して後方に回転しながら下がった。
「報告通り身軽で動きが早い。厄介な相手だ」
目の前の男が言う。
「久遠様と対等に戦われたのでしょう? ならば、我が兄とほぼ同格でしょうし……。手加減無用では?」
「そうだな、ベルナール」
「ベルナール⁉︎」
目の前の男が少し離れた場所に居る4本の鞭を持つ赤髪の女性をベルナールと言った。という事はベルナール兄弟の長女、【グロキシニア=ベルナール】という事だ
弟曰く、ドSの女王様気質で拷問が大好きなのだとか。そして花弦No.7であるらしい。お逢いしたくなかったなぁ
「では、一斉攻撃で」
恐らく全員、花弦上位者だろう。油断すればやられる。なので本気で行きたいが、何時も通り此処は明るく殊技はほぼ使えない
本気で兄に顔を出して声を掛けた事を悔やんだ。兄に声を掛けて居なければ、隠密スキルの高い私はバレなかった事だろう……。しくじったなー
本当に要らない事をした……




