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海蛇

 

「うわー。海蛇、久しぶり」


 私は何度か海蛇と対峙した事が有る。父が漁に行く時に着いて行ったら何度か遭遇したのだ。なので交戦歴もあるし何とかなるが……


「どうする⁉︎ 海上での戦いは、このメンバーでは無理だぞ?」

「近接は絶望じゃしの……遠距離が得意なのは純菜くらいなものだ」

「このキャンピン、何か装備は付いているのか?」


 クレマチス爺以外、甲板? に出てきて騒がしくし始めた。皆、海蛇の相手をしたことが無いらしい。


 あ、また船が沈んだ……


「安心せい! このキャンピンには兵器を搭載しとる! 水中戦はなんのそのじゃ! だが、水上戦は無理じゃぞ」

「それ、激しく意味ない!」


 わーわー、なっている皆んなを他所に、純菜は銃を取り出し構える


「私が何とかする! 今こそ力を示す時だ!」


 滅茶苦茶、張り切ってました。


 結局、私と純菜以外は中に戻り待機。


「お前は戻らなくてもいいのか?」


 純菜は問うて来る。


「うん。私、何度か海蛇と戦った事あるし」

「有るのか⁉︎」


 ずいっと顔を近づけてくる純菜。それにドキッとしそうになった時、キャンピンが揺れ純菜と私はバランスを崩す。純菜は何とかキャンピンから振り落とされず保てたが、私は落ちた。


「佳月!」

「海、冷たっ⁉︎」


 水の中では戦えない事も無いが、行動が制限されて辛い為、水から出る。


「よいしょっと」


 私は掛け声と共に水面に上がり、立ち上がる。


「……おい。何で水面に立ってるんだ! どうやってるんだ!」

「内緒」


 実は水面には波により影が出来る。その上に私は立っているのだ。水面や水の中は比較的影が多く、夜程では無いが戦いやすい。なので水上&水中戦はお手の物なのだ!


「あ、来た」


 そうこうしている内に海蛇は私と言うかキャンピン目掛けてやって来る。それを迎え討つ私。カッコ良くない?


 刀片手に水面を走り海蛇の正面方向にて待機。顔を出した時に勝負を仕掛けるつもりなのだ。


「来た!」


 海蛇が顔を出し攻撃しようとした瞬間に、私は海蛇の顔を斬り裂く。緑の体液を撒き散らしながら、のたうつ海蛇。怒った海蛇は標的を私に変え、攻撃して来た。


「【雷花火(シンティラ)】!!」


 殊技を使い、海蛇を拘束。そして魔法を撃ち、相手の弱体化を図る

 雄叫びを上げ、のたうち回り苦しむ海蛇を避けながら、更に追い討ちをかける様に殊技で作り上げた弓と矢を海蛇に向ける。そして放つ!


「チッ! 外した!」


 動き回る海蛇の頭部を狙ったのだが、手元が狂ったのか、久しぶりに矢を射たからなのか、頭部から大きく外れ長い体の一部に命中。大きく抉れはしたが致命傷にはならないだろう


 海蛇は藻搔き、水面に戻る。ここで逃げてくれれば追わなくても問題無いが……獲物を前にスゴスゴと引いてくれる筈もなく、別の獲物に標的を変えた。そうキャンピンだ


「チッ!」


 本日2度目の舌打ちだ。先程の失敗を汲んでか水面に顔を出さなくなった海蛇は真っ直ぐキャンピンに向かう。水中で襲う気だ

 それに気が付いたキャンピンは水の中に潜水。迎撃態勢に入った。


「しゃーない」


 私も潜り、海蛇を追う。


 水中で見る海蛇は凄まじかった。水面ではその全貌を見る事が叶わないが水中では、その巨体が良く分かる。


「……⁉︎」


 私の直ぐ近くで何かが海蛇に命中し爆破した。その風圧で吹き飛ばされかけた。ミサイルか?


『おーい! 佳月よ! そこに居たら危ないぞ!』


 ジィジの声がキャンピンから聴こえて来た。そんな機能も付いていたのか……

 取り敢えず、一度離れて様子を見る。因みに私は水系魔法(マイム)で血中の酸素を操っているので30分くらいは息継ぎ無しで潜っていられる


 海蛇は何度も攻撃を受けてキャンピンも無理だと思ったのか、別の場所に行こうとした。それをすかざず追う私。

 海蛇がキャンピンから少し離れたら……


 〈真紅の炎(クリムゾン・フレイム)!!〉


 魔法を放ち、トドメを刺す。

 海の中にもかかわらず、真っ赤な炎が辺りを包んだ。周辺の水は蒸発し、何かが焼ける匂いが辺りに充満する。


「まぁ、海蛇だわな」


 炎が治ると真っ黒になった海蛇が剥き出しになった海底に横たわって居た。私が蒸発させ海水が無くなった場所には辺りから水が流れ込む。

 私は少し離れた水面に立ち海底に横たわる海蛇を眺める


「気持ち悪い……」


 海蛇の体が裏返しになり、百足の様に数ある足が丸見え状態で気持ち悪い。その内、私が開けた空間に海水が溜まり海蛇の姿は見えなくなった


「イェーイ! 私の勝利」


 完勝である


「あ、キャンピン」


 私を迎えにキャンピンが近くに来た。





「で! お前、どうやって水面に立って居たんだ!」


 キャンピンに戻ると全員に詰め寄られた。いや、全員ではない。師匠とハイド、ギース以外に詰め寄られた。特に純菜の迫力が凄い。


「内緒だよ! んじゃ、私シャワー浴びて来るから! 体中、海水でベタベタなんだよー」


 私はさっとリビングから脱出。急いで浴室に入る。

 シャワーを浴びながら考えるのが純菜の事だ。今回、私は純菜の出番を取ってしまった気がする。唯一の狙撃手の出番だった筈なのに……


「まぁ、考えても仕方ないか!」


 そう、仕方ないのだ。純菜は海蛇と交戦歴が無い。私は何度か有るのだから、私が殺った方が確実だしな。

 心の中で言い訳しながら脱衣所を出ると外に師匠が居た。コレはアレだ。水面に立ってたのを聞かれる奴だ。


「……言いたい事は分かります。殊技を使いました。水面は影が多いから私にとっては戦いやすく……」

「それを聞きに来たんじゃない」

「え?」


 水面に立つ方法で、なければ何を問いに来たの?


「水面に立って居た時、目が光って居た。だから殊技である事は直ぐに分かった。水中に潜り続けていたのだって水系魔法(マイム)を使ったのも分かってる」

「ネタバラしたら嫌ですよー」


 師匠には何でもお見通しだな。隠し事出来ないや


「忠告だ。もうすぐ、次の国に着く。次の国ではウィークトゥス批判が今までの国より酷い。下手に出歩くな」


 それだけ言うと師匠は何処かに行った。本当にそれだけだったらしい


「ウィークトゥス批判なんて今更だけど」


 何故、今更ながら師匠が忠告して来たのか、私は後になって気付くのだった

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