誘拐
謎のお姫様ビジャ様事件終了後、私達は【ジェノーネ】を後にする。これで、やっとバッチから解放されるな
「で、次の目的地は?」
次は【シュトバッハ】に向かうらしい。ビジャ様情報によれば、そこの王子も白い宝具を持っているのだとか。王子?
「【シュトバッハ】に行くには【ヴェドルフ】を通らないと行けないな……」
コルネリア様が考え込む。
「ヴェドルフに、何かあるのか?」
考え込むコルネリア様にクレマチスのジィジが問う。ジィジ、ナイス! 私も聞こうとしてたのだ
「ヴェドルフの王はディーデリヒ様と親しいのだ。もしかしたら、襲って来るやもしれん」
その問いにはハイドが答えた。その後に弟アスターが続く
「ヴェドルフの王はディーデリヒ様のお願いなら何でも叶える。彼はディーデリヒ様を崇拝している節がある。一国の王がそれはマズイが、元々滅びかけていたヴェドルフをディーデリヒ様が手を貸して立ち直らせたからな……崇拝するのも無理はないか」
滅び掛けた国を助けたって……ディーデリヒ様、何者? 何したら国を助けられるの?
「なのでヴェドルフを抜ける際は重々気をつける様にな」
最後にギースが締めて話し合いは終わった。
ヴェドルフに入る国境前に街に立ち寄り資材の補充や、物資の補給に入る。ヴェドルフは一応は敵地なので、マトモに買い物も出来ないだろうと踏んでだ
「では行って来る」
「はーい。留守はお任せ下さい」
今回、コルネリア様は女性物の用品を見たいそうなので純菜が護衛に着く。後は各自、自由行動だ。
私と師匠が居残りで、キャンピン近くの広い場所で組手中だ。
「師匠……。全く分かりません。取って良いですか?」
「ダメだ」
今回は縛りプレイで目隠ししながら組手するという超高難易度な組手に挑んでいる。
「相手の気配と辺りの風を感じ、相手の動きを予想しろ」
「そんなの無理です」
「やれ」
無茶振りかます師匠。その師匠は待ってくれる筈もなく何度も攻撃してくる。避けられず、何度も攻撃を受けているうちに段々コツを掴んで避けられる様になってきた。流石、私!
「今日はここまでにする」
「……あ、ありがとうございました」
疲れた……。
キャンピンに入り水を飲みリビングのソファーに座る。リビングではハイドとアスターが戯れ、運転席では爺いズが酒盛りしていた。師匠は水片手に自室へ
「ギース、コルネリア様はお戻りになられました?」
戻って来ていればコルネリア様のお世話に回らねばならない。なのでギースに問うが
「見てないな……。まだ、戻っとらんのか?」
「いえ、自室は確認してませんが……。ハイドと知的メガネはコルネリア様見た?」
「見てない」
「おい、僕の渾名変わってるぞ! 僕も見てない」
念の為、自室に確認しに行ったが帰って居ない様子。まだ買い物中なのか? しかし、もう少しで夜になるのだが……あまりに遅い気がする。何か有ったのだろうか?
私は師匠に相談しに行く事にした
「師匠、いらっしゃいますか?」
ノックしたが出てこない。居ないのか? 仕方無しにリビングに行くと師匠は居た。ここに居たのか
「ししょー。コルネ様がー」
「コルネリア様が誘拐された」
「why⁉︎」
誘拐だと⁉︎ 何故だ! 護衛に純菜が付いて居た筈だ
「純菜諸共だ。これだから俺は反対したんだ。純菜だけで護衛なんて。せめて佳月を連れて行けば良かったものを」
「仕方ないだろう。コルネリア様の決定だったんだ。無下には出来ん。俺も純菜だけではどうかと思ったがな」
ハイドと師匠が純菜をdisってる……。本人には聞かせられないな
「兄さん! アイツだって役に立とうと頑張ってるんだ! そんな言い方ないだろ!」
すかさずメガ萌が純菜を庇う。言うときは言うんだな! 初めてアスターが男に見えたよ。今まで影でヒロイン扱いしててごめんね
「結果が伴ってないだろう」
それをハイドはバッサリ切る。酷い
「言い争ってる場所か! 手が付けられなくなる前に救出せねばならんだろ! 言い合うのは後だ若造ども!」
ギースが突然大声を出した。顔はいつもの優しい感じではなく、威厳たっぷりの兵の顔である。正直、ビビった
「……すまないギース。俺が悪かった」
「ごめん」
ベルナール兄弟がギースに謝った。あのハイドが謝るなんて……。ギース本当に何者なのだろうか
「現状確認だ。コルネリア様は今、ヴェドルフの軍事砦に連行された様だ。あの場所は海が近いので船で本国まで連れ去るのに丁度良い。なのでソフィア様と同様に船で連れて行く可能性が高い。それまでにコルネリア様を奪還。出来れば純菜も……と言いたい所だがアイツは情報を何も持っていないので放置しても問題ない」
師匠が説明してくれたが……師匠も純菜の扱いが、かなり悪い。仮にも仲間なのにこの信用の無さ、さすが師匠と言えば師匠らしいが、これは酷い
「国に入る前を狙うとは……」
「油断して居たな」
確かに。ヴェドルフに入る前に動かれるとは予想外。他国で狼藉働く筈がないとタカを括って居たが、まさか気にせず誘拐とは、畏れ入る
「というか何でコルネリア様が誘拐されたと分かったんです? 見てたんですか?」
師匠に問うと
「儂の発明でな、コルネリア姫に発信機付きのピアスを渡しとったんじゃ。その発信機が現在、隣国のヴェドルフに有る軍事砦に有る。これは誘拐じゃろ?」
いつの間にそんな物を用意して居たんだ。
「兎に角、手遅れになる前に救出するぞ」
こうして、キャンピンは急いで隣国に出発。夜が明けて朝日が昇る頃に砦の近くに着いた。
あまり接近しすぎるとバレるので、私と師匠、ギース、ハイドは砦に潜入する為、キャンピンから降りて此処からは徒歩で移動。
戦闘員が居なくなったキャンピンは安全の為、海の中に潜りクレマチス爺の殊技【光化学迷彩】で隠れておく事に
砦の様子を遠くから眺める。何だか強そうな人が門前を張って居た
「ヤバイ人居ますよ。しかもコッチ見てるし……バレてますよね」
門前にはギースの様な鎧を着た厳つい男が立って居た。勝てる気がしないな……
「……マズイな。あれは【ベロニカ=ヴォルケンシュタイン】。六花最強の男だ」
「わーお」
とうとう六花最強が出てきた……




