恋する乙女
「で、マズイです?」
私が黒いオーラを出した所為で宝玉の在り方がバレた可能性が大いにある。
「かなりな」
「あぁ」
やっぱり……だって仕方ないじゃないか! 私だって人間なんだよ! 感情の制御が難しいの!
「やってしまったものは仕方ない。次に活かしなさい」
「はーい」
ギースにも言われ、この国では大人しくしておく事に……
「白の宝具を持つ者が近くに来ている。恐らく向こうも僕の宝玉を察知し、確認しに来たのだろう。相手が好意的かどうかは分からない。慎重に行動しろ。特に佳月」
「……イエッサー」
白の宝具持ちの人物が近くに来ている様で、コルネリア様は会うつもりらしい。
「どんな人物か分からないが、いざこざを起こしたくはないので、悪いがクレマチスと佳月は居残りで頼む」
「仕方ないのぉ」
「りょーかいしました」
まぁ、この国の者なのでウィークトゥス差別者だろう。ならば合わない方が私の為でもある
「じゃ、留守を頼む」
「行ってらっしゃい」
こうして私とジィジは居残りとなった……
「ジィジ、暇だねー。なんかする?」
「せんわ」
ジィジは自分のスペースに戻ってしまった。連れないないな……
私は時間を潰す為、リビングで歌を熱唱する事にする。暫く熱唱を続けているとジィジに五月蝿い! っと怒鳴られたので大人しくソファーで寝そべっておく。うとうとしていると、急にキャンピンのドアが開いた。誰か帰って来たのか?
「どちら様です?」
まさかの知らない男の人だった。知らない人が勝手にドアを開けて入って来たのだ。何事?
「ビジャ様の命令に従い、貴方達を排除します」
「はぁ?」
排除するとか言った後に、いきなり襲いかかって来た珍客。私は寝そべったまま、その失礼な珍客に殊技で攻撃。珍客は地べたに這いつくばった。
「なっ⁉︎ 何故、ウィークトゥスが殊技を使えるんだ」
這いつくばったまま驚愕の表情で私を見つめる客人に私は思う。この反応飽きたなーっと
「それは君達みたいな奴らを嘲笑う為だよ」
「貴様!」
立ち上がり攻撃して来たので、今度は私自身で攻撃する事に。起き上がり、相手の顔面に靴をめり込ませた。真後ろに倒れる客人。私はそれを放置して、もう一度寝転がる。
「で、何の様? ビジャ様ってこの国のお姫様だよね。そのお姫様が私達に何の様? コルネリア様なら居ないけど」
私は殊技で相手を吊り上げて尋問した。確かビジャ様はこの国のお姫様で白い宝具を持っていそうな人物だった筈。そのお姫様が一体何の様で私達を狙ったのか。まさかコルネリア様の殺害?
私は寝そべったまま余裕そうなので側から見たら私が悪い様に見えるかもしれない。
「……誰が貴様何ぞに話すものか」
そっぽを向き、頑なに話さない客人に痺れを切らした私は……
「よし、私の練習台になってくれ」
私の練習台にした。何のって? 恥ずかしい縛り方のだよ。
「いや〜。上手く出来たな」
かなり上手く縛れた。これは自分を褒めてやりたい。ちゃんと服は引ん剝いたよ?
「こんな屈辱!」
「ほら、ゲロッちまえよ!」
私は羽を取り出し、擽り始める。悲鳴をあげる男を嬲る私。なかなか楽しい。私、こんなにドSだったっけ?
「なかなか良い声で鳴くな」
このまま続けたらハイド化しそうだ。そろそろやめよう。
「ゼェ……ゼェ……」
「師匠式、拷問じゃないだけ有難いと思ってよー。あの拷問、マジでヤバイよ?」
飽きた私はもう一度、寝そべり昼寝の体制に入る。取り敢えず、男は放置。
「そんなの外に、ほかして来い!」
リビングに来たジィジに咎められたが、師匠が帰ってきたら拷問してもらうつもりなのだ。それまで置いておこう
「殺すが良い!」
「やだよ。面倒くさい」
取り敢えず、師匠待とう
暫くするとコルネリア様達が帰って来た。何やら女の人とその従者も一緒だった
「……この男は何だ?」
コルネリア様は吊るして居た男を見て問うて来た。
「襲って来たんです。私達を排除するって言ってました。それとビジャ様の命令だそうです」
キャンピンの外に居るビジャ様らしき人物に向かって言ってみた。
「これはどういう事です? ビジャ様?」
コルネリア様が今まで見た事ない様な表情でビジャ様 (仮)に問いかける。ビジャ様は随分怯えた表情を浮かべた。
「違います! これは、その!」
「違う? では、この者は貴方の従者ではないのですね? では、沈めても構いませんか?」
「ダメです!」
何やら騒ぎ出した姫様 (仮)
「白状します……麗しい貴方のお近くにウィークトゥスが居るのが耐えられなくて、始末しようと……新しい者は私が用意して差し上げれば、喜ばれるかと!」
「何を勝手な事を! 折角、良い関係が築けたと思ったのに!」
「コルネリア様! この者達が何の役に立つのです! ウィークトゥスの分際で貴方のお側に居るなど! 恥を知りなさい!」
何だか良く分からない展開になって来た。結局、どういう事?
「宝具を持つ者は宝玉を持つ者に惹かれるんだ。ビジャ様は宝具を持っている。だから、宝玉を持つコルネリア様に惹かれているんだ」
師匠が説明してくれた。宝玉に惹かれるって……
「それは禁断の恋的なヤツですか?」
「恋をした事の無いお姫様には、その惹かれ方を恋と勘違いしているのだろう。全く面倒だ」
私の問いにはハイドが答えてくれた。ハイドは面倒だと言うが、私はわりと百合は好物である。見ていて福眼だ
「お姫様は大層ウィークトゥスが嫌いでのぉ。そのウィークトゥスが、大好きなコルネリア様の近くに居るのが許せなんだ。だからお前さん達を亡き者にしようとしたんじゃな……」
「ギース……楽しそうですね? 他人事だと思って」
「他人事だしの」
ギースに初めてイラッとした。
それから、騒ぐビジャ様を窘めて吊り上げた男諸共お引き取り頂いた。次の日にまたコルネリア様達が姫様の元に赴き、話を付けて来たらしい。
「一応、協定は結んで来た。しかし……お姫様とはああも夢見る乙女思考な者なのか? 僕が可笑しいのか?」
話の内容を知らない私はビジャ様がどの様な人物かは知らないが、コルネリア様が今まで見た事無いくらい疲れていたので、かなり特殊な人物なのだろうと思っている
「結局、謝られなかったけどな」
私の預かり知らぬ所で解決していた。私の出番なかったな……




